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酒さ様皮膚炎とは
ステロイドの長期使用の副作用で起こるとされる「酒さ様皮膚炎」で、顔の皮膚が赤くほてることに悩まされている人が多くいます。酒さ様皮膚炎の原因や治療、注意点についてドクター監修の記事でご紹介します。
さまざまな原因や種類のある湿疹・皮膚炎の中から、この記事では、「酒さ(しゅさ)様皮膚炎」について解説します。半年以上の長期間、顔にステロイド薬を使用し続けることで生じる可能性のある病気で、顔に赤みやほてり、発疹が現れるのが特徴です。
酒さ様皮膚炎とは
酒さ様皮膚炎は、顔に赤みやほてりといった症状が出る皮膚の病気です。
酒さというのは、顔の中心の鼻や頬、眉間などに赤みが現れる症状です。飲酒しているような赤い顔に見えることから、「酒」という字が入っています。この酒さによく似た症状があることから、酒さ様皮膚炎という名前がつけられたとされています。
酒さ様皮膚炎は、20代~50代の女性に多く報告されています。
酒さ様皮膚炎の原因とステロイド
酒さ様皮膚炎は、顔に長期間ステロイド外用薬を使用し続けると起こる副作用とされています。
ステロイドはしばしば副作用などデメリットが議論されるものですが、正しく使うことができれば、さまざまなところで効果を発揮できるとされている薬です。ステロイドについて詳しく解説します。
ステロイドとは
ステロイド外用薬は、炎症やアレルギー反応を抑える効果を期待して処方されます。喘息(ぜんそく)や関節リュウマチ、虫刺されなどの治療にも使われますが、アトピー性皮膚炎に処方されることが多い薬です。
アトピー性皮膚炎の症状は、過剰な免疫反応によって起きている炎症だと考えられるため、免疫反応を抑える作用のあるステロイドによって、炎症やかゆみの症状が収まる効果があるとされます。ステロイドはアトピー性皮膚炎などの病気そのものを治療するためのものではなく、我慢できないようなかゆみを和らげるのに有用なものと考えられています。
ステロイドの副作用
副作用は、ニキビ、多毛、口囲皮膚炎などステロイドの使用を止めると治るものと、皮膚が薄くなったり細い血管が皮膚表面の方に浮き出てくるという、使用を止めても治らないものがあります。後者は、強いステロイドを半年から数年という長期間使い続けた場合に生じます。
また、長期間の使用の後の中断には、すぐに抑えていた炎症やかゆみが増してしまう「リバウンド」が起きることがあります。使用期間や強さ、量などによって起こりやすさは変わり、リバウンドがない人もいます。リバウンドによって、アレルゲンへの感受性が高くなり、炎症がひどくなったり、細菌感染が起こりやすくなることが懸念されます。
また、ステロイドの使用中は免疫力が抑えられるので、アレルギーや感染症への防御が低くなるというリスクもあります。
正しい使い方を
こうした副作用を防ぐためにも、自宅ではドクターや薬剤師の指示を守り、使用する部位や量、回数を自己判断で変更しないようにすることが大切です。症状の変化によって、塗り方やステロイドの強さを変える必要がある場合があるので、ドクターと相談の上、皮膚の状態をその都度見ながら、慎重にステロイドでの治療を進めていく必要があります。
酒さ様皮膚炎の主な症状
治療のためにステロイド外用薬を長い期間使用し続けていた部分に、発疹や細い糸状の血管が浮き出してくる毛細血管拡張、ニキビのような膿疱などが生じます。薬を塗布していた部分以外の顔にも、赤みやほてりが現れます。かゆみは強くない場合が多いです。
酒さ様皮膚炎の治療
小さく切除した皮膚を調べる検査によって、酒さ様皮膚炎と診断されたら、まずステロイドの塗布を中止します。治療では、テトラサイクリン系抗菌薬などの内服薬で細菌の増殖を抑えます。皮膚がつっぱったように感じるならば、白色ワセリンなど外用薬で対処します。強いほてりは冷却によって緩和を試みます。
使用の中止によって、症状が一時的に悪化する場合には、入院治療を行うことがあります。
酒さ様皮膚炎の治療期間は、数か月に渡ることが多いでしょう。
悪化させないための注意点
酒さ様皮膚炎があるときは、顔への刺激を避けることが大切です。洗顔するときには力を入れないようにそっと洗い、清潔なタオルでやさしく水分を拭き取ります。石けんを使用してもよいかどうかは、ドクターの指示を仰ぐとよいでしょう。
また、赤みが増しやすい行為として、入浴に長い時間をかけること、暖房がよく効いた室内にずっといることがあります。できるだけ避けるようにして、赤みを増長しないようにすることは有効とされています。血管が広がる行為として、激辛料理など刺激が強い物を食べたり、飲酒・喫煙も赤みが強くなることにつながる可能性があるため、控えるようにします。紫外線も肌への刺激になることがあるので、帽子や日傘など紫外線よけ対策も大切です。
ステロイド薬を使用していて副作用と疑われる症状を感じた場合は、すぐに医療機関を受診し、今後の薬の使用について相談することで、重症化を防ぐことができるといわれています。
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