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鍼灸・針治療による治療の特徴とメカニズム
鍼灸とは、「鍼」=針を使った治療、「灸」=灸による治療と、2つの治療がひとまとめになった治療方法を指します。そこで「鍼」と「灸」、それぞれの特徴とメカニズムについて、ドクター監修の記事で詳しくお伝えします。
鍼灸とは
鍼灸とは、鍼=針や灸を使って崩れてしまった身体のバランスを調整し、機能回復を目指す治療方法です。東洋医学の観点から、脈診・腹診・舌診などで状態を把握するという特徴があります。およそ365以上あるといわれているツボを針や灸で刺激することで、その人の持つ免疫力と自然治癒力が高まると考えられています。病気になる前の状態「未病」に対しての効果が期待されていて、世界中の医療関係者やWHO(世界保健機関)からの注目を集めています。
針治療
名前の通り、針を患部やツボに刺して治療する針治療。髪の毛ほどの極めて細い針(直径0.12mm~0.44mm、長さ30mm~80mm程度)を使用します(詳しくは『鍼灸・針治療で使う「針」はどのようなもの?』をご覧ください)。
針を刺す方法として主に行なわれているのは管鍼法。これは金属か合成樹脂製の円形の筒を使って刺入する方法です。また、中国で行なわれている方法で、筒を使わずに針を親指と人差し指でつまんで刺入する方法も一部では行なうこともあります。
刺し方でよく使われる手法としては、目的の深さまで刺し、刺した針を上下や回旋、振動など一定の刺激を与えてすぐに抜く「単刺」、刺したまま5~15分ほど置く「置鍼」、刺した針に微量の低周波電流を流して、筋肉の血行促進を図る「パルス鍼」などがあります。これらは症状によって使い分けられます。
なぜ効くのか
なぜ針治療に改善効果が期待できるのでしょうか。それはツボに刺した針による刺激が自律神経系、免疫系などに作用して、緊張を緩和し血液やリンパ液の代謝を向上させることにより、自然治癒力をアップさせる働きがあるのではないかと考えられているからです。
また、鎮静効果が古来より認められていますが、その理由として、
- 針の刺激が脊椎で痛みを抑えるゲートコントロール作用が起こる
- 針刺激によって脳内に痛みを抑制するエンドルフィンが分泌される
- 針の刺激が末梢神経の痛みの信号を遮断する
- ツボの刺激により痛覚閾値が上がるため、痛みを感じにくくなる
- 筋肉の緊張が緩むため血液の循環が改善される
などの諸説があげられます。
灸治療
灸は「お灸」「やいと」などと呼ばれ、一般に広く行なわれてきました。もぐさを使ってツボに熱刺激を加える方法で治療を行います。直接皮膚にもぐさを乗せて着火させる直接灸と、もぐさと皮膚の間をあける間接灸があります。
直接灸では、もぐさの大きさは糸状や米粒ほどの小さいものから小指大の大きさのものがあります。熱の刺激が強く、施灸後に水泡ができることがあり灸痕が残ります。
一方、間接灸には、もぐさと皮膚の間に灸点紙という紙を入れて、もぐさが直接皮膚に触れないようにするものや、薄く切ったにんにくや生姜、味噌などを挟む隔物灸と呼ばれるものがあります。熱を和らげるものを挟むため、温和な熱さとなります。
なぜ効くのか
灸にはツボや患部に熱刺激を与えることによる血行改善効果が期待されています。そのため、血液内の免疫物質が分泌されたり、造血作用が促進されたりして、身体の機能改善や抵抗力向上が起こると考えられています。
「鍼」と「灸」の治療効果の違い
針治療と灸治療の治療効果の違いは、針治療はすぐに効果が現れる傾向にあり、灸治療は慢性的な症状に対して、比較的ゆっくりと継続的に改善させる傾向があります。ですが、針治療も慢性的な症状に効果があることも多く、また灸でもすぐに効き目が現れることもあります。
ですから、この症状には針治療、こちらの症状には灸治療と一概に決めつけることは難しいのです。針治療と灸治療は、治療を受ける人の疾患や症状、体質などを考慮して、有効なツボを選び、その人に合った治療法を行なうことが重要となります。
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