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糖質と炭水化物の違いとは

更新日:2017.08.25
公開日:2015.10.30
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この記事の監修者
八王子みなみ野心臓リハビリテーションクリニック 院長 二階堂暁

どちらも体の活動に必要なエネルギー源である「糖質」と「炭水化物」。その違いは何か、それぞれの定義とダイエットとの関係や、不足したときに起こる可能性があるリスクについて、ドクター監修の記事で詳しく解説します。

糖質制限ダイエットと炭水化物抜きダイエットは、同じように考えられていますが、厳密には全く同じという訳ではありません。ここでは、糖質と炭水化物の違いについて見てみましょう。

糖質と炭水化物の定義

炭水化物から、セルロースなど人間の身体では消化することのできない食物繊維を除いたものが糖質です。つまり、含まれる食物繊維が非常に少なければ、炭水化物量がほぼ糖質量といえます。栄養表示で、炭水化物を糖質や食物繊維と区別して表示している食品なども最近増えてきました。

ここを区別する重要性は、糖質の摂りすぎは肥満・体重増加の原因となるのみならず、血糖値の乱高下を来たし、糖尿病の発症や増悪に関わり、動脈硬化や心血管疾患を引き起こすリスクになります。一方、食物繊維にはそういった危険性はないというまったく異なる性質を持っているからです。

糖質制限ダイエットと炭水化物ダイエットの違いは?

糖質制限ダイエットと炭水化物抜きダイエットは、制限するものの名称が糖質か炭水化物かという違いはありますが、先にも述べたとおり、炭水化物=糖質+食物繊維という定義が成り立ちます。そのため、両方のダイエットは、血糖値が上昇する糖質摂取を少なくすることで、結果として血糖値の上昇とインスリンの分泌、そして、それらによって引き起こされるさまざまな健康障害を防ぐことを目的としています。

人間が活動していくうえで、エネルギー源となる糖質ですが、糖質をエネルギーに変えるためにはインスリンというホルモンの働きが欠かせません。

インスリンは、ブドウ糖の筋細胞や脂肪細胞への取り込みを促進させるだけでなく、グリコーゲンの合成・タンパク質合成・脂肪合成など、人体の維持・構築のために大変重要な働きをしています。しかし、糖質の摂取が多くなると、必然的にインスリンが過剰に分泌されるようになり、それが肥満・内臓脂肪の蓄積、メタボリック症候群・生活習慣病の発症・悪化、ひいては心血管疾患・動脈硬化性疾患の発症を引き起こすこととなります。

糖質の摂り方を適切なレベルに保つことで、インスリン分泌過剰状態を防ぐことができれば、肥満の解消・ダイエット効果だけでなく、狭心症や心筋梗塞に代表される心臓疾患の発生や再発を予防できる可能性も秘めています。実際、メタボリック症候群の指標である腹部内臓脂肪や、近年、心臓疾患との関連性が示唆されている心外膜脂肪が、糖質を控えることによって減少するということも発表されています。

炭水化物や糖質の摂取制限で気をつけること

炭水化物・糖質の摂取を制限すると、体重の減少も得られますが、筋肉量なども減ってしまい、かえって健康を害するという意見もあります。実際、いま食べているものから炭水化物・糖質だけを取り除いただけのダイエット・食事療法をすると、人間が生きていくうえでのエネルギー量が不足する場合があります。また、身体を構成・維持するために必要な栄養素も不足するため、個人差はあるようですが、基礎代謝量が低下したり、筋肉量や骨量に低下を招いたりすることがあるようです。

炭水化物・糖質の摂取量を控える場合には、控えた分、筋肉や骨の材料となるようなたんぱく質・脂質、ビタミンやミネラルを含む食品はしっかり食べるように心がけましょう。ただ、体重が減ればいい、食べる量を減らせばいいというのではなく、自分の健康を維持するためにどのような栄養素が必要で、何が過剰になっているのかを客観的に分析し、無理なく継続的に行える食生活を確立させていくことが重要です。

糖質制限による健康影響についての注意事項

糖質制限の効果や安全性については諸説あります。例えば、効果に関して、63名の肥満の男女を低炭水化物食群とカロリー制限低脂肪食群に分けて行った研究で、6か月後では低炭水化物食群の減量幅が大きかったが、1年後になると両者の違いは見られなかったとしています[1]。また、日本糖尿病学会は運動療法と総エネルギー摂取量の制限を重視し、糖質制限に関して、「総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない」としています[2]。当コンテンツはあくまでも糖尿病などのリスクを持たない健康的な人を対象としていること、また、健康的な人の場合でも糖質制限を取り入れることでの長期的な効果や、健康への影響について否定的な意見があることにご注意ください。

参考文献

  1. [1]Gary D. Foster, et al. A Randomized Trial of a Low-Carbohydrate Diet for Obesity, N Engl J Med 2003; 348: 2082-2090
  2. [2]日本糖尿病学会. "日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言" 日本糖尿病学会. http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=40(参照2017-06-29) 

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