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アトピーは完治できる?薬での治療法とは
アトピー性皮膚炎は、遺伝などのアトピー素因だけではなく、さまざまな原因によって発症する皮膚疾患のひとつとされています。アトピー性皮膚炎の完治について、ドクター監修の記事で解説します。
さまざまな要因によって引き起こされるアトピー性皮膚炎ですが、完治にむけた治療方法や改善策について見てみましょう。
アトピーになりやすい人の特徴
アトピー性皮膚炎になりやすい人は、アトピー素因を持っていることがあります。アトピー素因とは、家族や本人にアレルギー性鼻炎や気管支喘息、結膜炎、アトピー性皮膚炎のいずれか、または複数の既往歴があること、あるいは、IgE抗体と呼ばれる免疫にかかわるタンパク質を生成しやすい要因などがあげられます。アトピー性皮膚炎の原因は、アレルギー的な素因に加え、皮膚のバリア機能が低下することにより生じるといわれています。
アトピーは完治できるか否か
アトピー性皮膚炎は、完治することができます。特に、幼小児期までに治しておくことが重要といわれています。皮膚の症状を適切にケアすることでバリア機能の低下を防ぎ、結果としてアトピー性皮膚炎の症状は治っていきます。
しかし、ある年齢(おおむね6歳)までスキンケアを怠ると、バリア機能が低下しているため、さまざまなアレルゲンが皮膚を通して侵入し、アレルギーが発症しやすくなります。その結果、だんだん治りにくい状態になっていくと考えられています。以前は、アレルギーがあるからアトピーになると考えられていましたが、現在では、アトピーを放置すると食物アレルギーを獲得しやすくなると考えられています。
アトピーの治療法
アトピー性皮膚炎の治療方法は、症状によって薬物療法や、皮膚炎の症状から生じた異変に対してのスキンケア、悪化因子の特定や対策などが基本ですが、人それぞれの症状や程度などを考慮して適切に組み合わせた治療が行われます。遺伝的な素因を含むアトピー性皮膚炎は、さまざまな原因によって現れる疾患であり、現時点において疾患そのものを完治させる治療法は確立されていません。
しかし、疾患が発症した部位では、皮膚の炎症によってさらなる皮膚バリア機能が低下することや、刺激に敏感になること、掻くことの刺激によって起こる湿疹の悪化などの悪循環が生じます。それを制御するためにも、薬物療法で炎症を抑えることは、アトピー性皮膚炎に対する悪化因子を減少させることになるといわれています。
薬物療法
アトピー性皮膚炎の薬物療法としては、以下のような外用薬や内服薬の処方が考えられます。
- 抗炎症外用薬
現時点においては、アトピー性皮膚炎の症状である炎症を十分に鎮めるために処方される薬剤で、科学的にも安全性や有効性が検討されている薬剤としてステロイド外用薬やタクロリムス軟膏が考えられます。
ステロイド外用薬
アトピー性皮膚炎の主な処方薬としてステロイド外用薬がありますが、アトピー性皮膚炎の炎症に対して、十分に鎮静作用が認められる薬剤だといえます。ステロイド外用薬には、作用の強い順にストロンゲスト、ベリーストロング、ストロング、ミディアム、ウィークに分類され、炎症や皮疹の重症度に適したランクの薬剤を正しく選択し、適切な量を必要な期間で外用することが重要とされています。ステロイド外用薬には、クリームや軟膏、ローション、テープ剤などさまざまな形があり、部位や症状によって選択が可能です。
ステロイド剤に関して副作用を心配される方も多いようですが、適切に外用すれば全身的な副作用は少なく、安全性が認められています。また、局部的な副作用においては、毛細血管の拡張や皮膚萎縮、多毛、ステロイド潮紅、ステロイドざ瘡、皮膚萎縮線条(ひふいしゅくせんじょう)、真菌・細菌・ウイルス性皮膚感染症の悪化などが現れることもあります。しかし、皮膚萎縮線条を除いてほとんどの場合はステロイドの外用を中止することや適切な処置をすることで軽快するとされています。
タクロリムス軟膏
タクロリムスは、副作用の心配などからステロイド外用薬での治療が困難なアトピー性皮膚炎の症状に対しての有効性が期待できます。しかし、使用上、ステロイド外用薬にはない制約や、粘膜やただれた皮膚などには使用できず、効果にも限界があるなどのデメリットがあるとされています。また、ウイルス感染症や細菌による皮膚二次感染などが考えられるなど、安全性が確保できていない理由から、妊婦や授乳中の女性、2歳未満の小児は使用しないようにしましょう。
プロアクティブ療法
再燃をくりかえすアトピー性皮膚炎に対して、症状の発現が急激に生じる時期を外用薬などによって落ち着かせた後に、保湿外用薬などによるスキンケアを続けながら、ステロイドやタクロリムス外用薬を週に2回程度定期的に使用します。このようにすることで、症状が落ち着いた状態を維持する治療法とされています。
- 内服薬
かゆみに対して、外用薬との併用が考えられます。
抗ヒスタミン剤
かゆみで皮膚をかいてしまうことから皮膚炎が悪化したり、感染症を引き起こしたり、眼合併症などを誘発する危険性があるため、外用薬の補助的な療法として抗ヒスタミン剤を服用しかゆみを緩和させることがあります。
シクロスポリン
欧米の多くの国において、アトピー性皮膚炎に対しての有効性が認められているシクロスポリンですが、日本では強い炎症をともなう重症の成人アトピー性皮膚炎の患者に対してのみ使用が承認されています。顔面の紅皮症や顔面の難治性紅斑などに有効で、かゆみも軽快するとされています。しかし、長期使用での安全性は認められていないため、症状が軽減した後には外用薬での治療のみに切り替えることが大切だと考えられています。
漢方薬
皮膚科で処方が可能な漢方薬の内服薬として、消風散(しょうふうさん)や補中益気湯(ほちゅうえっきとう)があります。ステロイド外用薬の使用で軽快が見られない場合や、疲れやすかったり、根気が続かなかったりなどの漢方でいう気虚が見られる場合に、ステロイド外用薬と併用して処方されることがあります。
アトピーの改善策
アトピー性皮膚炎は、かゆみが激しく掻くことで悪化する疾患とされているため、かゆみを誘発する因子を排除することが大切です。皮膚の汚れや発汗、乾燥、掻き壊しなどで発症や悪化がみられるため、皮膚を清潔に保ち、保湿や保護をすることが改善に繋がると考えられます。
皮膚を清潔に保つ
アトピー性皮膚炎の予防・改善には、汗や汚れなどをシャワーや入浴、濡れたタオルで拭くなどによってすみやかに排除し、皮膚を清潔に保つことが大切です。
皮膚の保護や保湿
アトピー性皮膚炎の改善には、ドライスキンを解消するための保湿や、掻き壊さないように保護することが大切です。入浴やシャワーの後に、症状にあわせた外用薬の塗布や皮膚を掻かない工夫が必要とされています。
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