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洗濯干しにも注意!恐るべき毛虫皮膚炎の原因と対処法

更新日:2017.04.07
公開日:2017.03.31
ドクター画像
この記事の監修者
おおり医院 院長 大利昌久

春になると木から毛虫が落ちてきて、その毛が皮膚について炎症を起こしたりします。毛虫にとっては身を守る術かもしれませんが、人間にとっては大迷惑です。ここではドクター監修による毛虫皮膚炎の原因と対処法をご紹介します。

毛虫は、「チャドクガ」「モンシロドクガ」といった幼虫など全身毒を持った毛で覆われている種類のものがたくさんあります。毛虫自身は鳥などに襲われないように、防御態勢で身につけたものですが、体毛が少なく肌を露出している人間にとって毛虫の毒毛は非常に危険です。ときには風に流され、干してある洗濯物に付着して皮膚炎を起こすケースも少なからず報告されています。

毛虫皮膚炎とは

蛾や蛾の幼虫には、身を守るために毒毛を持つ種類があります。その毛に触れると、アレルギー反応を起こして腫れたり、かゆくなったり、赤い発疹が出る場合があります。毛虫に直接触った場合はもちろんですが、直接触れていない場合でも、近くに桜や椿といった毛虫が好む木がある場合、その毒毛が風に乗って干してある洗濯物に付着して湿疹などを起こすケースもよくあります。

また毛虫皮膚炎の多い季節としては、春から初夏にかけての3~6月頃。そして夏の終わりから秋にかけての8月~11月頃です。蛾の産卵時期や孵化の時期によって、地域によって若干変わってきます。

毛虫皮膚炎の種類は2タイプ

毛虫による皮膚炎の種類は2つのタイプがあります。ひとつは「毒針毛(どくしんもう)型」です。これは、体を覆っている毛に毒があるタイプです。一匹の毛虫には10万本以上の毒毛が生えているといいます。このタイプは種類が多く、チャドクガを始めとしていろいろあります。その特徴として決まった植物の葉をエサにすることが多く、山茶花、桜、椿といった木によく繁殖しています。

ふたつめは「毒棘(どくきょく)型」です。これは、なんらかの刺激によって幼虫が防御として棘を出すものです。棘が刺さったところに強い痛みを感じるのが特徴です。代表的なのが「イラガ」の仲間です。

毛虫皮膚炎の原因とは

毛虫皮膚炎のわかりやすい原因とは、直接その体に触れてしまったことです。自分の意志とは関係なく、偶然木から落ちてきた毛虫に体が接触して、衣服に覆われていなかった首筋や腕などに接触してしまったときに毒毛が刺さってしまうことです。

また、直接毛虫に触れなくても毛虫皮膚炎になることもあります。毛虫が集団で生活していた場所には、毛虫がいなくなっても毒毛だけは残っている場合もあります。さらに、風で飛ばされた毛虫が洗濯物についた場合など、衣類でガードされている場所にも炎症が起こる可能性もあります。このように、毛虫皮膚炎の原因はあらゆるところにあるので、油断はできません。

毛虫皮膚炎の症状とは

ふたつのタイプのうち「毒針型」の場合は、毛に触れても最初はあまり症状は出ません。しかし、数時間経つと徐々にかゆみやヒリヒリとする痛みが増してきて、それにともない赤い発疹が出てきます。一方「毒棘型」の場合は、棘が刺さった瞬間に痛みを感じます。数時間で激しい痛みやかゆみが現れ、赤い発疹が広がって眠れないほどの症状に襲われることもあります。

毛虫皮膚炎の対処法とは

もし毛虫に接触したことが分かっており、かゆみや発疹が出始めたと思ったら、すぐに次のような対処を行いましょう。そのまま放置しておくと、さらに悪化させてしまう心配があります。

すぐに接触した部分を洗い流す。

これは毒針型の場合です。毛虫の毒針は、すぐに抜けやすくなっています。かゆいからといって、ゴシゴシこすってしまうと毒針を皮膚の奥深くにまで届かせてしまうことになります。そうなる前に流水でこすらずに洗い流すようにしましょう。

ガムテープを使う

接触した部分は、すぐにガムテープなどを使って剝がし取るようにします。このときも剥がした毒毛が再度皮膚につかないように、繰り返し使うのではなく、一度貼って剥がしたら捨てるようにしましょう。

衣類はすぐに着替える

干してある洗濯ものについている可能性もあります。その場合、衣類の内側などにも毛が付着していることもありますから、すぐに着ているものを脱いで、洗濯しましょう。毒毛は、50℃の熱で無力化しますので、心配ならば、乾燥機にかけるのもいいでしょう。

洗濯を干す環境に注意

ベランダの近くに、毒毛を持つ毛虫が好む木、たとえば、桜、椿、山茶花などがあると注意が必要です。毛虫の毒毛は接触するだけでなく、風に乗って衣類に付着することもあります。近くにこうした木がある場合、毛虫が大量発生しないように消毒をすると安心です。

外用薬を使う

毛虫皮膚炎になってしまい、チクチクしたり、かゆくてつらいときには、市販のステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の含まれた軟膏を使用しましょう。軽症の場合には1~2週間で症状が治まります。もし、症状が悪化するようならば、病院での治療をおすすめします。

毛虫に故意に近づく人はいないと思いますが、なんらかの拍子に接触してしまった場合には、すぐに洗い流すことが大切です。また接触がないにもかかわらず、チクチクと発疹が出た場合など、洗濯物が原因の場合もあります。毛虫の時期には、干してある洗濯物にも注意するようにしましょう。

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