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タトゥー(刺青・入れ墨)除去治療の種類と特徴(費用・痛み・傷跡など)

更新日:2017.04.03
公開日:2015.05.11
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この記事の監修者
六本木境クリニック 院長 境隆博

失敗すると取り返しがつかないタトゥー(刺青・入れ墨)の除去治療には様々な種類があり、費用や治療後の傷跡、痛み、後遺症など、気になることがたくさんあります。そこで、タトゥー除去治療の経験が豊富な六本木境クリニックの境院長に、タトゥー除去治療の種類とそれぞれの特徴について教えていただきました。

失敗すると怖いタトゥー除去治療

失敗すると目立つ傷跡や後遺症に苦しむことになるタトゥー(刺青・入れ墨)の除去治療。しかし、タトゥーを消す治療には様々なものがあり、「どの治療を選べばよいか分からない」という方も多いと思います。一体どのように治療方法を選べばよいのでしょうか。

タトゥー(刺青・入れ墨)除去治療の種類と特徴

そこで、タトゥーの除去治療の種類やそれぞれの特徴、術後の傷跡などについて、「六本木境クリニック」院長、境隆博先生に詳しく伺いました。

六本木境クリニック院長、境隆博先生

境先生は、年間のべ300症例を超えるタトゥー除去の治療を行っており、タトゥー除去治療について深い知識と豊富なご経験をお持ちです。

Q:タトゥー除去治療の種類と、それぞれどのようなタトゥーを除去するのに向いているのか、教えてください。

境先生:タトゥーの除去治療には、主にレーザーや切除手術、植皮(皮膚移植)、削皮(アブレーション)の4種類があります。それぞれの方法がどのようなタトゥーを除去するのかに向いているかについては、まとめると以下のようになります。

それぞれについて、治療の特徴や注意点などについてご説明していきたいと思います。

レーザー治療

Q:それではまず、タトゥーのレーザーによる除去治療について教えていただけますでしょうか。

境先生:レーザー治療は、墨の色素に反応するレーザー光線を照射し、墨の色素を粉々に粉砕する治療です。破壊された墨の色素は、「貪食細胞(マクロファージ)」と呼ばれる細胞が少しずつ吸収し、体外に排出されます。レーザー治療の特徴は、以下の通りです。

  • タトゥーの色素と同時に皮膚が焼けるため、激痛を伴う
  • やけど跡ができ、傷跡が残る
  • 墨の分量が多い場合は、何度レーザーを照射しても消えない
  • 色によってはレーザーがほとんど反応しない
  • レーザー照射回数が多くなるにつれて効果がなくなる
  • レーザー治療によってやけど跡ができると皮膚が固くなり、他の除去治療を受ける時に悪影響を及ぼす

レーザー治療の最大のデメリットは、高額な費用をかけて何度照射しても、ごく一部のタトゥー以外は消えないことです。これは、上述のマクロファージには吸収できる墨の量に限界があり、一定量を超えると墨がそのまま残ってしまうことと、レーザーを照射するとやけど跡がタトゥーをおおい、レーザーが墨まで届かなくなることが主な原因です。

レーザー照射後のタトゥーの墨と皮膚のイメージ

墨の量がかなり少ない場合はレーザーで消えることもあるかもしれませんが、多くのケースでは、レーザーでタトゥーを完全に消すことはできません。また、レーザーによる傷跡が盛り上がり、デコボコすることが多い印象があります。

また、「まずはレーザー治療を試し、消えなかったら別の方法を」と考える患者さんは多いのですが、上述の通り、一度レーザー治療を行った皮膚は固くなるので、他の治療を受ける時のリスクが高くなってしまいます。気軽に「まずはレーザーを」というのは絶対に止めておきましょう。

※レーザー治療について詳しくは、『タトゥーのレーザー治療の効果・痛み・後遺症』をご覧ください。

切除治療

Q:続いて、タトゥーの切除手術についてご説明をお願いします。

境先生:切除手術は、タトゥーを皮膚ごと切り取り、その結果生じた傷口の両側を縫い合わせる治療です。特徴は以下の通りです。

  • 小さなタトゥーや、幅の狭い(細長い)タトゥーの除去に向いている
  • 大き目のタトゥーを除去するために皮膚を広範囲に切除すると、傷跡がケロイド状になったり、引き連れやしびれなどの後遺症が発生しやすい
  • 女性の場合、バストやお尻のタトゥーを切除すると、ラインが崩れたり、乳頭の位置が左右でずれるなどのトラブルが発生しやすい<
  • 医師の技術・経験によって傷跡の目立ち方や後遺症など、仕上がりが異なる

執刀医の技術や経験により、タトゥー切除後の傷跡や後遺症の発生率に差が生じることは、一般に言われているほど重要な情報ではありません。最も大切ことは、大きなタトゥーに対してはタトゥーの切除自体が良い治療ではないと言う事実です。

大き目のタトゥーを何度かに分けて切除する「分割切除」という方法を実施しているクリニックがあります。そのようなクリニックでは、「一度切除しても、皮膚は伸びる」という説明がなされるようです。しかし、基本的に皮膚は伸びません。そのため、このような説明を信じて大き目のタトゥーに対して切除手術を受けてしまうと、ケロイド状の傷跡や後遺症に悩まされるだけではありません。日常生活で傷口がさけてしまうような場合すら実際にあります。

また、皮膚の切除や縫合の仕方には様々な方法がありますが、一般的には医師の時間や手間をはぶいた簡単な方法によって切除が行われる場合が多いと言えます。具体的には「紡錘(ぼうすい)型切除」というのが最も簡単な方法ですが、これだと墨の入っていない皮膚を多く切り取る必要があり、結果として下図のように縫合した部分が切除幅に比例して強く引っ張られます。そのため、傷跡の幅が広がって紡錘形に似たケロイド状になったり、引きつれなどの後遺症が発生しやすくなります。

紡錘(ぼうすい)型切除によるタトゥー除去

※切除手術について詳しくは、『タトゥーの切除手術による除去治療』をご覧ください。

植皮(皮膚移植手術)

Q:植皮によるタトゥーの除去治療はいかがでしょうか。

境先生:植皮は、墨の入った皮膚を切り取るか深く削り、そこに別の場所から採取した皮膚を移植する方法です。特徴や注意点は以下の通りです。

  • 大き目のタトゥーによく用いられる
  • 植皮する部位(タトゥーを除去する部位)以外に、採皮した部位(移植する皮膚を取る部分)にも傷跡が残る
  • 術後のダウンタイムが長く、長期間入浴などが制限される
  • 植皮の方法によっては、移植した皮膚が生着しにくく、何度も手術を繰り返すことがある
  • 生着率のよい「メッシュ植皮」という方法を行うと、移植した皮膚が下図のようにウロコ状/網目状となり、一生消えない

メッシュ植皮によるタトゥー除去手術後の皮膚

植皮の最大のデメリットは、植皮をする部分以外に、採皮した部分にも目立つ傷跡が残ってしまうことです。皮膚をはぎ取られるのですから、当然かなりの傷跡となりますし、ダウンタイムも長くなります。

そもそも植皮は、広範囲のやけどなどで、植皮をしないと命に危険がある場合や、日常生活に支障が出るような場合に行われる治療です。形成外科医として長年やけど治療などを実施してきた私からすると、タトゥー除去のような、外見が重視される治療に対し、タトゥーとは別の部位にまで傷をつけることに大きな疑問があります。

※植皮について詳しくは、『タトゥーの皮膚移植による除去治療』をご覧ください。

削皮(アブレーション・剥削)

Q:それでは最後に、削皮によるタトゥー除去治療はいかがでしょうか。

境先生:削皮は、文字通り皮膚を削る方法です。完全にタトゥーの墨を除去するほど深く削ると、なかなか傷が治らず、傷跡もケロイド状になります。そのため、タトゥーの墨を90%程度まで削り取り、残りをマクロファージに分解・吸収させるのが良い治療と言えます。特徴は、以下の通りです。

  • 皮膚を切り取らないので、大き目のタトゥーでも除去が可能
  • 植皮のように別の部位にも傷が残ることがない
  • 医師の技術や経験によって、傷跡や術後の経過に大きな差が出る
  • 腕の良い医師が正しく行えば、ダウンタイムが短く、2週間で上皮化(傷が治る)する。
  • 皮膚を削り過ぎると、術後の経過が悪く、下図のようにケロイド状の傷跡になる。

削りすぎによりケロイド化した傷跡

削皮は、別の場所に傷跡を残すことがなく、また正しく行えばダウンタイムも短いので、大き目のタトゥーの除去には大変向いている方法だと思います。しかし、担当する医師の技量により、術後の経過や傷跡に大きな差が出る方法でもあります。

※削皮について詳しくは、『タトゥーの削皮(アブレーション)治療』をご覧ください。

タトゥーの除去治療を受ける際の注意点

Q:タトゥー除去を行っているクリニックのホームページなどを見ると、メリットしか書いていない場合があり、「傷跡が残らずに除去できる」という印象を受けます。しかし、お話を聞いた限りでは、どの方法でもデメリットは存在するように思いました。タトゥー除去治療を受けようか検討中の方に、特に注意すべき点などあれば教えてください。

境先生:絶対にご理解をいただきたいのが、「タトゥーを無傷で消す方法はない」という現実です。確かに、他のクリニックのホームページなどを見ていると、あたかも傷跡が残らずにタトゥーを消せるような印象を与える記載をしているところもあります。しかし、それは大きな誤解です。きれいに消せると信じて治療を受けてしまい、目立つ傷跡や後遺症に悩み、私のクリニックに相談にいらっしゃる方が後を絶ちません。

そのため、私は気軽な気持ちでタトゥーを除去する治療を受けることには反対です。どうしても、ということでなければ、タトゥーを消さない方がよっぽどよいことも多いのです。「カバーマーク」という医療用のファンデーションをおすすめすることも少なくありません。

「それでも、どうしてもタトゥーを消したい」という場合は、「タトゥーを除去すると、必ず傷跡など何かしらのデメリットは残る」ということをご理解いただいた上で、「そのデメリットを最小限にする方法を選ぶ」という心構えで治療をご検討いただきたいと思います。

前述の通り、同じ除去方法でも、医師の技術や経験などにより、仕上がりは全く異なります。また、一度治療を受けてしまえば、元に戻すことはできません。切らないレーザー治療でさえ、やけど跡ができ、元の皮膚には戻らないのです。

担当医やクリニックを選ぶ時は、まずはよくリサーチをしましょう。そして、複数のクリニックを受診して意見を聞き、よく検討することをおすすめします。クリニックによっては、カウンセリング当日に施術を進めるところもありますが、これは絶対に避けるようにしてください。

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