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炎症(化膿)性粉瘤の症状と原因・治療方法
粉瘤(ふんりゅう)に細菌が侵入して炎症を起こすと、赤く腫れ上がり、強い痛みをともないます。この状態を「炎症(化膿)性粉瘤」と呼びます。ドクター監修のもと、炎症(化膿)性粉瘤の症状や原因、治療方法について解説します。
炎症(化膿)性粉瘤とはどのような症状で、その原因や治療法はどういったものなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
炎症(化膿)性粉瘤とは
粉瘤(ふんりゅう=アテローム)は、通常は痛みやかゆみなどの症状はありませんが、細菌が侵入して炎症を起こすと赤く腫れ上がり、痛みをともないます。これを、炎症(化膿)性粉瘤と呼びます。
炎症(化膿)性粉瘤の原因
粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に古い角質や皮脂などの老廃物が溜まってしこりとなる良性の腫瘍です(メカニズムについて、詳しくは『皮膚の腫瘍「粉瘤(アテローム)」の症状と原因』をご覧ください)。
粉瘤の特徴として、ドーム状に盛り上がったしこりの中心部に黒点状の開口部ができることがあります。ここから細菌が侵入して感染すると、炎症(化膿)を起こします。
炎症(化膿)性粉瘤の症状
炎症を起こすと、粉瘤やその周辺の皮膚が赤くなります。化膿がひどくなると粉瘤の袋が破壊され、膿がたまります。この状態を「炎症(化膿)性粉瘤」と呼びます。こうなると粉瘤は腫れて痛みを生じます。痛みに我慢ができず、炎症(化膿)性粉瘤になって慌てて医療機関を受診するケースも少なくありません。
炎症(化膿)性粉瘤の治療方法
粉瘤を根治させるには、手術で摘出するしか方法はありません。では、炎症を起こしている粉瘤はどのような流れで治療していくのでしょうか。
まずは、炎症を抑える治療を
炎症がそれほどひどくない場合は、抗生物質や抗炎症剤を処方してもらい、数日間服用して炎症を抑えます。膿がたまった状態で炎症がひどい場合は、抗生物質では効果がないため、皮膚を小さく切開して溜まった膿を出します。これを「切開排膿」と呼びます。
炎症が起きている状態で摘出手術を行うと、術後の感染や縫った傷口が開いてしまう「縫合不全」が起こる可能性があり、傷跡が目立ちやすくなってしまいます。まずは炎症を抑える治療をしてから、数か月をおいて改めて手術を行います。
次に、根治のための手術を
炎症が治ったら、粉瘤そのものを除去する手術を行います。一般的には、「小切開摘出術(切除術)」という方法がとられます。開口部を中心に皮膚を紡錘形(レモン状)に切開し、そこから粉瘤の袋を丁寧に剥離しながら取り除きます。最後に皮膚を一直線に縫い合わせます。手術は外来にて行われ、所要時間はおよそ15~30分ほどです。約1週間後に抜糸を行えば終了です。
最新の治療法を提唱するドクターも
炎症(化膿)性粉瘤では手術を行わない(手術は炎症が治まってから)というのが従来のセオリーですが、最近は、技術の進歩によって炎症時にも手術を提唱する医師や医療機関が出てきています。
手術方法としては、炎症がない場合にも行うことが多い「ヘソ抜き法(くり抜き法)」をとります。手順としては、まず粉瘤に特殊なパンチで穴を開け、そこから膿を排出します。その後、粉瘤の内容物をもみ出し、最後に中身がなくなってしぼんだ袋を除去します。
この方法であれば、炎症を抑えるための期間をとることもなく、一気にすっきり解消することができます。さらに、前述の小切開摘出術に比べて傷が小さく済むメリットもあります。ただし、小さい穴から破れやすい袋をきれいに取り出すのには、かなり高度なテクニックが必要になります。また、炎症性の粉瘤に適用している医療機関はまだ少ないのが現状です。
手術を検討する際は、さまざまな側面を考慮し、自分の希望に合う医療機関を選ぶようにしましょう。
※粉瘤の手術について、詳しくは『粉瘤の手術方法と術後の痛みは?ダウンタイムはあるの?』をご覧ください。
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