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知らないと危険!アートメイクの失敗原因と除去治療
アートメイクは化粧の手間が省けることから、近年とても人気がありますが、炎症や角膜損傷など、失敗やトラブルも急増しています。そこで、どうすれば失敗しないのか、入れてしまったアートメイクを消すにはどのような除去治療があるのかについて、六本木境クリニックの境院長に教えていただきました。
「お化粧の手間が省ける」「ノーメイクでもきれいでいたい」「海やプールでも落ちない」などの理由で人気のアートメイク。しかし、失敗やトラブルも急増していると言われています。
アートメイクの失敗・トラブルはどうして起こる?
国民生活センターの発表によると、アートメイクによる健康被害は2006年から5年間で121件寄せられており、その 95%はサロンなど医師免許を持たない人の施術によって発生しているとのことです。発生した症状の内訳は以下のようになっています。
- 皮膚障害:57.0%
- 刺傷、切傷:10.7%
- 感覚機能の低下:3.3%
- 熱傷(やけど):2.5%
- 擦過傷・挫 傷・打撲傷:0.8%
- その他の傷病および諸症状:10.7%(角膜への傷や施術部位の腫れ、痛みなど)
最も多いのは「皮膚障害」で、患部が化膿していつまでも治らない、痛みや腫れが続くといった内容が含まれます。健康被害の中には、角膜が損傷し、「視野が曇っている」といった深刻なものも含まれます。
また、健康被害以上に、「左右で仕上がりが違う」「想定していたのと違う部分に色素が入ってしまった」などデザインが気に入らないことや、「数ヶ月で眉が赤っぽく、アイラインが青っぽくなってしまった」など、色味の変化によるトラブルや失敗は多いようです。
アートメイクの失敗の原因と対処法
失敗やトラブルが多いアートメイクですが、どうすれば失敗せずに施術を受けることができるのでしょうか。そこで、六本木境クリニック院長、境隆博先生にお話を伺いました。
アートメイクはタトゥー(刺青)の一種ですが、境先生は、年間のべ300症例を超えるタトゥー除去の治療を行っており、タトゥーやアートメイクに関するトラブルや除去治療について深い知識と豊富なご経験をお持ちです。
Q:アートメイクを失敗しないために気を付けるべきことを教えてください。
境先生:アートメイクというと、「刺青(タトゥー)とは違う」という印象を持ち、気軽に施術を受けてしまう方も少なくないと思います。しかし、皮膚に針を刺し、色素(墨)を入れる行為ですので、間違いなく刺青の一種です。まずはこの点をしっかりご理解いただきたいと思います。
衛生管理が正しくなされていなければ、感染症を引き起こすことがあります。患部が腫れるくらいで済めばいいですが、B型肝炎、C型肝炎、エイズ(HIV)ウィルスなどに感染することだってあり得ます。事実、タトゥーやアートメイクをされている方の肝炎の感染率は高いという報告もあります。「新しい針を使うから大丈夫」という業者もいるようですが、色素(墨)や機材が菌に汚染されている場合もありますので、そのような言葉に騙されないようにしてください。
また、アートメイクも刺青も、皮膚に入れた色素に対してアレルギー反応が起こることもあり得ます。いつまでも腫れるといった症例は、感染症の他、アレルギーによってもたらされている可能性があります。メイクであれば、簡単に落とすことができますが、一度入れてしまったアートメイクや刺青は、簡単には除去することができません。
日本では、アートメイクを含め、皮膚に針を刺して色素を入れる行為を医師以外が行うことは違法です。どうしてもアートメイクをしたい場合には、医療機関で行うようにしましょう。
まゆ毛のアートメイクの除去方法
Q:デザインが気に入らない等で除去したい場合には、どのような治療があるのでしょうか。まずはまゆ毛のアートメイク除去について教えてください。
境先生:主には、レーザー治療と切除手術があります。
まゆ毛のアートメイクのレーザーによる除去治療
刺青(タトゥー)の場合、レーザーで消すことはかなり難しいのですが、あまり色素が入っていない、普通の女性用のアートメイクであれば、レーザーでもかなり薄くなります。男性の眉など太いものや、女性でも濃く入れていると薄くなるだけですが「パッと見たところの違和感がなくなった」と、満足される方が多いです。
ただし、レーザーを照射すると、毛根がダメージを受けて脱毛してしまい、生えてこなくなることがあります。そのため、基本的には、まゆ毛の生えていない部分に適した治療法であるといえます。
また、レーザーを照射すると、色素に反応して熱が発生しますので、多かれ少なかれ、皮膚がやけどをします。かなりの痛みがあることを覚悟しておきましょう。『タトゥーのレーザー治療の効果・痛み・後遺症 』の記事で詳しくお話をしていますが、濃いアートメイクの場合、レーザーでは消えないことがあります。完全に消そうと何度もレーザーを照射すると、やけど跡が残ることがあります。
まゆ毛のアートメイクの切除手術
切除手術は、主にまゆ毛の下側のアートメイクを除去する場合、特に、まぶたのたるみ取りを同時に行う場合や、アートメイクが退色し、レーザーが反応しにくい色になっている場合に行われることが多いです。
その際、普通に皮膚を切り取ると、毛根にほとんど眉毛がなくなってしまいますが、「毛包斜切断法」を行えば眉毛を残すことができる場合もあります。
※「まぶたのたるみ取り」や「毛包斜切断法」について詳しくは、『上まぶたのたるみを取る「眉下切開手術」について』の記事をご覧ください。
アイラインのアートメイクの除去方法
Q:続いて、アイラインのアートメイクの除去方法と注意点について教えてください。
境先生:レーザーによる除去が行われることが多いようです。目の中にレーザー光が入らないように保護しながら、レーザーを照射していく治療です。
アイラインはまゆ毛と違い、かなり濃く色素を入れている方が多く見受けられます。その場合、まゆ毛と同様、レーザーでは薄くなる程度しか除去できないことが多いです。前述の通り、レーザーによって皮膚がやけどをしますので、完全に消そうとするのではなく、「薄くする」程度をゴールと考え、無理なレーザー治療を行わないようにしてください。
また、まゆ毛同様、まつ毛が生えている部分では、脱毛したり、まつ毛が薄くなることがあります。
アートメイク、アートメイク除去を考えている方へ
Q:最後に、アートメイクを入れたい方、アートメイクの除去治療を検討中の方にメッセージをお願いします。
境先生:アートメイクは、主に目の周辺の皮膚に針を刺し、色素を入れる行為です。前述の通り、肝炎やHIVなど深刻な感染症や角膜障害、アレルギーのリスクがありますので、必ず医療機関で施術を受けるようにしてください。
また、刺青もそうですが、入れるよりも除去する方が大変で、入れた部位や色素の量などによっては、除去できないこともあります。「気に入らなければ消せばいい」などと考えるのは大きな間違いです。
アートメイクは刺青(タトゥー)の一種であり、入れる時も除去する時も、かなりのリスクを伴います。メイク(化粧)感覚で気軽に、しかも安全性の疑わしい医療機関以外のサロンなどで施術を受けるのは絶対にやめていただきたいと思います。
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