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粉瘤(アテローム)の皮膚科治療と根治のポイント

更新日:2017.11.07
公開日:2015.04.14
ドクター画像
この記事の監修者
広尾プライム皮膚科 医師 谷祐子

粉瘤(ふんりゅう=アテローム)は、自然に治癒することはあまりなく、自分で治すこともできません。では、皮膚科ではどのような治療を行っているのでしょうか。粉瘤の治療方法について、ケースごとに詳しくご紹介します。

粉瘤(ふんりゅう=アテローム)とは、皮膚の下(表皮)に袋状の構造物(嚢胞:のうほう)ができ、古い角質や皮脂といった老廃物がその中に溜まり、しこりとなる良性腫瘍の一種です。皮膚科に相談される良性腫瘍ではもっとも多いのが粉瘤と言われ、性別や年齢を問わず、誰でもできる可能性があります。

粉瘤(アテローム)の皮膚科での治療方法

粉瘤は悪性ではないので、必ず治療しなければいけないというものではありません。ただし、自然に治癒することはほとんどなく(5mm以下の小さなものは自然治癒する場合もある)、放置しておくと大きくなったり、炎症を起こす場合もあります。こうなると治るまでに時間がかかり、傷跡も残りやすくなるため、できるだけ小さいうちに皮膚科を受診し処置してもらうことをおすすめします。

炎症を起こしていない粉瘤の場合は、皮膚科では外来での短時間な手術によって除去する治療が行われます。炎症を起こしている場合は、抗生物質の投与や小さく切開して膿を出すことでまず炎症を抑え、期間をおいて手術が行われます。

粉瘤(アテローム)を根治させるには

粉瘤は、角質や皮脂が溜まる袋(嚢胞)がなくならない限り再発する可能性があるため、手術によって袋をきれいに取り除くことが根治のポイントとなります。

では、実際にどのように袋を取り除く手術が行われるのか、具体的に見てみましょう。

炎症を起こしていない粉瘤の場合

手術によって、溜まった内容物を袋(嚢胞)ごと取り除きます。その際、袋を取り残すと再発するので、完全に除去することが大切になります。

手術方法には、以下の方法があります。

小切開摘出術(切除術)
粉瘤の真ん中にある開口部(皮膚に開いた小さな穴)を中心に皮膚を紡錘形(レモン状)に小さく切開し、嚢腫(のうしゅ)を袋(嚢胞)ごと引っ張り出す方法です。嚢腫を除去した後の皮膚は、きれいに縫合します。
ヘソ抜き法(くり抜き法)
特殊なパンチで粉瘤に穴を開け、内容物をもみ出す方法です。中身をもみ出したら、最後に袋を除去します。穴は、縫合する場合としない場合があります。縫合しない場合は、ガーゼやテープで保護するケースと、浸潤療法(専用の絆創膏で傷口を覆い、創部からの体液によって自然治癒力を高める方法)を行うケースがあります。縫合するかしないかは、医療機関(ドクター)によって異なったり、傷口の状態を見て判断する場合もあります。

※炎症を起こしていない粉瘤(アテローム)の手術について、詳しくは『粉瘤の手術方法と術後の痛みは?ダウンタイムはあるの?』をご覧ください。

炎症を起こした粉瘤の場合

炎症を起こした粉瘤は、すぐに手術をすることはできません。強い炎症をともなっている状態で手術を行うと、術後感染や縫合不全(縫った傷口が開いてしまうこと)のリスクがあります。また、傷跡を目立たなくするのも難しくなります。

そのため、まずは皮膚を切開して膿だけを出します。膿を取り出しておくだけでも痛みは少なくなり、破裂する危険性もなくなります。そのまま軟膏治療を行い、数か月の間(短ければ1か月程度)傷が落ち着くのを待ち、改めて摘出手術を行います。炎症が軽い場合は切開せず、抗生剤や抗炎症剤で炎症を鎮め、手術を行う場合もあります。

以上が基本ですが、最近は炎症性粉瘤の治療を1回で終えることができる、へそ抜き法を応用した「切開臍(ほぞ)抜き法(ダブルパンチ法とも呼ぶ)」を提唱するドクターもいます。膿のもみ出しから袋の除去までを一度の手術で行い、かつ術後のリスクを少なくできる方法とされていますが、まだ行っている医療機関は多くないのが現状です。

医療機関(ドクター)を探す際は、実績はもちろん、自分の要望に合うかどうかを確かめながら選ぶとよいでしょう。

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