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何もしないスキンケアの効果とは

更新日:2017.12.12
公開日:2013.02.20
ドクター画像
この記事の監修者
白金ビューティフルエイジングクリニック 院長 山口麻子

スキンケアで改善しようとしているのに肌が荒れたり肌トラブルが続く。そんな時は「化粧品を使うのをやめる」という手段もあります。あえて何もしない「肌断食」が美しい肌につながる理由について、ドクター監修のもと解説します。

しっかりスキンケアをしているのに、なぜか肌が乾燥する、化粧のりが悪い、赤味やザラつき、ニキビなどのトラブルが起きてしまう。このような経験は誰にでもあると思います。しかし、そのようなときこそ、スキンケアをいったんお休みして、肌の状態をリセットする「肌断食」をしてみてはいかがでしょうか。

スキンケアを何もしないことによるメリットやデメリット、失敗しないためのポイントについて解説します。

スキンケアのメリットとデメリット

女性は20歳前後になると自然とメイクを学び、クレンジングで落とし、さらに洗顔して化粧水で水分を補い、美容液で栄養を与え、クリームで保護する、という一連の流れが毎日の習慣として生活に組み込まれていきます。しかし、それで本当に肌がきれいになるのでしょうか。

女性にとってあたり前のメイク+スキンケアという習慣が数十年と続いたとき、果たして肌にとってよかったと言えるのでしょうか?20代までは若さでカバーできても、40代にもなればシミ・くすみ・シワなど目に見える老化現象を認識し、「何か違う……」と疑問に思われる方も多いことでしょう。 お化粧品の中には界面活性剤や、防腐剤等の肌に刺激となる化学物質がたくさん入っていますが、残念ながらいくつもの化粧品を長期間使用することに対する安全性については、十分と言える検証がされたことはありません。 実は、きれいになるために続けてきたスキンケアが、かえって肌トラブルの原因となってしまうことがあるのです。

図1 一つひとつの物質に対する研究はきちんとされているものの、化粧品を多種類、そして長期に使用した場合のシミやシワに関する研究などは難しい部分があるようです

メイクをすることのメリットは、心や気分を明るくするといった心理的効果や、素肌をより美しく見せたり、目鼻立ちや長所を引き立たせるといった効果、さらには紫外線を防御するという効果も期待できます。しかし、これらはあくまで楽しむものであり、皮膚の健康を考えると、メイクは肌とって負担となりますし、毎日過剰に塗っていては肌を痛める可能性も考えられます。

図2 さらにクレンジングや化粧水、乳液やクリームも、メイクを落とすために過剰に洗顔した結果、肌が乾燥し、これらのケアが必要だと感じているだけで、顔以外の皮膚と同様、本来どうしても必要だというものでもないのです。

スキンケアで何もしない効果とは

肌はもともと、水分を保持して油分とのバランスをとり、健康な状態に整える働きを持っています。スキンケアの本来の目的は、こうした肌の働きをサポートすることで肌を健康な状態に近づけることです。しかし、そのスキンケアが肌トラブルの原因となる可能性もあるとお伝えしました。

つまり、メイクも基礎化粧品もある意味では肌にとっては異物と言えるのです。肌が健康な人にとっては、これらの異物が肌に負担をかけてもすぐに修復してくれるため、目立ったトラブルが起こらず、メイクや基礎化粧品が異物であることに気づきません。

しかし肌の弱い人や敏感な人は、メイクや過剰なスキンケアの結果、赤みや発疹などのトラブルが起こり、自分に合う化粧品を探し続けることになります。しかし、化粧品に頼らない美しい素肌を作ることができれば、理想的ではないでしょうか。

「メイクをしてもきれいに見えない!」という人は、欠点をカバーするメイクをやめ、「肌断食」を試してみるのもよいかもしれません。

図3 コスメの成分がアレルギーや肌荒れをひき起こすことも…

乾燥肌への効果

「保湿ケアをしっかり行っているのに肌のカサつきが改善しない」「むしろ保湿ケアをしていたら乾燥が悪化した」という経験をお持ちの方もいるかもしれません。そのような場合、化粧品をやめて肌を休ませることで回復するという可能性もあります。

乾燥した肌によかれと思って使用していた乾燥肌用の化粧品であっても、肌にとっては異物です。その化粧品の成分が刺激となり、肌が荒れている可能性もあります。そのような場合、肌が持っている自然治癒力にゆだねてみるのも一つのスキンケアと言えるでしょう。

ニキビ肌への効果

スキンケアやメイクを一切やめることで、慢性的なニキビが改善する場合もあるようです。何もしないスキンケアをすることで、スキンケアの際に必要だった「肌に触ること」がなくなります。本来、肌はできるだけこすったり触ったりしないのがよいものです。ニキビをできるだけ刺激しないという意味でも、ニキビ肌への効果が見込めるかもしれません。

肌トラブルには、何もしない肌断食を

肌になんらかのトラブルが起こったら、いったんメイクやスキンケアを中断し、肌断食としてぬるま湯洗顔だけで様子を見てみるとよいでしょう。ただし、発疹や腫れるなど接触性皮膚炎のような、どちらかというと病気の部類に入るものは皮膚科医に相談しましょう。

肌断食とは

肌断食とは、一部のドクターや美容家が提唱している美容の考え方であり、化粧水や乳液、クリームなどのスキンケアを一切やめることを意味しています。朝の洗顔は水やぬるま湯だけで行います。夜の洗顔も基本的には水やぬるま湯ですが、メイクをしたときなどには純石けんのような肌にやさしい洗顔料で洗顔します。いずれも、洗顔後のスキンケアは行いません。まったく保湿をしないとなると不安に思うかもしれませんが、肌の乾燥対策としてワセリンは使用できます。

このような肌断食を始めると、一時的に肌荒れやニキビ、角栓などが現れる場合があるといわれています。しかし、それは肌が生まれ変わろうとする過程で現れる症状だといわれています。

ただし、肌断食はアトピー性皮膚炎や敏感肌といったもともと肌の弱い方は慎重に行う必要があると考えられます。このような方は、肌断食を行う前にかかりつけの皮膚科医に相談することをおすすめします。また、それ以外の方でも肌に痛みや違和感が出た場合は、すぐに皮膚科医に相談しましょう。

何もしないスキンケアで失敗しないために

クレンジング剤を使わなければ落とせないような濃いメイクは、肌に負担をかけていますので、できればメイクは石けんで落とせる程度のものがよいでしょう。メイクをしていないのであれば、日中肌についてしまったほこりや皮脂はぬるま湯の洗顔で十分に落とせます。

洗顔後は、先入観にとらわれず、何もつけないで素肌の様子を観察してみてください。直後につっぱる感じがしても、何も塗らずにしばらくして肌が自然にしっとりしてくる人は、自分自身の持つ保湿能力があるということです。カサつく部分はワセリンなど不要な添加物が入っていない保湿剤を塗る程度で十分です。保湿剤は1種類で十分です。何種類も使う必要はありません。

肌断食で本当に必要なものを見極めよう

トラブルがある人はもちろん、トラブルのない人でも週末などを利用して上記のような肌断食を行ない、自分の本来の肌状態をじっくり観察してみると良いでしょう。

「余計なことはしない」という肌断食のスキンケアで、乾燥が緩和された、肌のキメが整った、吹き出物が改善された、という報告も少なくありません。過剰なメイクやスキンケアは卒業して、ファンデーションに頼らない美しい素肌を目指してみてはいかがでしょうか。

まとめ

何もしないスキンケアで肌が回復するまでには、数か月から数年という長い時間がかかる人もいるようです。一方で、何もしないスキンケアを続けることで肌の状態が改善したという話もネット上では見受けられます。

肌によい作用が期待される化粧品であっても、肌から見れば異物です。さまざまなアイテムを使用したり、スキンケアをたっぷりと行い続ける中で、化粧品の成分が肌の刺激になったり、肌本来の回復力を損なっている可能性も考えられます。化粧品やコスメに頼らず自然に美しい肌を回復するために、肌断食という手段もあるということを知っておいてください。

ただし、以下の注意点だけはおさえてください。

  • アトピーや敏感肌の方は肌断食を行う前に医師に相談すること
  • 肌断食を始めて痛みなどが表れた場合は医師に相談すること

また、間違った方法で行うとかえって肌がダメージを受ける可能性も考えられます。できるだけ皮膚科の医師に相談しながら、正しい方法で肌断食を行うことをおすすめします。

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