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がん手術後などに出現するリンパ浮腫の治療方法

更新日:2017.12.19
公開日:2015.11.24
ドクター画像
この記事の監修者
宮前平すがのクリニック 院長 菅野雅彦

「リンパ浮腫」の治療は、体への負担が少ない「保存的治療法」と、手術などの「外科的治療」に分けられ、主に保存的治療法が多く行われています。その具体的な内容について、ドクター監修の記事で詳しく解説します。

早くに治療を始めることで改善も可能といわれているリンパ浮腫。具体的にどのような治療法が行われるのか、詳しく解説します。

むくみがあらわれるリンパ浮腫(ふしゅ)とは

私たちの体には、血管に沿うようにリンパ管という管が張り巡らされており、このリンパ管に障害が起きてむくみがあらわれる症状を「リンパ浮腫」と言います。リンパ浮腫には原因不明の「原発性リンパ浮腫」と、がん手術などの後に出現する「続発性リンパ浮腫」があります。

リンパ浮腫は重症化すると完治がそれだけ難しくなります。早期発見、早期治療が大切です。

リンパ浮腫の症状や原因、自覚症状などについては『「リンパ浮腫」の原因と症状』をご覧ください。

治療の主となる複合的理学療法

リンパ浮腫の治療法は、大きく分けて、身体への負担が少ない「保存的療法」と、手術などを行う「外科的治療」のふたつになります。主に行われるのが保存的療法で、その代表が「複合的理学療法」です。

「複合的理学療法」は、スキンケア、リンパドレナージ、圧迫療法、圧迫を加えながらの運動療法などを組み合わせて治療を行い、むくんだ部分の安静など日常生活の指導も行いながら改善を目指していく方法です。

ぞれぞれの具体的な内容を以下で解説します。

スキンケア

リンパ浮腫でむくんだ皮膚は、乾燥や角化がしやすく、ひび割れもしやすい状態です。そのため、細菌に感染しやすく、細菌感染によって炎症が起こると急激に悪化します。細菌感染を防ぐためにも、乾燥や角化が見られるときは保湿したり、軟膏を塗るなどのスキンケアが大切になります。

リンパドレナージ(マッサージ)

リンパ浮腫に対してマッサージを行い、手足に溜まったリンパ液を適切な場所に移動することがリンパドレナージの目的です。リンパ浮腫の治療でのリンパドレナージは、それを専門的に学んだ医師や看護師、理学療法士などの医療従事者の治療や指導を受けましょう。

圧迫療法

弾性包帯や弾性ストッキングなどの弾性着衣を用いて圧力を持続的にかけることで、むくみが軽減した状態を保ったり、組織の隙間にリンパ液が溜まらないようにしたり、リンパ液の流れをスムーズにするのが圧迫療法の目的です。

皮膚にかぶれなどの異常が見られたり、血圧が高いときなどは圧迫療法を中断する必要があるため、適応、不適応に関しては必ず医師の指導を受けるようにしましょう。

圧迫したうえでの運動療法

弾性包帯や弾性着衣を着けたうえで、脚の関節を動かす運動を行います。脚の関節を動かしてリンパの流れをよくする方法です。このように圧迫を加えたうえで足を動かすことで、筋肉の収縮と圧迫作用の相乗効果でリンパの流れがよくなり、むくみの改善が期待できます。

上記以外の病院での治療法

「複合的理学療法」以外の治療法には以下のものがあります。

外科治療(手術)

リンパ浮腫の外科治療は、主に手術です。流れの悪いリンパ管を、正常に流れている静脈につなぐ吻合手術があります。効果的につなぐことができれば、むくみの改善が見込めますが、手術後、まったく圧迫を必要としなくなる、ということは少ないとされています。

間欠的空気圧迫法

リンパ浮腫でむくみがある手や足に、空気が入る袋をかぶせ、その中に機械で空気を送って圧迫する方法です。これによって空気圧でむくみを押し上げます。その後、弾性着衣や弾性包帯などで十分に圧迫することで効果を持続させます。

薬物療法

リンパ浮腫の治療に、薬物療法は推奨されていません。皮膚が硬くなった場合は、尿素製剤が有効です。

医師の指導に従って早期改善をめざしましょう

リンパ浮腫の治療は、むくみの状態や発症してからの期間、原因を確認してから行われます。患者本人のセルフケアも重要となりますので、きちんと医師の指導、説明を受けたうえで行うようにしましょう。

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