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アトピー肌の化粧品選び(5)乳液
ドクター監修の記事で、アトピー肌の乳液の選び方について解説します。肌のバリア機能や水分保持力が弱いアトピー性皮膚炎の肌は、とてもデリケートな状態です。そのような肌には、どのように乳液を選ぶべきなのかお伝えします。
乳液とは?
乳液とは、“エマルジョン”や“ミルク”などとも呼ばれ、皮膚に水分と油分の両方を補い、皮膚からの水分の蒸発を防ぐ目的で使用します。化粧水や美容液のあとに使用するのが一般的ですが、使用法や使用順序はメーカーによって異なります。
この乳液は、アトピー性皮膚炎の肌にはどのような役割を果たすのか。また、乳液はそもそも必要なのか、などを解説していきます。
乳液の役割
『アトピー肌の正しい保湿ケアと保湿成分の選び方』で述べたように、保湿には次の2種類の考え方があります。
(1)異物の侵入や水分の蒸発を防ぐために、肌の表面を保護する保湿
皮膚の表面をコーティングして守ることで、水分の蒸発や異物の侵入を防ぐ保湿方法です。
(2)肌の水分を保持する保湿
乾燥しやすいアトピー性皮膚炎の肌は、水分量が低下しています。そのため、肌に水溶性の保湿成分や、角質層の水分保持力を補うための保湿です。
水分と油分の両方を補う乳液は、(1)と(2)の両方の役割を兼ね備えていますが、クリームやオイルよりも水分が多いため、どちらかというと(2)に近い存在といえるでしょう。
乳液に含まれる界面活性剤は安全?
乳液に使われる界面活性剤は、「乳化」目的のため、クレンジング剤などに含まれる界面活性剤より脱脂力が弱く、余分な油分を肌から奪うことはないと言われています。
しかし、特に肌のバリア機能が低下している場合は、界面活性剤そのものが異物として肌内部に侵入し、刺激となります。
そのため、アトピー肌は、乳液の使用を控えておいたほうが安心です。代わりに、添加物が含まれていないワセリンや精製度の高いオイルなどで、表面をコーティングして守るタイプの保湿(上述の「異物の侵入や水分の蒸発を防ぐために、肌の表面を保護する保湿」)を行うようにしましょう。
アトピー肌におすすめの保湿法
アトピー性皮膚炎の方の角質層は、セラミドという角質層の細胞間脂質の主成分が少なくなっています。
肌の水分保持力やバリア機能は、セラミドを主成分とする細胞間脂質が80%、NMF(天然保湿因子)が18%、皮脂が2%を担っています。そのため、セラミドが不足すると、お肌はとても乾燥しやすくなります。
お肌が乾燥したり、角質層がダメージを受けると、その情報は真皮層まで届き、皮膚は自らを守ろうとします。具体的には、角質層を厚くしようと、ターンオーバーを早めます。
セラミドはターンオーバーがしっかりと正常に行われることで生成されるので、このようにターンオーバーを早めて急いで作られた角質層では、十分なセラミドが生成されません。
この「ターンオーバーが早まり、未熟な角質層が作られる」という現象を「過角化」「以上角化」と呼びます。このように角化(ターンオーバー)に異常が生じているのを鎮め、ターンオーバーを正常にすることが、アトピー性皮膚炎の改善にはとても重要です。
そのためには、お肌の表面をしっかりとカバーし、「乾燥している/ダメージを受けている」という情報が真皮層に届かないようにしなければいけません。
『アトピー肌の正しい保湿ケアと保湿成分の選び方』で詳しく説明した、「表面をガードする保湿」のみを実施し、しっかりとお肌を乾燥から守ると同時に、余計な物質を肌に付着させないようにしましょう。
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