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タトゥー(刺青・入れ墨)の切除手術の痛み・傷跡・経過等について
タトゥー(刺青・入れ墨)の切除手術は、安易に受けると、痛みや傷跡の化膿、引きつれ、しびれなど、深刻な後遺症に悩まされることになります。年間のべ300症例を超えるタトゥー除去治療を行ってきた六本木境クリニックの境院長に、タトゥーの切除手術の真実を語っていただきました。
就職などを控え、タトゥーの切除手術を受けたいとクリニックに駆け込む方は多くいらっしゃいます。しかし、切除手術を受けたことで後遺症に悩まされ、日常生活に支障をきたすケースも少なくないといいます。
タトゥーの切除手術は実際のところ危険性はどのくらいあるのでしょうか。真実を確かめるため、「六本木境クリニック」院長、境隆博先生に、タトゥーの切除手術について詳しく伺いました。
境先生は、年間のべ300症例を超えるタトゥー除去の治療を行っており、タトゥー除去治療について深い知識と豊富なご経験をお持ちのドクターです。
タトゥーの切除手術とは
Q: まずはタトゥーの切除手術の内容や特徴について教えていただけますでしょうか。
境先生:切除手術とは、刺青・タトゥーを皮膚ごと切り取り、両側を縫い合わせる治療です。 こう聞くと、「普通の手術と一緒」と感じ、それほど大変なことだと思わない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、例えば帝王切開などの手術では、皮膚を切開はしても、皮膚自体を切り取って除去することはなく、皮膚の面積はほとんど変わりません。しかしタトゥーの切除手術では、タトゥーと一緒に皮膚自体を切り取るため、皮膚の面積が少なくなります。
タトゥーの切除手術で発生しやすい問題
Q: 皮膚を切り取ってしまうと、どのような問題が発生することがあるのでしょうか。
境先生:皮膚はほとんど伸びませんので、ごく小さいタトゥー以外に切除手術を行うと、必ず無理が生じます。多くの方が「皮膚は伸びる」と勘違いなさっているのですが、私が経験している限り、女性の腹部など限られた部位を除き、皮膚が伸びることはありません。そのため、縫い合わせた傷口は、常に引っ張られている状態となります。そうすると、張力による刺激が加わり続け、傷跡は赤黒く盛り上がり、かゆみや引きつれ、しびれなどの後遺症に悩まされ続けることになります。
そもそも女性のお腹でも妊娠すると妊娠線が無数に生じます。妊娠線は真皮の断裂であり傷あとですので、皮膚が伸びているわけではありません。妊娠の場合でも、もともとあった皮膚の余裕を使い切ることと、たくさんの傷あとが伸びていることによる錯覚で皮膚が伸びて感じるだけと言えます。
クリニックによっては、医師が「皮膚は伸びる」という誤った説明をしたり、術後に問題が生じた原因を「ケロイド体質ですね」などと患者さんに言うケースがあるようです。しかし、上述の通り皮膚は基本的に伸びませんし、ケロイド体質の方は滅多におらず、多くの場合は無理な皮膚の切除および縫合が後遺症の原因です。
切除手術で除去できるタトゥーの大きさ
Q: 切除手術で除去できるタトゥーの大きさとは、大体どのくらいまでなのでしょうか。
境先生:他院で切除手術を受け、後遺症に悩まされて相談にいらした患者さんの事例をみていると、無理がでずに切除できる幅は、大体以下の通りのように思います。
- お腹など、皮膚が余っているまたは伸びやすい部位:4~5㎝程度
- 上腕:2~3㎝程度
- 胸など形や左右の対称性が重要な部位:1㎝前後
- 指:1㎝以下
ご自身のタトゥーが分割切除をして大丈夫かのシミュレーションは簡単にできます。タトゥーの端と端をつまんでみてください。「何とか繋がりそう」「我慢できる」というのでは不十分です。端と端をつまんだ状態で、その部位を色々と動かしてみてください。無理が生じるようであれば、切除手術をするとトラブルが発生する可能性がかなり高いでしょう。
タトゥーの分割切除について
Q: タトゥーの切除治療を行っているクリニックのホームページなどをみると、「何回かに分割して切除すると、その間に皮膚が伸びるので、大き目のタトゥーでも除去が可能」などいうことが記載されていることがあります。分割切除をしても、やはり皮膚は伸びないのでしょうか。
境先生:実は、他院で分割切除を受けた患者さんからの相談が後を絶ちません。一度に切除しようが、分割しようが、何年経過しようが、皮膚が伸びることはありません。人間の体には元々余分なものが少なく、また切除を前提として作られていません。皮膚に余裕があるのは、女性のお腹周りなどごく限られた一部の部位だけです。
他院で分割切除を受けた方の修正手術をしたことは数多くありますが、切除手術からかなりの年月が経過していても、修正手術の時には皮膚がザクロのようにはじけてしまって大変だったり、手がしびれるなど、様々な後遺症が改善せずに続いている方ばかりです。
そのような相談が後を絶たないことが真実を表しています。分割手術をしても、「皮膚はほとんど伸びない」と考えて間違いないのです。分割切除を勧められても、絶対にそれを鵜呑みにしないようにしてください。
大き目のタトゥーに適した除去方法
Q:分割手術のリスクが大きいことはよく理解しました。それでは、大き目のタトゥーには、どのような除去方法が適しているのでしょうか。
境先生:大き目のタトゥーには、皮膚を切り取らず、表面を削る「削皮手術」や、皮膚を切り取った分を補う「植皮手術」が適していると言えます。しかし、たくさんの患者さんをみてきた経験から申しますと、植皮手術よりも削皮手術の方をおすすめしています。
植皮手術は、当然ながら、別の部位から皮膚を採取し、それをタトゥーのあった場所に植皮します。そうすると、問題のない部位にも傷跡が残ってしまいます。また、植皮手術は、多くの場合、上手く行った削皮手術よりも傷跡が目立つ傾向にあり、削皮の方が適していると思っています。
タトゥーの切除手術の方法
Q:続いて、小さ目のタトゥーで切除手術を受ける場合の注意点などをお伺いしたいと思います。まずは、タトゥーの切除方法の内容について教えていただけますでしょうか。
境先生:切除の方法には、「紡錘(ぼうすい)形切除」や「ジグザグ切除」などがあり、それぞれ以下のような特徴があります。
(1)紡錘(ぼうすい)形切除
紡錘型切除とは、上の図のようにタトゥーを葉っぱのような形に切り取り、直線状に縫合する方法です。ホクロの除去など、ごく小さな面積、を切り取るのには適していますが、タトゥーのような、それなりの大きさのものを切除するのには適していません。
真ん中の膨らんだ部分の切開幅が広いため、上の図のように、両側への張力が強くなります。そうすると、引っぱれる刺激が常に傷跡に加わることになり、傷あとがどんどん赤黒く、そして固く盛り上がっていきます。
(2)ジグザグ切除
ジグザグ切除法は、文字通りわざとジグザグに切除する方法です。タトゥーの場合は、タトゥーの線に沿って皮膚を切り取るため、切除する皮膚の面積が紡錘型切除と比べると、かなり少なくて済みます。
また、ジグザグに切除すると、上図のように、辺がさまざまな方向を向いているため創縁にかかる張力が分散されます。また、バネのようなクッション作用があって患部を動かしたときの張力も緩衝・吸収されます。そのため、上述の紡錘型切除のように、傷跡に張力が加わる刺激で赤黒い傷跡ができにくく、切開の傷跡も目立ちにくいという特徴があります。
そのため、タトゥーの除去手術をする場合は、絶対的にジグザグ切除が向いています。
タトゥー切除のもう一つの問題:ドッグイヤーについて
形成外科では常識的な話ですが、一般にはよく知られていない切除手術の問題点としてドッグイヤーというものがあります。紡錘形切除を行うと必ず生じますし、ジグザグ切除でも面積のあるものを切って縫い縮めると必ず生じるものです。簡単に説明すると、一番寄せた部分がくぼみ、周囲は皮膚が余ってふくらむといったものです。
※ドッグイヤーは胸やお尻など、形が重要視されるパーツでは特に注意が必要です。詳しくは『胸・お尻のタトゥーを除去・消したい時の注意点』をご覧ください。
タトゥーの切除手術を受ける時の注意点
Q:タトゥーの切除手術を受ける時、気を付けるべきことがあれば教えてください。
境先生:上述の通り、タトゥーの除去にはジグザグ切除が適していますが、クリニックによっては、問題点を知っていながら、紡錘型切除をするところもあるようです。
大きなジグザグ切除には、技術と豊富な経験が必要となります。さらに、慣れた医師でも非常に時間がかかり、当院では5時間~8時間かかったこともあります。そのため、医師やクリニック側の事情だけを考えると、ジグザグ切除よりも紡錘型切除の方が都合がよいのです。
タトゥーの切除手術を受ける際は、どのような切開方法を行うのか、しっかりと確認するようにしてください。
また、繰り返しになりますが、最初にお話しをした通り、大き目のタトゥーには切除手術は不向きです。皮膚は伸びませんから、大き目のタトゥーを切除すると、必ず何らかの問題が出ます。
適した方法は、タトゥーの大きさや部位、墨の量や入っている皮膚の深さなどによって異なります。安易に選ばず、じっくりと複数のクリニックや医師のカウンセリングを受け、自分にとって最適な除去方法を選択するようにしてください。
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