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目袋や目の下のたるみを解消する整形術とマッサージ法
スキンケアでは解消できない目袋や下まぶた(目の下・目元)のたるみ。クリニックでのたるみ治療にはどのような種類があるのでしょうか。ドクター監修のもと、治療の危険性やデメリットやダウンタイム、後遺症などについて解説します。
下まぶた(目の下・目元)のたるみやくぼみ、目袋があると老けて見えるだけではなく、疲れた印象になってしまいます。ここでは、気になる目袋・下まぶた(目の下・目元)のたるみの原因や治療法について詳しく解説していきます。あわせて、気になる目の下のたるみやクマを改善するマッサージについて見てみましょう。
目袋・下まぶた(目の下・目元)のたるみの原因
年齢を重ねた方はもちろん、生まれつきなど、若い人でも悩まされることがある目の下のたるみ。目袋や下まぶたがたるむ原因は、どのようなところにあるのでしょうか。
下まぶたや目の下のたるみの主な原因には、皮膚のゆるみと眼窩脂肪(がんかしぼう)の突出です。眼窩脂肪とは、下図のように、眼球の周囲に存在する脂肪です。
加齢によって目の周りの筋肉である「眼輪筋」(がんりんきん)が衰えたり、眼球を支える支持組織がゆるんだりすると、眼球の位置が下がり、眼窩脂肪を圧迫します。すると、上図右側のように、眼窩脂肪が徐々に下まぶたの方に押し出されていきます。こうしてできた膨らみを「目袋」(めぶくろ)と呼びます。
また、日本人の下まぶたの特徴は彫りが浅いため、西洋人ほど目がくぼんではいません。そのため、もともと目袋が目立ちやすく、若くとも下まぶたがたるんでいたり、目の下に常にクマがあるように見えてしまう方もいます。
目袋や下まぶた(目の下・目元)のたるみを改善・解消する整形術
皮膚のゆるみや眼窩脂肪の突出が、目袋や目の下のたるみを引き起こすことがわかりましたが、治療法としてはどのようなものがあるのでしょうか。
日本人の下まぶたの若返り手術では、目袋を縮小させる、すなわち膨らみを作っている眼窩脂肪を除去することで満足を得られるケースが多いといわれています。しかし、目袋の下は窪みが気になることが多い部位です。窪みがある場合、目袋の膨らみとの高低差でたるみが目立ったり、目の下にクマがあるように見えたりすることがあります。また、単に目袋を縮小するだけだと貧相な印象になってしまったり、どうせ治療するなら目元だけに限らず、ほうれい線など他の部位のたるみも同時に改善したいと考える人が多いという実情もあります。
そのため、目袋や下まぶたのたるみを改善する治療にはさまざまな手法があり、代表的な施術には、以下のようなものがあります。
- 経結膜脱脂(けいけつまくだっし)法
- 下まぶたの裏側から目袋の原因である余分な眼窩脂肪を除去して目袋のボリュームを減少させる方法。
- 下眼瞼形成術(下眼瞼リフト)
- 余った皮膚の切除を行う手術の総称。眼窩脂肪の除去やゆるんだ眼輪筋の処理などを必要に応じて行う場合が多い。
- ミッドフェイスリフト
- 目元だけではなく頬のたるみやほうれい線などを含めて改善する目的で行う手術。下眼瞼形成術と同様の切開から行うことが多い。
- 注入治療
- 目袋の下の窪んでいる部分にヒアルロン酸や脂肪などを注入し、凹凸を減らしてたるみを目立たせなくする方法。
以下では、それぞれの特徴や問題点について見ていきます。
経結膜脱脂(けいけつまくだっし)法の特徴と問題点
経結膜脱脂とは、まぶたの裏側(結膜側)を小さく切開し、目袋の原因である余分な眼窩脂肪を除去する方法です。まぶたの裏側を切開するため、顔の表側に傷が残ることはありません。また、ダウンタイムも短いのが特徴です。
経結膜脱脂法は「目袋が気になる」という方に適した方法で、30代から50代の間では比較的よい結果を出しやすい手術です。しかし、高齢者の方や、目の下のちりめんじわが多い方、皮膚のたるみの強い症例では、皮膚の内側にある脂肪を取り除いてしまうことで余った皮膚によるたるみやシワが目立つようになり、満足な結果が得られにくいといわれています。
この場合には、下まぶたのたるんだ皮膚の切除や、加齢によって衰えた眼輪筋などの処置を合わせて行う必要があり、「下眼瞼形成術(下眼瞼リフト)」の方が望ましいとされています。
下眼瞼形成術(下眼瞼リフト)の特徴と問題点
下眼瞼形成術では、余った皮膚の切除、ゆるんだ眼輪筋の処理、突出した眼窩脂肪の処理などを行います。ダウンタイムは比較的長く、内出血や腫れは2~3週間程度続くこともあります。下眼瞼形成術(下眼瞼リフト)には術式やバリエーションが多数ありますが、代表的な方法は以下のようなものです。
剥離する深さによる分類
剥離する層(深さ)によって「皮弁法」と「筋皮弁法」といった分類があります。ともに、下まつげのすぐ下の切開から剥離します。
- 皮弁法
- 皮弁法では、眼輪筋に手を加えずに皮膚切除だけを行うことがありますが、弛緩した組織も処理することができます。
- 筋皮弁法
- 筋皮弁法では余った皮膚を切除するだけではなく、眼輪筋を引き締めます。この眼輪筋を引き締める際には、単に切除して縫い縮めるだけではなく、眼輪筋を吊り上げて骨膜に固定する方法もあります。
また、皮弁法でも眼輪筋に手術操作を加えたり、脱脂を行うことができますが、基本的には、筋皮弁法の方が可能な操作のバリエーションが豊富な印象があります。皮弁法と筋皮弁法はともにバリエーションがあり、手術術式に関しては、医師によって意見が分かれるようです。
皮弁法にしても筋皮弁法にしても、皮膚切除量の見極めは難しく、切除が少ないと効果が出にくく、逆に切除しすぎると「下眼瞼外反(かがんけんがいはん)」と言って、まぶたの粘膜部分が露出する「アッカンベー」をしているような状態が長期間続くことがあります。そのため、結膜側からさまざまな手術操作を行う方法も報告されています。
下眼瞼形成術(下眼瞼リフト)の皮弁法・筋皮弁法以外の術式
下眼瞼形成術(下眼瞼リフト)では余った皮膚の切除を行いますが、ゆるんだ眼輪筋の処理、突出した眼窩脂肪の処理、外眼角の形成なども適宜行います。皮膚を水平方向(まぶたに沿った方向)に吊り上げ緊張を与えて引き締め効果を出すことができます。
下眼瞼形成術(下眼瞼リフト)には術式やバリエーションが数多くあります。まず、まつげ下切開から皮弁(皮膚)か筋皮弁(皮膚と眼輪筋が一体となったもの)を拳上します。前述のように筋皮弁法の方が加えることができる操作のバリエーションが多いといわれています。
眼瞼脂肪突出による目袋の縮小には眼窩脂肪を切除するか、眼窩隔膜を補強して眼瞼脂肪突出を内側に押し込めるか、または眼窩脂肪を全体的に引き伸ばし眼窩下縁骨膜に縫合して平坦にする方法(ハムラ法)があります。tear troughといわれる内側のくぼんだ部分へ眼窩脂肪や眼輪筋を移動する方法も報告されています。
東洋人は特に、手術によって目袋の突出が改善すると、目の下からほほの上部前面が窪んで見えてしまいます。目の下に窪みがあると、貧層に見えてしまうため、脂肪を取り除くのではなく移動させる方法や、頬のリフトアップをあわせて行う方法・ヒアルロン酸などの注入治療も行われています。
ミッドフェイスリフトの特徴と問題点
ほうれい線など、他の部位のたるみ治療も一緒に行うことができる施術として「ミッドフェイスリフト」があります。
目の下のたるみや目袋(膨らみ)以外にも、くぼみやシワ、クマなど、目の付近に老化を感じる要因はさまざまです。ミッドフェイスリフトは、目袋や下まぶたのシワ・たるみ、眼窩下縁のくぼみの改善に加えて、さらに下方の頬前面のたるみ改善とほうれい線や口角にかけての老化による諸症状の改善が目的で行われる手術です。
ミッドフェイスリフトは中顔面を引き上げる手術で、やはりバリエーションがあります。多くの場合、下眼瞼形成術(下眼瞼リフト)と同じように下まつげのすぐ下を切開・下まぶたを広範囲に剥離し、皮膚や筋膜を引き上げて骨膜に固定します。また、こめかみ付近の切開からの手術操作によるミッドフェイスリフトも行われています。
切るミッドフェイスリフトと併用して、特殊な糸を使用して頬の脂肪を引き上げる方法も報告されています。これは「ケーブルスーチャー法」と呼ばれ、ゴアテックス素材の糸とパッチを皮下に埋め込み、頬の脂肪を持ち上げて骨膜に固定する方法です。
いずれにせよ、切るミッドフェイスリフトを行うとダウンタイムは長く、特に目元は強く腫れます。また、仕上がりと効果の持続性についても注意が必要です。リフトアップ効果を出すために引き上げすぎてしまうと、引きつれたような不自然な仕上がりとなりがちです。逆に引き上げが弱いと効果が少なく長持ちしないといわれており、そのバランスを上手くとるのは大変難しいといえます。
注入治療
ヒアルロン酸などを注射する注入治療は、切開をしないためダウンタイムが短く、身体への負担が少ないという意味では、手軽な方法だと言えるでしょう。
しかしヒアルロン酸などを目の下にたくさん入れると、目の下全体が膨らみ、逆にたるみが悪化したように感じられることがあります。注入直後は仕上がりがよく感じても、すぐに目袋が目立つようになり、注入を繰り返さなければならなかったり、注入した物質の重みにより、目の下から下の部分のたるみが悪化することがあります。
また、当然ですが、眼窩脂肪や皮膚に対しての処理はしていないので、根本的な解決には繋がりません。
目元の若返りにふさわしい治療法とは
ここまで、目袋や下まぶたのたるみを改善する治療の代表例を見てきました。目元の老化には多種多様な要因が絡んでおり、それを解消する治療にもさまざまなものがあることがわかりましたが、「できるだけローリスクで、目元を若返らせたい」という場合、どのような治療を選ぶべきなのでしょうか。
まず大切なのは、目袋や目の下のたるみが気になるからといって、そこにだけ注目してもよい結果は得られない可能性があることを常に意識しておくことです。カギとなるのは、頬の脂肪です。頬の脂肪が下垂すると、下図のようにゴルゴラインや目の下の窪みが発生してしまうからです。
そうすると目袋の膨らみと、その下にある窪みの高低差が広がり、余計に目の下がたるんでいるように見えてしまいます。また、ほうれい線が気になるなど、別の部位にも下垂が生じているケースが多いことでしょう。
そのため、「単に目袋を縮小すればよい」と考えるのではなく、他の部位、特に頬の脂肪の下垂なども考慮したうえで、施術を検討するのが望ましいでしょう。
とはいえ、先にご説明した通り、「下垂してボリュームが減ったところにヒアルロン酸などを追加する」ということをすると、その重みで頬の脂肪が余計に下垂し、その下垂した頬の脂肪の重さでほうれい線やマリオネットラインが悪化しがちです。
そのようなときは、「スプリングスレッド」という、伸び縮みする糸で下垂した頬の脂肪や皮膚を元の場所に戻し、必要に応じて眼窩脂肪を除去する「経結膜脱脂」を行うという方法もあります。目の下のたるみや目袋の突出が軽度の場合には、上述のスプリングスレッドのみで十分目元のたるみも改善できます。
スプリングスレッドは伸縮する糸のため、切るフェイスリフトや他の糸によるリフトアップと比較すると引きつれなどが起きにくく、効果が長持ちします。また、これだけで目元のたるみもかなり改善できますが、経結膜脱脂を同時に実施した場合でも、「目元のくぼみやゴルゴラインが悪化し、余計に老けて見えるようになってしまった」ということになるのを防ぐことができます。
顔の部位同士は繋がっています。思わぬ結果にならないよう、何かしらの治療を受ける際は経験と実績がある医師にじっくりと相談し、他の部位への影響なども確認するようにしましょう。
目の下のたるみやクマを解消するマッサージ法
クリニックで施術するほどではないものの、目袋の突出や目の下のたるみ、クマが気になるときは、眼輪筋を鍛えるストレッチや、血行を促進させて皮膚にハリを持たせるマッサージを行うという方法もあります。
目の簡単ストレッチ
目の周りの表情筋である「眼輪筋」を積極的に動かし、鍛える簡単ストレッチです。下記を5回ほど行ってみましょう。
- 目をぎゅっと閉じて5秒間キープ
- 目を思いっきり大きく広げ、そのまま5秒間キープ
目元マッサージ
目元の血行を促進させるマッサージも、たるみやくまの改善には有効です。以下の工程を3~5回くりかえしましょう。
- 両手の人差し指から薬指まで3本の指をおでこの真ん中に当て、気持ちいい程度の圧力をかけながらこめかみまで移動させる
- 両手の中指の腹を左右の目尻に当て、目の下の骨をなぞるように目頭まで移動させ、目の上の骨をなぞるように目尻へ移動
- 両ひじを肩と並行に張り、中指と薬指の腹を目の下に当て、目頭から目尻、こめかみへと移動
目の周りは非常にデリケートです。強くこすったり押すと、皮膚や眼球にダメージを与えてしまうおそれもあります。マッサージをするときはクリームを塗るなどして指のすべりをよくし、過度な刺激を与えないよう注意しましょう。
また、クリニックでたるみを解消する施術を行った直後など、目元の組織が敏感になっているときは絶対に行わないようにしましょう。
目袋と似て異なる「涙袋」とは
ちなみに、目袋とよく混同されるものとして「涙袋」があります。にっこり笑うと目の下がぷっくりと膨らむもので、若い女性の間ではこの涙袋を「表情を魅力的に見せるためのアイテム」と捉え、メイクで際立たせたり、涙袋を形成する施術を受ける人もいます。
この涙袋の正体は眼輪筋で、眼窩脂肪によってできる目袋とは別物です。眼輪筋は筋肉なので、年齢とともに衰えてたるんだり、脂肪である目袋にとって変わられたり、涙袋の下に目袋ができて二重にたるんでしまうケースなどもあります。
涙袋のたるみをケアするには
涙袋のたるみを防ぐには、やはり眼輪筋のエクササイズが有効です。特に、長時間パソコンに向かう仕事や、日常的に人と話す機会が少ない方は、ときどき眼輪筋を大きく動かすことを意識してみましょう。頬の筋肉を動かさないで片目ずつウインクしてみたり、以下のようなエクササイズも有効です。
眼輪筋の簡単エクササイズ
- 目を思いっきり細める
- 細めた状態のまま、眉毛を引き上げて10秒間キープ
- 眉毛を自然な状態に戻す
目元の皮膚はとても薄く、たるみを起こしやすい部分です。目の周りのメイクやスキンケアは「塗る」というよりも「載せる」感覚で、やさしく丁寧に行いましょう。また、時にはアイケア製品や蒸しタオルなどでゆっくり温めてあげるのも効果的です。
眼輪筋のエクササイズや血行を促進するマッサージ、やさしいスキンケアなどで、デリケートな目元を美しくキープしましょう。
まとめ
目袋が突出したり、目の下がたるむ原因を考えるとともに、それらを解消する、クリニックでの治療法を中心に見てきました。目袋や下まぶたのたるみを改善する治療法には主に以下のようなものがあります。
- 経結膜脱脂(けいけつまくだっし)法
- 下眼瞼形成術(下眼瞼リフト)
- ミッドフェイスリフト
- 注入治療
それぞれの特徴やダウンタイムなどの問題点をしっかり把握したうえで、目元だけでなく顔全体のバランスを考慮したうえで治療を受けることをおすすめします。
また、「クリニックで治療するほどではないが、最近目の下のたるみが気になる」という方は、目の周りの筋肉を鍛える表情筋エクササイズや血行を促すマッサージなどでたるみやクマを解消する方法もありますので、ぜひ試してみてください。
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