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虫刺されに適切な初期対応および効果的な薬とは

更新日:2017.04.07
公開日:2017.03.31
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この記事の監修者
おおり医院 院長 大利昌久

虫刺されはかゆみや痛みを感じるようになって初めて気づくということも多く、刺した虫がわからない、または、虫刺されではない場合などもあるようです。適切な初期対応や効果が期待できる薬などについて、ドクター監修の記事でお伝えします。

人を刺す虫には蚊をはじめハチやブユ、アブなどのほかにも、ダニやノミなどがいます。虫刺されと一口に言っても刺した虫によって、それぞれ初期対応や処置には違いがあるようです。

人を刺す虫の種類

私たちの身の回りには人を刺す虫が思いのほか多く存在しています。人間の皮膚に炎症反応をもたらす、刺す虫にはさまざまな種類がありますが、大別すると3つの種類に分けることができます。3つの種類は皮膚炎を起こすシステムの違いで分類されています。

●刺咬性(しこうせい)の虫

刺咬性の虫には人を刺すハチや人をかむアリ、その他にはサソリ類やムカデ類が入ります。これらの刺咬性の虫の針などで有害物質が体内に注入されると、皮膚が赤くなり痛みが生じます。ほとんどの場合、痛みや赤くなるなどの症状は1日ほどで治まるのですが、ひどい場合はアレルギー反応によってアナフィラキシーショックを起こすこともあります。

●接触性の虫

虫自体が有毒毛を持っているガやチョウの幼虫(毛虫)や甲虫類で有毒な体液を分泌するタイプが接触性の虫に属します。イラガ科などの幼虫には毒を出すトゲ(毒棘)があり、そこから有毒な体液が分泌され、皮膚に触れるとすぐ皮膚に痛みや腫れの症状がでます。その後にアレルギー反応が起こり、皮膚炎になることもあります。また、アリに似たアオバアリガタハネカクシ(やけど虫)の場合などは、体液が皮膚に触れるだけでミミズ腫れ状の線状皮膚炎を起こします。

●吸血性の虫

人や動物の血液を吸うのが吸血性の虫ですが、血液を吸うときに唾液腺物資が体内に注入され、アレルギー反応を引き起こします。蚊やアブ、ブヨ(地域によりブユ・ブト)のほかに、ダニ類・ノミ類がこのタイプに属します。アレルギー性の炎症は刺された方の体質によっても違ってくるのですが、多くの場合はかゆみをともない刺された箇所が赤くなり、小さく腫れるなどの症状が見られます。

虫に刺されたときの応急処置とは

虫刺されによる皮膚炎を防ぐためには

虫刺されによる皮膚炎は、かゆみや痛みだけではなく深刻な症状を引き起こすことがあります。虫に刺されたことで起きる皮膚炎を予防するにはできる限り刺されないようにすることが肝要ですが、いかに注意をはらっていても虫に刺されることを完全に防ぐことはできません。

虫による皮膚炎には、物理的な刺激によって起きる炎症や有毒物質の化学的な刺激によって起きる炎症、そして毒成分などに反応して起こるアレルギー性の炎症などがあります。そのタイプにより刺されたときの応急処置には違いがあります。吸血性の蚊やダニなどに刺された場合は、後になり痛みやかゆみを感じて初めて刺されたことに気がつくことがほとんどです。

一方、刺咬性の毒を持つ虫ハチなどに刺された場合は、痛みのため刺された瞬間に刺されたことがわかります。刺されたことに気づいたらすぐに、適切な初期対応と処置をとることで、後々の症状を軽減させることにつながります。

ハチに刺されたとき(刺咬性の虫)

ハチのいない場所まで移動して安静を保ちます。ミツバチに刺されると皮膚に毒のある針が残っている場合がありますので、ピンセットなどで針を取り除き、刺された箇所を冷やします。

毛虫の毒針毛に触れたとき(接触性の虫)

接触性の毛虫の毒針毛に触れたときには、付着した毒針毛は粘着テープを使い、軽く皮膚に当ててはがして取ります。その後、よく石けんを泡立ててシャワーで洗い流します。これで、皮膚についていた毒針毛のほとんどが除去できます。

アブに刺されたとき(吸血性の虫)

刺されたところから出血することが多いため、刺された箇所を水でよく洗い流します。圧迫止血した後、刺された箇所を冷やします。

赤みやかゆみが強いときの対処法

蚊やアブなどに刺されるとほとんどの方に、肌が赤くなりかゆみに襲われる、腫れるなどの現象がおこります。これは、虫の有毒物質や唾液腺物質に対してアレルギー反応が起こったためと考えられます。このアレルギー反応には、1~3日過ぎて症状があらわれる遅延型と刺されてから5~30分後には症状があらわれる即時型の2つがあります。即時型アレルギー反応の場合、症状が軽いときは、抗ヒスタミン成分が配合されている塗り薬を塗って少しの間、様子を見ましょう。抗ヒスタミン成分が配合された外用薬は市販されています。

同じ即時型アレルギー反応でも強くアレルギー反応がでて、かゆみや赤い炎症が鎮まらない場合は、遅延型アレルギー反応の症状に使う、ステロイド外用薬で炎症を抑えることを推奨いたします。遅延型アレルギー反応の症状にはステロイド外用薬をおすすめするのですが、このステロイド外用薬と抗ヒスタミン製剤が同銘柄で2つとも市販されている場合があるようです。このような場合は、お店の薬剤師に相談するのがよいでしょう。

市販されている外用薬を使用しても、炎症やかゆみが治まらなければ、ステロイド内服薬を飲用するか抗ヒスタミン製剤を使うのですが、アレルギー反応が強く症状が治まらない場合は、医療機関を受診することをおすすめします。

受診のタイミングについて

ほとんどの虫刺さされの場合は、適切な初期対応と市販されている薬で症状は緩和されます。ですが、ときにハチに刺された場合やムカデにかまれた場合にアナフィラキシー症状が起きることがあります。アナフィラキシー症状とは、重篤な即時型アレルギー反応です。全身に蕁麻疹やかゆみをともない、呼吸困難や吐き気、嘔吐などの症状があらわれます。最悪の場合には、血圧が急激に下がりショック状態になることがあります。そのまま死に至ることもありますので、呼吸困難や吐き気、嘔吐などのアナフィラキシー症状が起こったら早急に最寄りの医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。

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