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アレルギー性紫斑病にともなう紫斑病性腎炎とは
紫斑病性腎炎はアレルギー性紫斑病の合併症です。紫斑のほか関節痛や腹痛が見られ、腎炎の症状はあまりないとされますが、まれに重い腎不全を起こす病気です。ここではその原因や治療について、ドクター監修のもと解説します。
アレルギー性紫斑病の合併症として起こる紫斑病性腎炎は、原因がはっきりとわかっていません。多くの場合は症状が少なく自然に治るため、治療が不要といわれる一方で、まれに重症化することもあります。ここでは紫斑病性腎炎とともに、その原疾患であるアレルギー性紫斑病についても解説します。
紫斑病性腎炎とは
紫斑病性腎炎は、アレルギー性紫斑病という疾患が原因で腎臓の機能が低下した結果引き起こされる腎炎のことを指します。腎炎は合併症として発生するものですから、まずはアレルギー性紫斑病とはどのようなものかを解説します。
アレルギー性紫斑病
紫斑病性腎炎は、アレルギー性紫斑病患者の腎機能低下によって起こります。アレルギー性紫斑病とは、なんらかの原因で全身の毛細血管にアレルギー反応が起こり、炎症を起こして血管がもろくなった結果、皮膚や粘膜に内出血して赤紫のあざができるものです。IgA血管炎、あるいはヘノッホ・シェーンライン紫斑病とも呼ばれます。主に3〜10歳くらいの子供に多いとされていて、紫斑の他には関節痛や腹痛、腎炎を引き起こすことがあると言います。
細菌やウイルスへの感染がアレルギー反応の引き金になるといわれていますが、詳しい原因はわかっていません。アレルギー反応の結果、炎症が引き起こされますが、この作用は体内の免疫システムのうち、免疫グロブリンA(IgA)という抗体が関係していると考えられています。
なお、あざには押すと赤みが消えるものがありますが、これは紅斑(こうはん)といって、紫斑とは異なるものです。紫斑は押しても赤みが消えないものを指します。なぜなら、紫斑は内出血した血液が赤紫のあざとして見えるもので、押してもその血液の逃げる場所がないためです。
紫斑病性腎炎
アレルギー性紫斑病の合併症として、腎炎を起こした状態を紫斑病性腎炎と言います。腎臓の血管に炎症が生じて腎臓がダメージを受け、機能が低下する状態です。悪化すると元に戻らないくらい腎機能が障害されてしまい、症状もひどくなるとされます。
紫斑病性腎炎の症状
紫斑病の合併症として起こる腎炎ですから、紫斑病の症状に加えて腎炎の特徴が現れます。まず、アレルギー性紫斑病で現れる紫斑の特徴は、じんましんのような発疹や赤紫色の小さな出血斑です。主にお尻、ひざから足首にかけての下半身に左右対称に現れるといわれます。ときには腕、背中といった上半身にも出現し、顔に見られることもあります。
見た目にはっきりとわかる紫斑とは異なり、腎炎の症状はあまりありません。腎機能が低下しているため、尿の中にタンパク質や血液成分が漏れてしまうことがありますが、ほとんど自覚症状はないようです。その一方で、腎臓の炎症などによる微熱やだるさを感じる人もいるとされます。腎炎が悪化するとむくみや頭痛といった症状が起こりえます。
この他、アレルギー性紫斑病の症状として強い腹痛や関節炎が見られることがあります。こちらもIgAという抗体が関係して、体内で炎症を引き起こしたものだと考えられているようです。
紫斑病性腎炎の原因
アレルギー性紫斑病や、それにともなう紫斑病性腎炎は原因がはっきりわかっていないとされています。アレルギー反応の結果として引き起こされる炎症には、IgAという抗体が関わっているかもしれないと上で述べました。
IgAとは、呼吸器や消化管などの粘膜で特に活躍し、免疫機能を発揮することが多い抗体です。このIgAがアレルギー性紫斑病に関係していることはわかっていますが、どうしてIgAが病原体などと反応してしまうかについては不明です。したがって、予防することは難しいとされています。
紫斑病性腎炎の治療
ほとんどの場合、紫斑病性腎炎は自然に治るため、治療は不要といわれています。しかし、尿の中にタンパク質が出る状態が続くような場合や、腎機能の低下が目立つ場合は治療を行うことが求められます。腎臓の状態を確認して重症度を調べる必要がありますから、細い針で腎臓のごく一部を採取して検査を行ったうえで治療が開始されます。治療を行う場合は、過剰な免疫反応を抑えるために免疫抑制薬やステロイド薬を用いるとされます。まれに腎炎が悪化して重い腎不全となることがあるため、注意が必要です。
アレルギー性紫斑病に対しての治療は、症状を緩和して回復を待つといった対症療法が主体といわれます。紫斑に対しては、安静にしてこれ以上増加しないようにすることが求められます。関節炎や腹痛には痛み止めなどを用いることが多いようです。
紫斑病性腎炎の予後
紫斑病性腎炎はほとんどの場合、特に治療しなくても治るといわれます。また、アレルギー性紫斑病自体が、対症療法を行っていればたいていは4週間程度でよくなり、後遺症なども特に残らないとされます。ただし、回復してから数か月は再発の可能性があるため、注意して過ごすことが求められます。まれに紫斑病性腎炎が重症化した場合は腎不全となることもありますから、定期的に尿検査を受けるなどして腎臓の状態をチェックする必要があると言えます。
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