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毛穴パックを使った角栓の取り方は逆効果?いちご鼻が改善しない理由

更新日:2018.02.23
公開日:2014.08.01
ドクター画像
この記事の監修者
広尾プライム皮膚科 医師 谷口由紀

毛穴パックは、鼻などの角栓や毛穴の黒ずみをスッキリ取る便利なスキンケアアイテム。ですが、やり方を間違うと肌の乾燥や肌トラブルを招く可能性も。毛穴パックの正しい方法や保湿ケアについて、ドクター監修のもと解説します。

放っておくと黒ずみを引き起こすことにもなる「毛穴の汚れ詰まり」や「角栓」を取り除く毛穴パックは、とても魅力的なアイテムです。しかし、どのような方法であれ「強い力」を加えて行うケアは肌に負担がかかるものです。毛穴パックに関する正しい知識を持って、肌をきれいに守りましょう。

毛穴パックはしてもいい?その効果とは

毛穴パックとは、洗顔だけでは完全に取り除くことの難しい毛穴の奥の汚れまで吸着し、取り去るパックのことです。毛穴パックには、以下のようなメリットとデメリットがあります。

毛穴パックのメリット

  • 角栓をすっきり取り去ることができる
  • 一気に角栓を除去できる

毛穴パックのデメリット

  • 本来肌に必要な水分や油分を一緒に除去してしまう
  • パック剤が肌に残るとトラブルの原因となる

では、毛穴パックはどのように使うとよいのでしょうか。まずは、毛穴パックで取り去りたい鼻の角栓や黒ずみができる原因から見てみましょう。

鼻の角栓・黒ずみの原因

そもそも、鼻の毛穴に角栓ができ、いちご鼻になる原因について見てみましょう。角栓とは、毛穴から分泌される皮脂と、肌に付着した汚れ、角質という肌の古い細胞がまじりあってできるものです。鼻の毛穴に角栓ができる理由として、以下の4つがあげられます。

  • メイク汚れやホコリ
  • 皮脂の過剰分泌
  • 乾燥や保湿不足
  • 新陳代謝の乱れ

1つずつ詳細を見ていきましょう。

メイク汚れやホコリなどの酸化

しっかりクレンジングをしたと思っていても、日々のメイクの落とし残しが出てしまう場合もあります。また、日々の暮らしの中で肌の表面にはホコリなどの汚れも付着します。このような汚れが皮脂や古い角質と混ざり角栓ができるのです。

皮脂分泌が過剰になっている

皮脂は、肌の表面を外部の刺激から保護したり、肌の表面から水分が蒸発したりするのを防ぐ役割を担っているため、適量は必要です。しかし、皮脂が多すぎると古い角質や汚れと混ざって毛穴を詰まらせやすくなります。

皮脂の分泌が過剰になる原因は、さまざまなことが考えられます。後述する肌の乾燥もその原因のひとつです。そのほか、ストレスによって男性ホルモンの分泌が多くなることも皮脂の過剰分泌につながります。男性ホルモンには、皮脂の分泌を促進する作用があるのです。このストレスには、

  • 精神的なストレス
  • 気温の急激な変化
  • 睡眠不足
  • 疲労

などの肉体的なストレスも含みます。

乾燥や保湿不足

肌の乾燥や保湿ケアの不足も角栓ができやすくなる原因です。肌が乾燥すると肌を守るために皮脂の分泌が多くなります。そのうえ、乾燥した肌は柔軟性を失い、毛穴も伸縮しにくくなることから、毛穴が閉じにくくなります。これによって毛穴も詰まりやすくなるのです。

新陳代謝の乱れ・メラニンの蓄積

本来、角質は肌の新陳代謝のサイクルの中で自然とはがれ落ちます。ところが、この古い角質が新陳代謝の乱れによっていつまでも肌表面に残ることがあります。古い角質が毛穴から分泌される皮脂と混じり合い、角栓ができるのです。そのため、皮脂の分泌量が多い鼻や眉間といったTゾーンは、角栓ができやすいといえます。

また、毛穴が黒く見える原因として、毛穴の入口にメラニン色素が蓄積していることもあげられます。通常、メラニン色素は肌の新陳代謝で古い角質とともにはがれ落ちます。新陳代謝のサイクルは28日前後が理想的といわれていますが、このサイクルが長くなるとメラニン色素が肌の中に蓄積されるのです。

肌の新陳代謝はターンオーバーとも呼ばれますが、このターンオーバーが乱れる原因として、以下のことが考えられます。

  • 生活習慣の乱れ
  • ストレス
  • 加齢

そのため、鼻の角栓を毛穴パックで除去するほか、これらの原因にアプローチしてターンオーバーの乱れを改善することも、角栓のできにくい肌を目指すためには大切なことです。

毛穴パックは鼻の角栓を解消できる?

毛穴パックは、鼻の角栓を吸着して一気に除去できるため、効果が目に見えてわかりやすく、つい頼りたくなるかもしれません。しかし、本当に角栓を解消できるのでしょうか。

結論から言うと、毛穴パックは鼻の角栓を解消する方法としておすすめできません。それは、以下のような理由からです。

  • 本来肌に必要な分の角質までも除去してしまい、水分や油分が失われる
  • ごっそり角栓を取ってしまうことで毛穴に雑菌が入りやすくなる
  • 皮脂が過剰分泌し、オイリー肌になりやすい

毛穴パックには、シートタイプのものと洗い流すタイプのものがあります。シートタイプの毛穴パックは角栓を吸着してごっそり取り去るものですが、角栓だけでなく肌に本当は必要な角質や皮脂まで一緒に取り去ってしまう危険性があります。

それにより、肌表面から水分や油分が失われ、肌に大きなダメージを与える可能性があるのです。また、角栓を根こそぎ取り去ることから、毛穴の中に雑菌が入り込んでしまう可能性があります。雑菌は、繁殖するとニキビなどの炎症を起こす原因となるのです。

また、洗い流すタイプの毛穴パックでもシートタイプのパックでも、皮脂を必要以上に取り去ってしまう可能性が考えられます。皮脂は肌を守るために必要なものです。そのため、必要な皮脂が不足すると、皮脂がより多く分泌されるようになります。そして、皮脂が過剰なオイリー肌になる可能性が高くなるのです。

毛穴パックのほかに、鼻の角栓を改善するのに役立つとされるケアに、

  • ピーリング石鹸
  • 酵素洗顔料
  • 重曹洗顔

などのケアがあります。これらは鼻の角栓を解消するのに役立つのでしょうか。

ピーリング石鹸や酵素洗顔料は?

ピーリング石鹸とは、角質を溶かす成分が配合された洗顔料のことです。また、酵素洗顔料とは古い角質や毛穴に詰まった皮脂を取り除く作用が期待される酵素が配合された洗顔料のことです。これらの洗顔料を使うことで、角栓のケアのほか、角栓のもととなる古い角質のケアにも効果を期待できるのが特徴です。

一方で、ピーリング成分が肌に合わなかったり、必要以上に使いすぎたりすると、かえって肌トラブルを招く可能性も考えられるため、選び方や使い方をしっかり確認することが大切です。

重曹洗顔は?

重曹洗顔とは、重曹(炭酸水素ナトリウム)を洗顔料にひとつまみほど加えて洗顔する方法のこと。毛穴の黒ずみや詰まっている角栓をすっきり取り去る効果が期待できると口コミなどで話題です。しかし、医学的な面から考えると、前述したピーリング石鹸や酵素洗顔料、毛穴パックを使用して角栓や毛穴の汚れケアをすることをおすすめします。

なぜなら、重曹は食用や薬用、工業用、掃除用とさまざまな用途に合わせて作られたものが販売されていますが、スキンケア用に作られているものはありません。また、重曹は粒子が大きいため、肌を必要以上にこすってしまう心配もあります。その刺激によって、色素沈着などの肌のトラブルを招く可能性が考えられるのです。このことから、重曹洗顔よりも、スキンケアを目的として作られているピーリング石鹸や毛穴パックなどがおすすめといえます。

ここまで、角栓や毛穴の黒ずみを取る方法をご紹介しました。では、その方法の1つである毛穴パックはどのように選ぶとよいのでしょうか。

毛穴パックは注意しないと逆効果に

毛穴パックには、前述したように2つのタイプがあります。しかし、いずれも注意しないとかえって角栓のできやすい状態になったり、乾燥肌になったりする危険性があるため注意が必要です。

剥がすタイプ(シートタイプ)はおすすめできない

剥がすタイプの毛穴パックの特徴は、毛穴に詰まった角栓を吸着するため、一度にスッキリと角栓を取ることができます。

しかし、シートを剥がすときに肌への大きな刺激があります。また、肌の表面に広がり、肌を保護する役割を持っている皮脂膜もシートを剥がしたときに取り去ってしまう場合があります。皮脂膜は、肌表面から水分が蒸発するのを防ぐ役割を担っています。そのため、肌の乾燥につながるリスクも考えられます。剥がすタイプの毛穴パックは、肌への刺激が強いことから、少しでも痛みを感じたりした方は避けたほうがよいかもしれません。

このほか、使いすぎると毛穴のゆるみを招き、皮脂や汚れがさらに詰まりやすい毛穴にしてしまう可能性もあります。

洗い流すタイプは洗浄力が強い場合も

主に土を原料としたクレイパックなどが洗い流すタイプの毛穴パックにあたります。このタイプのパックの特徴は、泥などが持っている皮脂を吸着する性質によって、毛穴をケアすることです。シートパックと違い、鼻などの決まった部位以外にも使用できます。

皮脂を取り去ることから、洗い流すタイプの毛穴パックを使った後も肌が乾燥しやすくなります。剥がすタイプのパックとくらべて肌への負担は小さいですが、洗浄力が非常に強いため、肌の水分や油分も一緒に洗い流してしまうことがあります。

手軽に使用できる毛穴パックですが、シートタイプのものでも洗い流すタイプのものでも、肌に本来は必要な皮脂や角質を取り去り、肌に大きなダメージを与える可能性があります。角栓を取って肌をキレイにしようと思って行ったケアで、角栓のできやすい肌や毛穴を作ってしまっては意味がありません。

一概に効果がないとは言い切れませんが、毛穴パックを使ったケアは、あまりおすすめできません。なお、毛穴パック中に肌の痛みを感じたら、使用を中止しましょう。

正しい洗顔方法・毛穴ケア方法を実践する

角栓のできにくい肌を目指すうえで毛穴パックを使用するよりおすすめなのが、

  • 正しい洗顔方法
  • 毎日のスキンケアで毛穴ケア

を実践することです。角栓をすぐに解消するといったことはできませんが、正しい洗顔や毛穴ケアが角栓の詰まりを防ぐのに効果的と考えられます。

では、正しい洗顔方法や毛穴ケアとはどのようなものなのでしょうか。

正しい洗顔方法とは

正しい洗顔方法は、以下の順にポイントを守った洗顔方法です。

  1. 洗顔前に手を洗って、清潔にします
  2. 洗顔料を泡立て、きめ細かなもちもち泡を作ります
  3. 皮脂の多いTゾーンから泡を乗せ、泡を転がすようにやさしく洗います
  4. 32℃から34℃くらいのぬるま湯で洗顔料が残らないようしっかりすすぎます
  5. 清潔なタオルを肌に当て、ゴシゴシこすらずに水分を吸い取らせます

洗顔料は手で泡立てる方法もありますが、難しい場合は泡立てネットや洗顔料の泡立て器を活用するのもよいでしょう。洗顔後はすぐに化粧水、乳液やクリームを使った保湿ケアを行いましょう。

おすすめの毛穴ケア

前述した正しい洗顔方法に加え、実践したいのが毛穴ケアです。

紫外線対策
紫外線を浴びると、肌はメラニンを作り出します。また、活性酸素が肌の内部に発生し、その活性酸素によって肌のハリを支えているコラーゲンの変性が引き起こされます。コラーゲンの変性や減少は肌のハリの衰えにつながり、毛穴の開きを進行させる要因になります。そのため、普段から紫外線対策は意識して行いましょう。
保湿ケア化粧品の活用
乾燥した肌は柔軟性が下がり、毛穴も開き気味になります。また、肌が乾燥すると皮脂の分泌も活発になるため、日ごろから保湿ケアをしっかり心がけたいものです。全体的に皮脂が多くテカりがちな方の中には、洗顔後の保湿ケアを特に行わないという方もいらっしゃるかもしれません。
 
しかし、保湿ケアはどのような肌質でも行うことが大切です。皮脂が多い場合は、皮脂を抑える化粧品をとり入れるなどして、肌質に合った保湿ケアを行いましょう。
新陳代謝を促す
ターンオーバーが正常に行われるような身体をつくることも、毛穴ケアには必要です。ターンオーバーが正常に行われれば、肌表面の古い角質も自然とはがれ落ちやすくなるほか、皮脂のバランスが整いやすくなるためです。
 
ターンオーバーが正常に行われるようにするには、肌へのアプローチだけではなく、全身へのアプローチが有効です。湯船にしっかり浸かって入浴をしたり、日常に適度な運動をとり入れたりして代謝を高めましょう。

まとめ

鼻の角栓をとる毛穴パックには、角栓を一気にすっきりと取り去る効果を期待できる一方で、必要以上に水分や油分を取り去ってしまう可能性もあります。そのため、いちご鼻や角栓ケアの方法として毛穴パックはあまりおすすめできません

毛穴パックなどで無理に角栓を取り去るよりは、以下のポイントをおさえて角栓のできにくい肌を目指すことをおすすめします。

  • 正しい方法で洗顔する
  • 自分の肌に合った保湿ケアを行う
  • 紫外線対策をする
  • 運動や入浴など新陳代謝を高める生活習慣をつける

すこやかな肌をはぐくむには、毎日のケアの積み重ねが重要です。肌をいたわるケアを日常生活にとり入れ、角栓のできにくい肌を目指しましょう。

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