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便秘の薬(5)ビサコジル
便秘薬にはさまざまな種類がありますので、それぞれの違いや特性を理解しておくことが大切です。ここでは、市販の便秘薬にも配合されている「ビサコジル」について、その効果や服用上の注意点などをドクター監修のもと詳しく解説しています。
ビサコジルとは?
ビサコジルは、大腸を刺激することで便通を促す成分です。市販の便秘薬の中にもビサコジルを含むものがありますので、慢性的な便秘にお悩みの人であれば、服用したことのある人もいるかと思われます。
内服薬としては、センナなどと一緒に配合されているものが多く、ビサコジル単体の場合は、座薬の形で市販されていることが多いようです。
ビサコジルが便秘に効くメカニズム
大腸にたどり着いたビサコジルは、腸粘膜の副交感神経を刺激して蠕動運動(ぜんどううんどう)を促進するとともに、腸粘膜に直接作用することで、便意を刺激して排便を促します。また、水分が必要以上に奪われてしまうことを防ぐ役割もありますので、便のカサを増すとともにやわらかくしてくれます。
便の水分不足、腸機能の低下、便意が起こらないこと、という3つの便秘の原因に対して働きかけ、自然に近い形での排便を実現します。便秘に効くのはもちろんのこと、便秘に由来する膨満感や食欲不振などにも効果が期待できます。さらに、腸内の異常を改善してくれることもありますので、便秘解消の強力な味方となるでしょう。
ビサコジルの特徴
ビサコジルは、便秘薬の中でも刺激性下剤に分類され、その中のジフェニルメタン系に該当します。ジフェニルメタン系の便秘薬の特徴は、効能がソフトだという点にあります。従来のフェノールフタレイン系の便秘薬に比べると効き目がやや弱いですが、そのかわり体への負担も小さめです。かつては便秘薬というと、腹痛をともないがちというイメージが強かったと思いますが、ジフェニルメタン系便秘薬は体にやさしく便秘を解消できるところが、メリットになります。
ビサコジルがお腹にやさしい理由
ビサコジルは、胃や小腸の中を作用しないまま通過し、大腸に入ってから効果を現し、腸の粘膜に直接作用する特徴をもっています。ビサコジルの刺激が少ないといわれているのはそのためです。胃や小腸などに余計な刺激を与えずに大腸だけに作用する、やさしく効率のよい薬と言えます。
ビサコジルの服用上の注意点
比較的副作用の少ない薬ですが、ビサコジルも含めすべての薬品には副作用があるため、人によっては思わぬ症状が出ることがあります。激しい腹痛や直腸炎、まれに血圧低下、チアノーゼなどのショック症状を起こしたりする場合もありますので、体に不調があった場合には使用を中止してすぐに医師に相談しましょう。
また、妊娠中や授乳中の人の使用は望ましくありません。糖尿病や腎臓病などにかかっている人も、使用前に医師への報告を忘れないようにしましょう。その他の注意点としては、ビサコジルは腸の働きを促進することで便秘を改善するものになるため、ほかの便秘薬と同様に痙攣性便秘には逆効果となり、悪化させる可能性もありますので、効果が現れない場合には使用を中止し、医師に相談しましょう。
もちろん、効果があるからといって長期的に常用することも厳禁です。便秘薬はあくまでも「どうしても」の時の使用に留めて、食生活や生活習慣の改善を目指すことが重要です。
制酸剤は、胃酸を中和するタイプの胃薬に含まれる成分です。ビサコジルと同時に牛乳や制酸剤をとってしまうと、制酸剤や牛乳の作用で胃酸が中和されることでビサコジルが胃の中で溶けてしまい、本来の効能を発揮できなくなる可能性があります。
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