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耳たぶ・耳の裏にできる粉瘤の症状と原因・治療方法

更新日:2017.11.07
公開日:2015.04.14
ドクター画像
この記事の監修者
広尾プライム皮膚科 医師 谷祐子

粉瘤(ふんりゅう)は身体中のどこにでもできる可能性がありますが、中でも耳たぶや耳の裏はできやすい部位といわれています。耳たぶや耳の裏にできる粉瘤の症状と原因・治療方法について、ドクター監修の記事で詳しくお伝えします。

顔や頭、首、耳、背中にできやすいといわれる粉瘤(ふんりゅう)。ここでは、耳たぶや耳の裏にできる粉瘤について解説します。

耳たぶ・耳の裏にできる粉瘤の症状と原因

粉瘤(アテロームとも呼ばれる)は身体中のどこにでもできますが、中でも耳はできやすい部位といわれています。

粉瘤ができる仕組み

粉瘤は、なんらかの原因で皮膚の下に嚢胞(のうほう)と呼ばれる袋状の構造物が作られることでできます。袋はもともと皮膚であるため、ターンオーバー(新陳代謝)によって古い角質や皮脂がアカとなって排出されます。通常であれば自然と剥がれ落ちるこれらの老廃物が、出口のない袋の中にたまり、それがしこりとなって半円球状に盛り上がってきます。

また、しばしば黒い点状の開口部(皮膚に開いた小さな穴)ができるのも特徴で、開口部の周辺を圧迫するとどろりとした臭い内容物が出てくることもあります。ここから細菌が入り込むと炎症が起こり、赤く腫れ上がって痛みをともないます。

耳にできる粉瘤の症状

耳たぶや耳の裏側に発生し、数mmから数cmまで大きさはさまざまで、触るとクリクリとした硬さを感じます。小さいものが同じ個所に多発することもあります。耳は、特に多発しやすい箇所のひとつとされていますが、その場合は先天性の原因(生まれつきの体質)である可能性が高いといわれます。

耳にできる粉瘤と間違えやすい病気

粉瘤と間違えやすいものとして「耳前瘻孔(じぜんろうこう)」という先天性の疾患があります。耳の孔の前に小さなくぼみや穴(瘻孔)が見られる症状です。粉瘤のように腫瘍が大きく盛り上がってくることはありませんが、炎症によって穴の周囲が赤く腫れたり、膿が出ることがあります。穴があるだけでそれ以外の症状がない場合は特に問題ない(治療の必要はない)ですが、炎症をくり返す場合は手術が必要になります。

また、化膿性汗腺炎(膿皮症とも呼ばれる)も粉瘤と間違えやすい疾患のひとつです。急性や慢性の化膿性の疾患で、皮膚が膿んで皮下に瘻孔(穴、空洞)ができ、そこに痛みをともなうジュクジュクとした膿が溜まります。アポクリン汗腺が多い部位にできやすいので、主に脇の下や乳房の下、肛門周辺、外陰部、そして耳や耳の周辺などに見られることが多いです。

耳たぶ・耳の裏にできる粉瘤の治療方法

粉瘤は、自然治癒したり、自宅でのケアで良くなることはほとんどありません(数mm程度の小さいものであれば、まれに自然治癒する場合もあります)。

粉瘤は良性腫瘍のため、特に気にならない大きさであれば治療をせず様子をみても問題ありませんが、徐々に(ときには急に)大きくなってくることも多く、また、化膿すると赤く腫れ上がって痛みも出てくるため、できれば早めに皮膚科や形成外科で処置することをおすすめします。

なお、耳の後ろは皮脂腺が多く集まり、汗もかきやすい部位です。洗い忘れてしまいがちな場所でもあるため、粉瘤ができている場合は細菌が入り込んで化膿しないよう、十分に注意しましょう。

炎症を起こしていない場合の治療法

根治するためには、手術によって袋ごと取り除くことが大切です。主な手術方法には、開口部を中心に皮膚を切開し、そこから袋を内容物ごと取り出す「小切開摘出術(切除術)」と、特殊なパンチで粉瘤に穴を開け、内容物をもみ出した後、最後に袋を除去する「ヘソ抜き法(くり抜き法)」があります。

※粉瘤の手術方法について、詳しくは『粉瘤の手術方法と術後の痛みは?ダウンタイムはあるの?』をご覧ください。

炎症を起こした場合の治療法

粉瘤が炎症を起こしている場合は、抗生物質や抗炎症剤を内服したり、皮膚を切開して膿を出すなどして炎症を落ち着かせ、数か月おいてから前述の手術を行うのが一般的です。

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