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組み合わせで判定できる梅毒検査の特色

更新日:2017.04.12
公開日:2017.03.31
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この記事の監修者
おおり医院 院長 大利昌久

梅毒の感染を知るための検査にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。結果を正確に把握できるように、それぞれの検査のメリットデメリットと結果の判断の方法をドクター監修の記事で解説します。

梅毒に感染したかもしれないというときには、医療機関で検査を受けることができます。検査方法によって特色やメリットデメリットがありますのでそれぞれについて、また、検査判定での注意についても詳しく解説していきます。

STS法による検査

梅毒に感染した際につくられるリン脂質抗体を検出してその値を測定することで症状の有無を判定する方法が「STS法(梅毒脂質抗体検出法)」です。リン脂質抗体は治療によって減少するものであり、この性質から治療効果の判定にも利用されている検査方法です。

STS法の実施方法としてRPR法、ガラス板法、凝集法といった種類がありますが、現在一般的に実施されているのはRPR法になります。陽性反応が検出された場合は次項のTP法を併用して確定判断がなされます。

早期の判断に適したSTF法

梅毒に感染してからリン脂質抗体が血中に現れるのは2週間~4週間とされています。STF法ではリン脂質抗体を検出して判定を行うため、この段階で結果を知ることができ、早期に判定を行える可能性が高くなります。

他の病気でも反応する

リン脂質抗体は梅毒特有の物質ではありません。ですので、他の病気によって数値が増加することもあり、それによって陽性反応となることもあります。

TP法による検査

梅毒とは、スピロヘーマのうちの一種である病原菌「梅毒トレポネーマ」への感染により引き起こされる病気です。感染した際には梅毒トレポネーマに対する抗体である、特異的トレポネーマがつくられます。この抗体を検出するのが「TP法(トレポネーマ・パリダム抗体検出法)」とよばれる検査方法です。TP法の実施方法としてはTPHA法、FTA-ABS法が代表的で、TPI法、TPLA法といったものもあります。

梅毒以外では検出されない

TP法がSTF法と異なるところは、梅毒への抗体を検出するところです。感染することでつくられる抗体であるため、他の病気によって陽性となる確率は低くなります。このため、早期検出は可能なものの他要因による陽性反応がありうるSTF法と組み合わせて、判定される場合が多くなります。

早期の判断には向いていない

早期に検出が可能なSTF法に対して、TP法での判定が可能になるのは4~6週間後となります。これは特異的トレポネーマの発生に時間がかかるためで、早期の判断には向いていないと考えられています。また、一度陽性判定が出た場合は、治療後も陽性判定が持続します。このため、TP法は治療効果の測定には利用できません。

検査結果の判定方法

前項ではSTS法とTP法の特徴を解説しました。どちらの方法も一長一短であり、実際には両方の検査結果の組み合わせで判断されます。組み合わせによってどのような解釈があるのか見ていきましょう。

STS法、TP法がともに陰性である場合

梅毒への感染がみられないと判断されます。ごく初期の梅毒感染の場合もこの結果が出ます。

STS法が陽性、TP法が陰性である場合

リン脂質抗体の検出が他要因によるものなど、STS法での偽陽性の可能性も考えられますが、TP法で特異的トレポネーマが検出されない時期の、初期梅毒である可能性もあります。

STS法、TP法がともに陽性である場合

梅毒に感染しているとみられます。

STS法が陰性、TP法が陽性である場合

一般的には、一度梅毒に感染して治療を終えた人が、この状態になります。ごくまれにTP法で偽陽性となる場合もあり、その際は、感染はみられないと判断されることが多いのですが、初期の梅毒感染の可能性もあります。

比較的早期に結果が検出されるSTF法による検査でも、検出までには感染から2週間~4週間を要します。感染していたとしても、ごく初期の段階では陰性反応となりますので、経過や症状には注意するべきでしょう。

逆に、陽性反応が検出されているのにもかかわらず症状が出ない場合もあり、第1期~第2期への移行期間や第2期における発疹消退期なども、その状態に当てはまります。症状はなくとも感染している状態ですので治療を止めたりしないようにしましょう。

同時にHIV検査を受けることの意義

近年、HIVと梅毒に、同時感染してしまう人も増えているようです。梅毒感染者のおよそ10%がHIVへも感染しているとされていますが、どちらも性行為による感染が多いという共通点があり、梅毒によって粘膜が傷つくことで、HIVへ感染しやすくなると考えられます。HIVと合併して発症した場合は、症状の進みが早くなり、通常ではめったに進行することのない第3期以降へと症状が悪化する場合もあります。病原体が中枢神経に入り込む神経梅毒を発症するケースもあります。

検査を受けて結果を知ることは、梅毒の重症化を防ぐためにも必要です。もしHIVの感染が発覚した場合も、早期の治療に取り組むことができます。梅毒検査を受ける際には、ぜひHIV検査も一緒に受けることをおすすめします。

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