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その癖に要注意!爪噛みが招く爪の変形
クセ爪を噛んだり、いじるクセは、マナーが悪く見えるだけでなく、爪の変形にもつながる問題です。ここでは、爪の変形をはじめ、爪をいじるクセが招くさまざまなトラブルと対処法について、ドクター監修のもと、解説します。
無意識のうちに行ってしまうクセは、誰にでもあるもの。
音を立てて食べたり、貧乏ゆすりをしたり、他人がしていると気になるクセのなかに、押し爪や爪を噛んだりする、爪をいじるクセもありますよね。人に不快な思いをさせるなど、マナーとしての問題はもちろん、そのクセで爪が変形することもあります。
ここでは、爪いじりが招くさまざまなトラブルについて紹介していきます。
爪をいじるクセが招くさまざまなトラブル
さまざまなクセのなかでも、爪をいじるクセは、その動作そのものが周囲の人に、「精神的に未熟で、不潔な印象を与えてしまうのでは……」と気にする人が多いようです。
それ以上に、医学的には、爪に変形を残してしまう恐れがあることのほうが問題になっています。
社会人ともなると、日常的な仕事のうえで名刺交換をしたり、スーパーのレジや銀行の窓口などお金の受け渡しをしたり、自然と指先に目がいってしまうもの。爪をいじるクセがあると、人の目が気になりますし、深刻な悩みになってしまいます。
さまざまなクセと爪の変形
それでは、どのようなクセで爪が変形するのでしょうか?
よくある爪をいじるクセと、そのクセが招く爪の変形についてみていきましょう。
爪を噛む
いわゆる「爪噛み」と呼ばれ、もっとも多い爪をいじるクセです。爪を噛むことで、極端な深爪になります。歯型によって、先端部分がギザギザになっているのが特徴です。それが習慣的に長く続くと、爪の下にある「爪床」と呼ばれる皮膚まで短くなり、指先が丸みを帯びて、きれいな指先とは言えなくなってしまいます。
爪押し
爪の根元にある白っぽい部分「爪半月(そうはんげつ)」のあたりを繰り返し押してしまうクセです。
この爪半月の根元には「爪母(そうぼ)」と呼ばれる、爪を作る細胞があります。
爪半月は、爪母から新しく作られたばかりの爪ですから、柔らかく変形しやすく、押すことで爪母そのものも障害され、変形が起きてしまうのです。そのため、爪に洗濯板のようないくつもの連続した横すじができてしまいます。
また、爪押しは、爪の根元にある薄い皮膚「爪上皮」、いわゆる甘皮をつけ根のほうに押しこむため、爪半月が大きく見えてしまうという特徴もあります。
ささくれや爪をむしる
爪を押すクセには、さらに「ささくれ」をむしるクセをともないます。
爪を押すことで、爪の周りの皮膚が常に赤く荒れ、甘皮が割れてささくれになり、そのささくれをむしるようになります。悪化すると、爪を剥がしたり、むしったりして出血をともなうこともあります。
爪押しと合わせて、自覚症状が少なく、爪をいじるクセに気づいていないこともありますし、クセを隠そうとしてしまうことも。原因を伝えないまま医療機関を受診しても、正しい治療がされずに、爪の変形などの症状も改善されません。
体調不良が引き起こす爪の変形
爪は体調をうつす鏡でもあります。上で説明したような爪いじりのクセ以外でも、下記のようなトラブルを見つけた場合は医療機関を受診しましょう。
爪表面の白濁(はくだく)
「爪床(そうしょう・ネイルベッド)」と呼ばれる爪の裏側に密着している皮膚があり、普段は薄いピンク色をしています。その爪床が全体的に白く濁っていると、肝硬変や腎不全、糖尿病などの内臓疾患の可能性が考えられます。
爪表面が黄白色
まず、考えられるのが「爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)」です。爪甲剥離症とは、内臓疾患や皮膚疾患、細菌による感染症、または爪への圧迫などの外的要因で、皮膚から出ている爪の部分「爪甲(そうこう・ネイルプレート)」がはがれた状態です。他にも、リンパ系の病気や内臓疾患、新陳代謝の低下が疑われます。
爪表面が青紫色
肺疾患や、先天的な疾患によって爪の色が青紫色になることがあります。青いだけでなく紫色がかっているのが特徴です。黒っぽい紫色の場合、チアノーゼの症状が現れていると考えられます。その他、血流が滞っているサインでもあり、悪性の貧血や心臓疾患も疑われます。
爪表面が青白い
貧血などにより、血色が悪くなっていることが考えられます。
爪表面が赤い
通常の爪床は薄いピンク色をしていますが、それよりも濃い赤色になっている場合、多血症が疑われます。これは赤血球が増加することで起こる疾患です。放置していると血液の粘度が増し、頭痛やめまい、高血圧を引き起し、さらには脳血栓や心筋梗塞にまで発展することもあります。また、肉芽腫のような巻き爪から起こる炎症性の腫瘍や、爪甲の下の皮膚からの出血が原因の場合もあります。
爪表面が黒褐色
爪が真っ黒になっている場合、悪性の腫瘍や、メラニン色素の増加、内分泌系の異常である「副腎低形成(アジソン病)」などが考えられます。とくに縦に黒い線が入っている場合は、「爪下悪性黒色腫(メラノーマ)」の初期症状の疑いがあります。
爪に縦の割れ線
外部からの圧迫や遺伝、皮膚疾患が原因で縦に割れた線ができることが多いですが、肌にシワができるのと同様に、加齢による場合もあります。
曲がった爪が指先を覆う
爪甲の真ん中が盛り上がり、指先を覆うような症状を、その形から「時計皿爪」あるいは「ばち爪」と言います。また、発見した人の名前から「ヒポクラテス爪」とも呼びます。これは多くの場合、内部疾患が原因に考えられます。他には、肺気腫や慢性気管支炎、肺ガンなどの重篤な疾患の可能性もあります。
爪いじりを治すには
このような爪いじりのクセがやめられないことを「神経性習クセ」と呼びます。クセ爪いじりのクセは、イライラしたときに緊張や不安などを和らげるために行われるという特徴があります。爪いじりは、比較的、大人よりも子供に多く見られるクセですが、大人になってもやめられない人もいます。
大人の場合
大人の場合、どのように爪いじりを治したらよいかというと、まずは爪の見た目を改善していきます。仕事上などで人目にふれるところですから、爪が変形して汚く見えていては、何かと問題も多いでしょう。
爪噛みなどで短くなった爪は、アクリル樹脂をつけて長さを出します。爪押しで爪の表面にデコボコの傷がついている場合、それを埋めるように施術します。
爪に触れないよう保護された状態にしておけば、爪が伸びて数か月で正常に戻ります。なかなかやめられないクセですから、その後も爪をいじらないよう、爪の表面に硬めのアクリル樹脂を塗って、クセがなくなるまで保護しておくとよいでしょう。
それでも爪いじりのクセが治らない場合、精神科や心療内科を受診してください。爪いじりのクセは精神的ストレスから来ている可能性があるので、心を落ち着かせてくれるリラックス法や、代替療法を試してみるとよいでしょう。
子供の場合
子供の場合は、精神的な未熟さなどから出てしまうものなので、親が叱って止めさせるのは困難です。
まずは、爪いじりの原因である不安や不満の原因を見つけて取り除くことから始めます。子供の指しゃぶりを止めさせるのに、指にカラシを塗ることがありますが、爪いじりでも同様です。
現在では、しつけ用に苦み成分を配合したマニキュアが市販されています。それを塗ることで、あまりの苦さに爪いじりを止めさせることができるというものです。
爪いじりのクセは、大人でも子供でも、なかなか治療の難しいもの。医療機関などで相談しながら、根気強く治療に取り組みましょう。
きれいな爪をつくるために
爪いじりのクセを直すと同時に、食事やケアに気を使い、きれいな爪をつくりましょう。
きれいな爪をつくる栄養素
爪は皮膚を守るために、皮膚の一部が硬くなってできたもの。ケラチンというタンパク質が変化したものでつくられています。つまり、丈夫な皮膚を作るのに欠かせない栄養素は、美しい爪を作るためにも欠かせない栄養素でもあるわけです。
とくに爪は、体の一番端にあるので、栄養が十分に行き渡らないことがあります。偏った食生活などで、体に調子の悪いところが出てくると、それが爪にも顕著に現れてきます。
爪は皮膚からできたものなので、皮膚と同じタンパク質が主成分。まずは肉類や魚類、卵、大豆製品、乳製品などのタンパク質を摂ることが大切です。ひとつ注意したいのは、脂身の多い肉はタンパク質の含有量が少なめだということ。肉類を摂る際、鶏肉や卵、脂身の少ない赤身など、良質のタンパク質を選ぶようにするとよいでしょう。また、動物性タンパク質と植物性タンパク質、片方だけに偏らないよう均等に食べるのが理想的です。
・ビタミンA
ビタミンAは、皮膚や粘膜、血管の壁など、体の輪郭となる「上皮細胞」でケラチンを作るのに欠かせない栄養素です。不足すると、爪が乾燥して割れやすく、変形を引き起こすこともあります。ビタミンAが豊富な食べ物というと、断トツで鶏レバー、次いで豚レバーです。
また、体内でビタミンAに変換できる「プロビタミンA」という物質があります。緑黄色野菜に豊富に含まれる、カロテノイド(βカロテンなど)もプロビタミンAのひとつです。
爪の割れや変形に気づいたら、先ほどのレバーや、かぼちゃ・ニンジン・ほうれん草などの緑黄色野菜を積極的に摂るようにするとよいでしょう。
・ビタミンB2
皮膚や粘膜など、体の外側を覆う組織をしっかり丈夫につくり、爪の細胞を再生させるためにも使われる大事な栄養素。不足すると、丈夫な爪がつくれなくなってしまいます。
ビタミンB2がもっとも豊富な食べ物は、レバー。多い順に豚レバー、牛レバー、鶏レバーとなります。次いで、うなぎ、卵、大豆製品、乳製品などにも含まれます。
・ビタミンE
油脂に溶けやすい脂溶性ビタミンで、血行をよくし、ツヤやうるおいのある爪をつくる栄養素です。不足すると、爪にうるおいがなくなったり、弾力がなくなったりして、ちょっとした衝撃でも割れやすくなってしまいます。
ビタミンEが豊富な食べ物には、たらこやアーモンド、ひまわり油やサフラワー油などの植物油、かぼちゃ、アーモンドなどがあります。ただし、油の中に含まれるビタミンEは、高温で加熱すると壊れてしまうという難点が。炒め物や揚げ物で使うよりも、サラダにかけるドレッシングなど加熱しないで使うのがベストです。
・鉄
鉄分は、赤血球の材料となる栄養素で、体の中に酸素を運ぶ働きがあります。鉄分が不足すると、健康な爪を作るための材料である酸素が、指先まで届かなくなり、爪が白くなったり、薄くなったり、反り返ってしまうこともあります。
鉄分を多く含む食べ物には、レバー、ひじき、あさり、大豆製品、小松菜、きくらげなどがあります。とくに貧血の人は、爪にも影響が出ることがありますので、意識して摂るようにしましょう。
ちなみに、これらの食べ物が苦手な場合、鉄製の鍋やフライパンで調理したり、鉄のやかんで沸かしたお湯でお茶を飲むことでも、少しですが鉄分を補うことができます。
また、鉄分はタンパク質と合わせて摂ると吸収率がよくなりますし、亜鉛やカルシウムなども爪の健康に欠かせない栄養素です。美しく健康な爪をつくるためには、上にあげた栄養素のどれかひとつに偏ることなく、バランスよく摂るように心がけましょう。
乾燥を防ぐ
爪が乾燥すると、そこから爪割れにつながります。爪はもちろん、爪周りの皮膚の保湿をして、乾燥を防ぐことが大切です。保湿クリームを塗るときは、手だけでなく、爪と爪周りにもしっかり塗るようにしましょう。
とくに、マニキュアを除光液で落としたあとは乾燥しがち。クリームで保湿するだけでなく、たまにはマニキュアをしないときをつくり、爪を休ませてうるおいを取り戻すようにしてあげるとよいでしょう。
甘皮ケアも忘れずに
甘皮は爪上皮(そうじょうひ)とも呼ばれ、爪甲(そうこう、いわゆる爪)と後爪郭(こうそうかく、爪を根元で固定しているところ)をつないでいる部分です。後爪郭への細菌・異物の侵入を防ぐ役割を果たしていますが、必要以上に広がったり、肥厚していると、ささくれの原因になるばかりか、爪への必要な水分を横取りしてしまったりして、爪が割れやすくなったり二枚爪の原因になるともいわれています。
甘皮の正しい処理方法は『甘皮(爪上皮)を処理して健康的な爪に』をご覧ください。
爪いじりのクセを直して、美しい指先に
爪いじりのクセは、爪自体の健康を損ないます。なかなか直らず悩んでいる方は、医療機関を受診してみるのもよいかもしれません。
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