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消したい人必見!タトゥー(刺青・入れ墨)除去治療後の跡・傷跡
タトゥー(刺青・入れ墨)は「簡単に消せる」と思っている方は少なくありませんが、実は目立つ傷跡や後遺症が残りやすいのをご存じでしょうか。ここでは、年間のべ300症例を超えるタトゥー除去治療を行ってきた六本木境クリニックの境院長に、タトゥー除去後の傷跡についてお伺いしています。
「タトゥーは簡単に消せる」と思っている方は少なくありませんが、実は後遺症や目立つ傷痕ができやすく、大変難しい治療です。それどころか、何回も治療を受けてもタトゥーが消えなかったり、傷跡や後遺症に苦しむ患者さんが後を絶ちません。
そこで今回は「六本木境クリニック」院長、境隆博先生に、タトゥー除去治療後の傷跡について、レーザー、切除手術、植皮手術、削皮手術といった主なタトゥーの除去方法別に詳しい話を伺いました。
年間のべ300症例を超えるタトゥー除去の治療を行っている境先生は、患者さん1人1人の状況に応じたタトゥー除去手術を行っていらっしゃいます。
レーザー治療によるタトゥー除去の傷跡
Q: タトゥーのレーザー治療を受けた場合に残りやすい傷跡について教えてください。
境先生:レーザー治療はタトゥーの色素にレーザーが反応し、皮膚が焼けてやけどあとができるので、下図のように、元のタトゥーと同じ形で皮膚がデコボコになります。
更に、これまた元のタトゥーと同じ形のこげ茶色の色素沈着と白い色素脱失が生じ、まだらになることが多いです。結果として患者さん目線では消す治療ではなく薄くする治療です。
また、ご存じない方が多いのですが、レーザーによってできるやけど跡が皮膚をコーティングしてレーザーを通しにくくなるため、レーザーの照射回数が多くなるほどに効果は薄まっていきます。そのため、「最初は薄くなったけど、その後は何度レーザー治療を受けても一向にタトゥーが消えない」というケースが多いことは知っておくべきでしょう。
また、レーザー治療はメスで切らない治療法のため、「あまり痛みはない」と勘違いしていらっしゃる方も多いのですが、やけどができるほどのダメージを受けるため、治療には激痛を伴います。
タトゥーの大きさや色などによっては、レーザー治療で除去することで傷跡を少なくできる可能性は高くなります。しかし同時に、レーザー治療は、高額な治療費を払い、激痛に耐えて何度もレーザー照射を受けても、皮膚にやけど跡やまだら状の色素沈着や白斑が増えていくだけで一向に消えないことも多いので、注意が必要です。
※レーザー治療について詳しくは、『タトゥーのレーザー治療の効果・痛み・後遺症』をご覧ください。
切除手術によるタトゥー除去の傷跡
Q:切らないレーザー治療でもかなりの傷跡が残り、更にタトゥーが完全に消えないことが多いとのことですが、切除手術についてはいかがでしょうか。
境先生: 切除手術は、タトゥーが存在する部分の皮膚を切り取り、無理やり皮膚を引き寄せ縫い合わせる方法です。タトゥーが小さい場合や細長い場合は切除を行っても問題は起こりにくいのですが、ある程度の大きさの皮膚を切除する必要がある場合には皮膚が足りなくなってしまいます。
皮膚が足りないため、縫い合わせた部分が永遠に現在進行形で左右に引っ張られ続け、傷の幅が太く広がってしまいます。
また、張力による刺激を受け続けることで創傷治癒反応(傷を治そうとする反応)が強くなりすぎ、ミミズ張れやケロイド状になります。
このような状態となると、赤黒く盛り上がった皮膚の外見もですが、痛みやしびれ、引きつれ感などの症状も現れるので、苦痛を伴います。
「しばらくすると皮膚が伸びる」 と説明する医師もいるようですが、私の経験では、皮膚が伸びるということはほとんどありません。分割切除の後、皮膚が伸びるのを実感したという患者さんもいらっしゃいましたが、「手術後、数日だけ伸びてあとは横ばい」だと皆さん仰います。おそらく、皮膚が伸びたのではなく、手術や局所麻酔の腫れが引く現象を「皮膚が伸びた」と誤解なさったのだと思います。
一方、「妊娠すると皮膚が伸びるのではないか?」と言った間違った認識もありますが、元々あった皮膚の余裕を使い切っていることに加えて妊娠線もできています。
妊娠線は真皮の断裂を伴う傷あとですので、無数の傷あとが生じて伸びているので、正確には皮膚が伸びているわけではありません。
※切除手術について詳しくは、『タトゥーの切除手術による除去治療』をご覧ください。
植皮(皮膚移植)手術によるタトゥー除去の傷跡
Q:植皮手術の傷跡はどのようになりますか?
境先生:植皮手術を行うには、タトゥーの入っていない部位の皮膚を採取(採皮)し、移植します。つまり、問題のない部分の皮膚を犠牲にする、ということです。そうすると、当然ながら採皮した部分と、皮膚を移植(植皮)した部分の両方に傷痕ができます。他院で植皮手術を受けられた患者さんでよく見られるのは、太ももに赤黒い採皮の跡が残っているケースです。
また、植皮された側でいうと、「完全にきれいになる」と思っている方が多いのですが、植皮した皮膚と周囲の皮膚との境目が目立ち、何か別のものを無理やり貼り付けているような雰囲気:パッチワーク状になることが多いです。それに、血の流れのない組織をわざわざ移動させて別の部位に移植するわけですので、必ずしも血流が再開するとは限りません。血流が再開しないことも多々あります。植皮が生着しなくて腐ったために、また採皮し、どんどん傷跡が多くなるという悪循環となる場合もあります。
Q:生着率を高める方法はないのでしょうか?
境先生:生着率を高めるため、「メッシュ植皮」という方法を行うことがあり、これは採取した皮膚をメッシャ―という機械に通します。こうすると生着率が非常にあがりますが、メッシャーを通した皮膚はメッシュ状またはウロコ状となり生着後も非常に目立ちます。
大手や有名クリニックにも「メッシュ植皮」というメニューがあり「ウロコ状に見えることもある」「メッシュ状に見えることもある」と言った説明が書いてありますが、「100%ウロコ状やメッシュ状に見える」というのが真実です。私は広範囲なやけどの救命治療などで、非常にたくさんのメッシュ植皮の経験がありますが、どのケースでも、100%メッシュ状やウロコ状に見えました。
※植皮について詳しくは、『タトゥーの皮膚移植による除去治療』をご覧ください。
削皮手術によるタトゥー除去の傷跡
Q:続いて、削皮手術の傷跡はどのようになりますか?
境先生:削皮(皮膚剥削術)というのは、文字通り「タトゥーの墨と一緒に皮膚の表面を削り取る」治療です。削皮や皮膚剥削術では人間の恐怖心をあおるネーミングであるため、「アブレーション」とも呼ばれています。タトゥーの除去の他、毛穴やニキビ跡などの改善にも行われます。
タトゥーの切除治療のように皮膚を切り取って無理やり縫い縮めないので、引きつれやしびれといった後遺症が発生しにくいといえます。また、削皮治療の場合は、植皮のように別の場所から皮膚を採取する必要はなく、移植した皮膚が生着しない、といったこともありません。
そのため、削皮を上手く行うと広範囲のタトゥーでも後遺症のリスクを最小限に抑えて除去することができます。
ただし、削る皮膚の深さや担当する医師の技術や経験によって、傷跡はピンキリです。皮膚を削りすぎると、傷の治りが遅く、「上皮化」(皮膚の再生)に時間がかかってしまいます。上皮化に長時間かかるような削皮を行うと、下図のように傷跡が赤黒く盛り上がり、汚く目立ってしまいます。
また、将来的な皮膚癌のリスクも高くなると考えられ、おすすめできません。
※削皮について詳しくは、『タトゥーの削皮(アブレーション)治療』をご覧ください。
なるべく傷跡を残さずにタトゥーを除去する方法
Q:お話をお伺いし、レーザーだとタトゥーが消えない上にやけど跡ができること、切除はごく小さいもの以外はケロイド状の傷跡や後遺症が残りやすいこと、植皮はパッチワークのように皮膚のつなぎ目が目立つ上に別の部位にも傷跡が残ってしまいます。また、削皮でも削る深さにこだわって丁寧に行わなければ、ケロイド状の赤黒い傷あととなって目立つことが分かりました。
タトゥー除去後の傷跡をなるべく残さないためには、どのように治療方法を選べばよいのでしょうか。
境先生:タトゥーを無傷で除去することはできません。最も良いのは、当たり前ですが、そもそもタトゥーを入れないこと、続いてタトゥーを除去しないことです。「どうしても取りたい」という場合は、信頼できるクリニックや医師を探し、納得がいくまで相談しましょう。タトゥーの色・大きさや部位、墨の入っている深さや濃さだけではなく、その方が置かれている状況などによっても、ベストな方法は異なります。
方法を間違うと、タトゥーが消えないばかりでなく、痛々しい傷跡が残り、引きつれやしびれ、傷跡の化膿、かゆみなど、ひどい後遺症に苦しめられ続けることもあります。「タトゥーがきれいに消える」というのは宣伝文句にすぎないことを肝に銘じ、「この方法なら簡単に取れるだろう」と安易に飛びつかず、慎重に検討するようにしましょう。
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