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糖質ってなに?種類と働きを知る

更新日:2018.04.26
公開日:2015.10.30
ドクター画像
この記事の監修者
八王子みなみ野心臓リハビリテーションクリニック 院長 二階堂暁

「糖質オフ」「糖質制限」などをうたう商品も多く販売され、なんとなく太りそうな栄養素、といった印象のある糖質ですが、実際にはどのような働きをしているのでしょうか。ドクター監修のもと、糖質の種類や働きについて解説します。

近年、「糖質オフ」「糖質制限」をうたう食品が数多く販売され、糖質はできるだけ摂らない方がよいというイメージも広がっています。しかし、糖質にはさまざまな種類があり、それぞれに働きをもっているのです。

甘いものだけじゃない!糖質の定義と種類

糖質と言うと、甘いものや炭水化物などのイメージを抱く人が多いでしょう。このイメージは間違いではありませんが、糖質の定義からいえば正確ではありません。糖質の定義は、「糖質=炭水化物-食物繊維」となります。

炭水化物には、糖質のほかに人間の体内で消化できないセルロースなどの食物繊維が含まれています。ですので、同じ量の炭水化物を食べた場合でも、その食品に食物繊維が多く含まれていれば、糖質の量は少なくなり、逆に食物繊維の少ない食品であれば、その炭水化物のほとんどが糖質ということになります。

最近では食品成分表などにも「炭水化物」だけではなく「糖質」とか「食物繊維」を区別して表示されていることが多くなってきました。なお、糖質と炭水化物の違いや、糖質と炭水化物を区別する重要性について、『糖質と炭水化物の違いとは』でより詳しく解説しています。

また、ひとことで糖質と言っても、さまざまな種類があります。糖質は、その構造によって以下に大別されます。

糖類

糖質の中で、もっとも小さな単位を「単糖」といいます。単糖がふたつ結びついたものを「二糖類」といいます。この単糖と二糖類を合わせて、糖類といいます。ブドウ糖や、砂糖(ショ糖・スクロース)果物に含まれる果糖(フルクトース)などがこれに該当します。一般的に、強い甘みがあり、血糖を上昇させます。

多糖類

おもに、単糖が11個以上結びついたものをいいます。いも類や穀類などに含まれるでんぷん、そのでんぷんを加水分解することで得られるデキストリン、動物の筋肉や肝臓などに蓄えられるグリコーゲンなどがこの仲間です。甘みはあまり感じませんが、血糖はしっかり上昇させます。

糖アルコール類

糖アルコールは、酒のアルコールとは異なるものです。化学式の構造上、アルコール基という構造をもっている糖質の総称です。虫歯になりにくいなどの理由で、ガムの甘味料として使われたりするキシリトールなどが有名です。一般に、糖アルコール類は消化管でも吸収されにくく、血糖の上昇させる力は砂糖の半分くらいになります。なかでもエリスリトールは血糖値をほとんど上昇させないといわれています。

合成甘味料(人工甘味料)

砂糖に代表される糖類は、甘みが強く、私たちの食生活の彩りを鮮やかにするものとなっています。しかし、肥満や生活習慣病、また虫歯を引き起こす原因になることが分かってきて、近年、甘味を残しながらもこうした糖類の弊害を除いた食品が盛んに研究開発されるようになりました。

その中で、人工的に化学合成して作られたものを合成甘味料(人工甘味料)といい、極少量で強い甘みを感じさせるにもかかわらず、血糖は上昇させず、肥満予防につながることが期待されています。

ただ、現状では人工甘味料が糖尿病やメタボリックシンドローム、また心血管疾患の発症予防に有用であるという報告はほとんどされておらず、これらを積極的に摂ることが健康につながるという訳ではありません。また、多量摂取は他の要因で健康に対し悪影響を与えるおそれがあるなどの報告もあり、賛否両論あるのが現状のようです。過度な摂取には注意しましょう。

糖質の働きや役割

糖質の人体におけるおもな働きとは、私たちが活動するためのエネルギーの源となることです。三大栄養素である炭水化物・タンパク質・脂質は全てエネルギー源となりますが、この中から真っ先に使われるのが糖質です。

糖質の多くは体内で消化され、最終的には単糖類の状態となり、小腸で吸収されます。吸収された単糖類は肝臓に入り、一部は肝臓にグリコーゲンとして蓄えられ、肝臓を通過したものはブドウ糖となり血液中に放出されます。そして、血液中に放出されたブドウ糖は、筋肉や脳などのエネルギー源となります。ブトウ糖は、筋肉内にもグリコーゲンとして蓄えられます。

それでも余ったブドウ糖は中性脂肪に変わります。たとえば、環境変化などにより飢餓状態に陥ったときなどに備え、肝臓や脂肪細胞に蓄えられます。ただ、これが石器時代のような安定的に食糧が確保できていなかった時代ならまだしも、現代の日本のような過食・飽食の時代では、いざという危機的なことがなく、せっせと余分なエネルギーをため込むだけという状況が続きます。

すると、身体の持っている脂肪蓄積のキャパシティを超えてため込むことになり、近年注目されている腹部内臓脂肪や心外膜脂肪、血管周囲脂肪などの「異所性脂肪」というものにつながるのです。この異所性脂肪が、健康に対するさまざまな弊害を引き起こしています。

糖質制限中は注意!糖類を多く含む食べ物

野菜

野菜の中でも、糖質を多く含むものがあります。ニンジンやゴボウ、レンコンなどの一部の根菜類です。また、じゃがいもや山芋、サトイモなどのイモ類も、穀物と同じくらい糖質が含まれます。また、カボチャ、とうもろこしなども糖質を多く含む野菜です。なお、切り干し大根も乾燥状態100gあたりの糖質は多い野菜ですが、実際には乾燥状態で100gもの切り干し大根を1回の食事で食べることは少ないでしょう。そのため、1食で摂取する切り干し大根の糖質量は多くないと考えられます。

糖質が多く、糖質制限中に気をつけたい野菜については『油断できない実は糖質の多い要注意野菜とは』で詳しく解説しています。

調味料

調味料の中で、砂糖以外にも糖質を多く含むものがあります。その一例としてあげられるのが、みりんやケチャップ、白みそ、焼き肉のたれなどです。また、調理するときに糖質の含まれた調味料をどのくらい添加するかによって、できあがった料理の糖質量も異なってきます。糖質の摂取量を少なくしたい場合は、調味料自体の選び方とともに、調理するときの味付けにも注目するとよいでしょう。

糖質の多い調味料・少ない調味料については『糖質制限中は避けるべき糖質の多い調味料リスト』をご覧ください。

糖質の働きを理解し、食生活を見直そう

糖質を摂ると血糖値が上昇します。それをおさえようと、インスリンが分泌されます。インスリンはブドウ糖を細胞内に取り込むよう作用します。それにより血管の中から血管の外にブドウ糖は移動するため、血糖値としては一定に保たれることになります。取り込まれた先が脳や筋肉細胞の場合は、その活動に応じてエネルギー源として利用されますが、余った分が脂肪細胞に蓄積されます。使う量よりも摂る量が多い場合、当然、脂肪細胞に蓄積される量が増えます。これが肥満のメカニズムというわけです。

また、一度に摂る糖質量が多い場合や、より消化・吸収のすみやかな糖質であった場合、急激な血糖上昇を生じさせます。当然、それに応じてインスリン分泌量も急上昇し、結果、血糖の乱高下を生じさせます。これは、グルコーススパイクと呼ばれる現象で、肥満の原因に結びつくだけでなく、血管の内側にダメージを与えることで動脈硬化を進め、狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患や、脳血管疾患を引き起こすリスクになるといわれています。

糖質制限による健康影響についての注意事項

糖質制限の効果や安全性については諸説あります。例えば、効果に関して、63名の肥満の男女を低炭水化物食群とカロリー制限低脂肪食群に分けて行った研究で、6か月後では低炭水化物食群の減量幅が大きかったが、1年後になると両者の違いは見られなかったとしています[1]。また、日本糖尿病学会は運動療法と総エネルギー摂取量の制限を重視し、糖質制限に関して、「総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない」としています[2]。当コンテンツはあくまでも糖尿病などのリスクを持たない健康的な人を対象としていること、また、健康的な人の場合でも糖質制限を取り入れることでの長期的な効果や、健康への影響について否定的な意見があることにご注意ください。

参考文献

  1. [1]Gary D. Foster, et al. A Randomized Trial of a Low-Carbohydrate Diet for Obesity, N Engl J Med 2003; 348: 2082-2090
  2. [2]日本糖尿病学会. "日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言" 日本糖尿病学会. http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=40(参照2017-06-29) 

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