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糖質制限ダイエットの効果は?カロリー制限との違いや危険性は?

更新日:2018.01.12
公開日:2015.10.30
ドクター画像
この記事の監修者
東戸塚メディカルクリニック 院長 北川光一

糖尿病治療に端を発し、新たなダイエット法として注目を浴びている糖質制限と、ダイエット法として古い歴史を持ち、もっとも一般的であると言えるカロリー制限。どちらがダイエットに効果的かについて、ドクター監修の記事でご紹介します。

いくつかのルールを守れば、好きなだけ食べてもよいとされる糖質制限。新たなダイエットのセオリーとして、数々の雑誌などでも特集が組まれるほど話題になっています。伝統的なダイエット法として知られるカロリー制限と、どちらがより効果的なのか、それぞれのメリット、デメリットなどを検討しながら紹介します。

糖質制限で痩せる仕組みと効果

糖質制限で痩せられるメカニズムとは、糖質を含む食品の摂取を控えることによって、食後の血糖値の上昇を緩やかにし、別名「肥満ホルモン」とも呼ばれるインスリンの分泌を抑えることです。

インスリンは主に、食後、血中の糖濃度が上がった際にそれを下げるために分泌されますが、このほかに脂肪を蓄える作用もあります。一方で、脂肪分解を抑制する作用もあるので、分泌量が増えると太りやすくなるのです。しかし、糖質制限をすることによりインスリンがあまり分泌しないような食生活を送れば、体内で以下にあげるような効果が見込めます。

脂肪の分解が促される

インスリンによる脂肪分解抑制作用がないので、脂肪が燃えやすい状態になります。

インスリンの追加分泌がほとんどない

インスリンは常時、血中に一定濃度で分泌されているものですが、食後に一時的に上がってしまった血糖値を下げるために追加分泌されます。ところが、糖質制限された食事では、食後血糖が上がらないので、この追加分泌が起こらない、というわけです。

糖質制限のメリットは、食後に眠くならない、血糖値の上下動を抑制、比較的早く効果が出やすい、といったこともあげられます。

反対にデメリットは、ごはんやパンといった炭水化物が好きな人には向かない、必然的に肉や魚を摂る量が増えるので食費がかかる、カロリー制限に比べて比較的歴史の新しいダイエット方法なので、長期的なのに健康影響に関する臨床データがまだない、などです。タンパク質や脂質の摂取量を増やせば、長期的に腎臓や大腸に負担がかかるのではないか、ということも気になるところです。

カロリー制限で痩せる仕組みと効果

カロリー(kcal)とは、体を活動させるエネルギーの量です。食事によって摂取するカロリーを、活動や人が生きていくための基礎代謝で消費するカロリーよりも低く抑えることによって、体重を減らすことができる、というのが、カロリー制限で痩せられるメカニズムです。

たとえば、1日に活動+基礎代謝で消費するカロリーが2000kcal程度だとします。食事で摂取するカロリーを1800kcalに抑えられれば、1日あたり200kcal分、減量効果が見込めます。

実際、脂肪を1kg減らすためには、7200kcal程を消費すればいいとされているので、7200÷200=36、つまり、消費kcal-摂取kcal=200となる生活を、36日間続ければ1kg減らすことができる、という計算です。消費カロリーを増やせば増やすほど、または摂取カロリーを減らせば減らすほど、減量効果は早いということになります。

カロリー制限のメリットは、設定した摂取カロリーの上限値の範囲ならば、ある程度何を食べてもよいことです。スイーツでもステーキでも、大好物をあきらめなくてもよいのです。また、栄養の偏りなく必要量のカロリー摂取さえ行なえば、既に安全性が証明されているダイエット法であり、安心して実践することができます。

デメリットは、ひとつひとつの食品のカロリーを調べて、足していく計算が面倒であることです。しかし、最近では、コンビニ商品やファミリーレストランなどの外食でもカロリーが表記されているケースが多々あり、上手に取り入れれば簡単に行える条件がそろってきました。

ダイエットに効果的な食事制限方法はどちら?

糖質制限とカロリー制限、どちらがダイエットに向くかは、取り組む人の食の好みや行動パターンによって決まると言えます。ひとつひとつのカロリーを記録して足していくなんて、面倒なことは苦手という人であれば、糖質制限が向いていますが、炭水化物大好き、好きなものを食べられないのが嫌だ、という人には糖質制限は酷ですし、長続きしないでしょう。

それぞれのダイエットのメリット・デメリットをよく吟味し、自分に合うのはどちらかを検討して取り組みましょう。

糖質制限による健康影響についての注意事項

糖質制限の効果や安全性については諸説あります。例えば、効果に関して、63名の肥満の男女を低炭水化物食群とカロリー制限低脂肪食群に分けて行った研究で、6か月後では低炭水化物食群の減量幅が大きかったが、1年後になると両者の違いは見られなかったとしています[1]。また、日本糖尿病学会は運動療法と総エネルギー摂取量の制限を重視し、糖質制限に関して、「総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない」としています[2]。当コンテンツはあくまでも糖尿病などのリスクを持たない健康的な人を対象としていること、また、健康的な人の場合でも糖質制限を取り入れることでの長期的な効果や、健康への影響について否定的な意見があることにご注意ください。

[1]Gary D. Foster, et al. A Randomized Trial of a Low-Carbohydrate Diet for Obesity, N Engl J Med 2003; 348: 2082-2090

[2]"日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言"日本糖尿病学会.http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=40(参照2017-06-29)

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