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医療従事者に多いラテックスアレルギーとは

更新日:2017.11.08
公開日:2017.11.08
ドクター画像
この記事の監修者
おおり医院 院長 大利昌久

ラテックスアレルギーとは、天然ゴム製品を使うことで起こるアレルギーで、ゴム手袋などを頻繁に使う医療従事者などに多いといわれています。ここでは、ラテックスアレルギーの原因や治療などについて、ドクター監修のもと解説します。

ラテックスとは、天然ゴムのことです。天然ゴム製品は、私たちのまわりにたくさんあります。ゴム手袋、輪ゴム、ゴム風船、ばんそうこう、運動靴、コンドームなどもすべて天然ゴムで作られています。ここでは、身近に存在するゴムでアレルギーを発症する「ラテックスアレルギー」の原因や治療などについて見てみましょう。

ラテックスアレルギーとは

ラテックスアレルギーとは、天然ゴムのタンパク質に免疫が過剰反応をして、アレルギー症状を引き起こすものをいいます。初めて報告されたのは、1979年の医学雑誌です。ゴム手袋や医療機器に多く天然ゴムが使われていることなどから、患者や医療に従事する医師、看護師などを中心にラテックスアレルギーが報告されています。

さらに、ラテックスアレルギーを持っている人には、ゴムの木に似た分子構造を持つ木の果物を食べると、同じようなアレルギー反応が出ることがわかっています。たとえば、

  • バナナ
  • アボカド
  • パイナップル
  • キウイ
  • メロン

などです。こうした果物でのアレルギー反応を「ラテックスアレルギー・フルーツ症候群」と呼んでいます。

ラテックスアレルギーの原因

ラテックスアレルギーの原因は、天然ゴムです。ラテックスは、ゴムの木の幹から採取する樹液が原料となっています。ゴムの木の樹液には、たくさんのタンパク質が含まれており、このタンパク質に免疫が過剰反応してしまうのです。

加工したものであっても、ゴムを使用した製品にはアレルギーを起こすタンパク質が微量に残っています。特に、ゴム手袋の場合、長時間使用することで汗をかきます。その汗によって、水溶性であるタンパク質が製品から流れ出てしまいます。さらに、ゴム手袋を装着しやすいように内側にまぶされているパウダーの粒子が皮膚の表面に微小の傷を作ります。そのため、ラテックスアレルギーのアレルゲンが体内に入りやすくなることも原因になっています。

ラテックスアレルギーの症状

ラテックスアレルギーでもっとも多い症状が、接触蕁麻疹(じんましん)です。ゴム手袋を装着したことで、手に

  • かゆみ
  • 赤み
  • ブツブツ
  • 水ぶくれ

などが起こります。接触していた手だけでなく、全身にこのような症状が現れることも珍しくありません。また、呼吸器系の症状も出ます。これは、手袋に付いたパウダーが空気中に拡散して、それを吸い込んだために起こる症状です。

  • 喘息のような発作
  • 息苦しさ
  • のどの奥がイガイガする

などの症状が現れます。

ラテックスアレルギーの検査

ラテックスアレルギーを見極めるために、以下のような検査が行われます。

問診

詳しい病歴を聞かれます。職業(医療従事者やゴム製品を使用する機会が多いなど)や、食物アレルギーの有無などをチェックします。

血液検査

血液中のラテックスIgE抗体の有無を検査します。ただし、ラテックスの場合は、製品になる過程でさまざまな薬品や加熱処理を行うため、タンパク質自体の分子構造が変化している可能性があり、抗体が確認されないケースもあります。

皮膚テスト

皮膚テストは、天然ゴムで作られたゴム手袋を刻んで生理食塩水に入れた液を使って行うパッチテストです。血液検査結果で抗体異常があった場合、劇症化する可能性もあるので、必ず専門病院で行われます。

負荷テスト

実際にゴム手袋を装着して、アレルギー反応を観察します。血液検査や皮膚テストを終えてからの最終検査になります。強い反応が出る可能性があるため、事前の血液検査や皮膚テストで危険性がある場合には行いません。

ラテックスアレルギーの治療

ラテックスアレルギーへの特効薬は、今のところありません。アレルギーを発症しないために、とにかくゴム製品の使用を避けることが大切です。仕事柄、使用せざるを得ない場合は、ラテックスを使っていない素材のものを選びましょう。

また、ゴム製品の使用を避けるだけでなく、同じタンパク質構造を持つ果実にも注意しなくてはなりません。ラテックスアレルギーを発症すると、今まで食べていても大丈夫だった

  • バナナ
  • アボカド
  • パイナップル
  • キウイ

といったものにもアレルギー反応が出る場合があるため、症状が出ている間は可能な限り食べるのを控えましょう。体調によっては、症状が強く現れる時期があります。この時期には、アレルギー反応を抑える抗アレルギー薬を服用するようにします。もしも、アレルギー症状が出てしまった場合には、すぐに抗ヒスタミン薬、副腎皮質ステロイドを使って、アナフィラキシーショックが起こるのを回避する必要があります。

まとめ

私たちの身近には、天然ゴムを使った製品がたくさんあります。ラテックスアレルギーと診断された場合は、ひとつ一つの身の回りのものを検証して、できるだけ代替できる用品を揃えるようにしましょう。また、バナナやパイナップル、桃など特定の果物を食べて口の中がヒリヒリするという人は、もしかするとラテックスアレルギーが隠れている可能性があります。病院で検査を受けることをおすすめします。

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