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粉瘤が痛み出したらすぐに治療すべき?
粉瘤は通常、痛みはないといわれています。そのため放置しておいたり、背中など目が届かない場所だと見逃しているケースも多いようです。もし、痛み出したらすぐに治療すべきか、ドクター監修の記事で詳しくお伝えします。
皮膚の良性腫瘍である粉瘤は、触るとクリクリと硬い感触がありますが、通常、痛みはありません。ところが、突然、痛み出す場合があります。それはどんなときなのか、また、痛み出したらすぐに治療すべきか、解説します。
粉瘤は炎症を起こして腫れると痛くなる
炎症を起こすと、痛みが出ることがあります。では、なぜ炎症を起こすのでしょうか。
粉瘤は、なんらかの理由で皮膚の下に袋状の構造物ができることで起こります。袋に老廃物(古い角質や皮脂など、いわゆるアカ)が溜まっていきますが、外に排出される経路はなく、袋が膨らんでしこりになります。
良性腫瘍のため、気にならなければそのまま様子を見ていても問題ないのですが、問題は炎症を起こしたとき。粉瘤には、「ヘソ」と呼ばれる黒い点状の開口部ができるケースが多く、この開口部から細菌が入り込むことがあります。袋の中は、細菌にとって栄養素の宝庫。どんどん増殖していきます。
こうして起こるのが炎症で、赤く腫れて熱をもち、痛みをともないます。ひどくなると化膿し、袋を破壊して周囲に広がっていきます。膿がたまってさらに腫れ上がり、痛みもズキズキと耐え難いものに。
このような炎症を起こした状態を、「炎症(化膿)性粉瘤」と呼びます。
痛みが出てきた時の対処法は?
皮膚科や形成外科を受診するのが一番です。
炎症がそれほどひどくなければ、抗生物質の内服薬だけで治まることもあります。しかし、ひどく化膿している場合は、抗生物質だけでは効果がなく、粉瘤がある部分の皮膚を小さく切開しそこから膿を排出する「切開排膿術」という施術を行います。
膿を出してしまうと痛みはある程度治まりますが、炎症がすぐに治まるわけではありません。炎症が完全におさまるまでは、1か月ほどかかります。炎症が治っても、まだ粉瘤の袋は残っているので、いずれまた炎症を起こす可能性はあります。そこで、医師とよく相談して、「皮膚・皮下腫瘍摘出術(切除術)」という粉瘤の根治手術を行うのが一般的です。
皮膚・皮下腫瘍摘出術では、粉瘤が発生している部分の皮膚を紡錘形に切り取り、そこから粉瘤の袋を取り除きます。炎症を起こした袋はとてももろく、また、周囲の組織に癒着していることもあるため、丁寧に剥離しながら除去します。除去後、皮膚を直線に縫合します。
この手術は外来にて15~30分ほどで終了しますが、炎症がひどかった(=癒着が激しい)、サイズが大きい粉瘤ほど時間がかかり、また、傷跡も大きくなってしまいます。炎症を起こす前のできるだけ小さな段階で皮膚・皮下腫瘍摘出術を行えば、傷跡も小さくてすみます。粉瘤が疑われる出来物を見つけたら、痛みがなくてもなるべく早く皮膚科や形成外科を受診することをおすすめします。
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