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コラーゲンの役割と種類

更新日:2016.12.09
公開日:2015.09.16
ドクター画像
この記事の監修者
銀座禅クリニック 院長 コッツフォード 良枝

コラーゲンと一言でいっても、体内のさまざまな場所に存在し、種類も複数あります。どんな目的の時に、どのコラーゲンをとればよいのでしょうか。ドクター監修のもと、コラーゲンの役割や、種類について詳しくご紹介します。

コラーゲンは、食材に含有されていたりサプリメントや化粧品に入っていたりと、私たちがとり入れる方法は複数存在します。コラーゲンの役割や特徴、種類を知って、適切な摂取ができるようになりましょう。

コラーゲンとは、真皮層の約70%を占めるタンパク質

コラーゲンは、身体の弾力やしなやかさを生み出すタンパク質のひとつ。細胞と細胞を結ぶ役割があり、また、肌だけでなく骨や血管、関節などにも含まれています。

体内にあるコラーゲンのうち、その多くは皮膚に存在し、約40%を占めています。そして、約20%は骨や軟骨に、残りは内臓や血管など全身に渡って広く存在しています。肌でいうと、コラーゲンは真皮層に含まれ約70%を占めています。

コラーゲンは、主に肌、関節、骨、血管に関わる役割を持つ

コラーゲンの役割は幅広く、肌のハリや弾力をつくる、関節をスムーズに動かす、骨を丈夫にする、そして、血管のしなやかさを保つなどさまざまな働きがあります。

まず、肌では真皮層に網目のようにコラーゲンが張り巡らされ、バネやベッドのスプリングのような役割をもち、肌のハリと弾力をキープしています。コラーゲンはエラスチンやヒアルロン酸と同じように線維芽細胞でつくられていますが、年齢とともに機能が落ちてしまうためシワやたるみなどの症状が現れます。

また、年齢とともに関節の痛みを訴える方が増える傾向にありますが、これはコラーゲンの生成が少なくなることで関節の軟骨がすり減ってしまうことが原因です。コラーゲンがあることで、関節の軟骨が弾力性を保つことができ、スムーズに動かすことができるのです。

さらに、骨においては、コラーゲンが支えとなってその周囲にカルシウムなどのミネラルが付着することで丈夫な骨がつくられます。

血管をつくっているのもコラーゲン線維。血管の強さや弾性を保って、血管が傷ついた時には修復をサポートしています。

その他にも、コラーゲンは丈夫な爪や髪、筋肉、傷に対する治癒力、血圧や血糖値を調整するなど重要な役割を担っているのです。

体内に存在するコラーゲンの種類は、約30種類

現在までの研究結果では、人間の体内に約30種類のコラーゲンが確認されています。これらのコラーゲンすべてに共通することは、細胞の中でタンパク質の鎖が3本らせん状に合わさっていること、そして細胞の外で線維やネットワークの構造体をつくるという点です。

体内で確認されている約30種類のコラーゲンは、19種類の型に分類されています。これは、異なるポリペプチド鎖(アミノ酸のつながり)の組み合わせによって、それぞれ型が異なり、発見された順にI型、 II型、III型…と名前が付けられています。ちなみに、I~V型までは、遺伝子研究の手を借りずに発見されたものですが、その他は遺伝子の研究によって発見されています。

代表的なコラーゲン5種類

I型:体内でもっとも量が多く、骨、歯、皮膚(真皮)、腱などの主な成分。化粧品やサプリに利用されるコラーゲンのほとんどがこの型

II型:主に関節や軟骨に存在し、眼の角膜や硝子体の成分でもある

III型:細い繊維で組織に柔軟性を与える。臓器や皮膚、血管の壁に多く存在する

IV型:皮膚の表皮と真皮をつなぐ役割を持ち、基底膜に存在する

V型:主に血管や平滑筋、胎盤に存在する

体外から取り入れたコラーゲンは、全てがコラーゲンとして吸収されるとは限らない

コラーゲンは、食品やサプリメント、化粧品で補うことができます。

平均的な日本人女性の場合、体内には500mlのペットボトル6本分、約3kgものコラーゲンが存在しています。しかし、体内で合成されるコラーゲンの量と質は年齢を増すごとに下がっていくため、サプリメントや化粧品などでコラーゲンを補うことは効果的です。

1日に必要なコラーゲンの量は、5,000mg~10,000mgといわれています。これを身近な食品に換算してみましょう。肉類の中でコラーゲンを多く含んでいる食品は牛すじです。100g中に4,980mgのコラーゲンがあります。魚類では、100gの鮭(皮ごと)に2,410mgのコラーゲンが含まれています。(鮭の切り身は、一般的に一尾80g程度です。)

ただし、私たちが食べたコラーゲンは、一度体内でアミノ酸に分解され、再び体に必要なタンパク質に再合成されます。よって、食べたコラーゲンがすべてコラーゲンとして吸収されるとは限りません。

また、化粧品などの肌に直接つけるものにコラーゲンが含まれている場合もあります。この場合、人間の皮膚は角質層のバリアで守られているため、コラーゲンが浸透していくことは難しいのです。

化粧品や食品へ利用されるコラーゲンの種類

複数種類あるコラーゲンの中でも、化粧品や食品へ利用されやすいものをいくつか紹介します。

化粧品によくつかわれる水溶性コラーゲン

コラーゲンを分解せずに、コラーゲンが本来もつ構造そのままの状態で抽出し、その成分を水に溶かしたものを水溶性コラーゲンと言います。コラーゲンはその状態のままでは化粧品に配合するのが難しいので、ほとんどの化粧品は、水溶性コラーゲンを利用しているのです。

コラーゲンには動物性のものや海洋性のものなどいろいろな種類がありますが、水溶性コラーゲンに使用するのは、魚の皮や骨、うろこなどを原料とした海洋性コラーゲンです。この海洋性コラーゲンは、動物性コラーゲンに比べて水溶性コラーゲンに加工しやすいというメリットがあります。海洋性コラーゲンについて、くわしく見ていきましょう。

サプリメントやドリンクに使われるコラーゲンペプチド

コラーゲンペプチドは「低分子コラーゲン」ともいわれ、ゼラチンを酵素によって分解し、さらに細かくしたものです。

コラーゲンとコラーゲンペプチドの違いって?

コラーゲンもコラーゲンペプチドも構成するアミノ酸の組成はほとんど同じです。では、何が違うのかというと、それは、分子量になります。

コラーゲンは、いくつかのアミノ酸が鎖のようにつながって三重のらせん構造をしています。このコラーゲンの分子量は、約30万~36万、コラーゲンが熱などによってらせん構造が解けた状態であるゼラチンだと数万~数十万になります。そして、ゼラチンを酵素分解したコラーゲンペプチドだと数百~数千になります。

そんなコラーゲンペプチドは、加熱したり冷却したとしても、変わりにくいという特性があるため、サプリメントやドリンクなどに使われることが珍しくありません。

化学処理や高熱加工を行わない非変性コラーゲンもサプリメントやドリンクに使われる

一般的に食品やサプリメントからコラーゲンを摂ろうとしても、その抽出の過程や熱を加える間に変性してしまい、もともとの構造が壊れてしまいます。このようなコラーゲンは「変性コラーゲン」と呼ばれますが、このように変性してしまったコラーゲンは体内でコラーゲンとは認識されません。

そこで、数々の研究や実験を経て、分子構造を変えずに抽出することに成功したのが「変性」していない「非変性」のコラーゲンです。これは、鶏の胸部軟骨などを原料に、化学処理や高熱加工を行わない特殊技術によって抽出されたコラーゲンです。人間の体内に存在するコラーゲンに近い形を維持したまま体に認識されます。

コラーゲンの種類や特性をもとに、適切な摂取を意識しましょう。

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