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妊娠性皮膚掻痒症とは
妊娠中に起こる体質の変化によって起こるさまざまな肌トラブルのひとつに妊娠性皮膚掻痒症という疾患があります。主に強いかゆみを覚えるのが特徴ですが、より具体的な症状や原因、治療法をドクター監修のもと解説します。
妊娠中の肌は、これまで気にしてなかった肌のトラブルが悪化してしまう、今まで使ってたスキンケア化粧品が肌に合わなくなってしまうといったことが起こりやすいようです。体質がどんどん変わっていき、その中で肌にも影響が出てくることがあります。非常に強いかゆみを覚えたら、妊娠性皮膚掻痒症(にんしんせいひふそうようしょう)かもしれません。具体的にどのような疾患なのか見ていきましょう。
妊娠性皮膚掻痒症とは
妊娠中期から後期に見られる症状で、全身に強いかゆみを覚えるようになります。単純にかゆいだけで特に皮膚に異常があるわけでもない場合、疑われるのが「妊娠性皮膚掻痒症」です。
混同されやすい病気もある
妊娠性皮膚掻痒症と症状が似ているために混同されやすい皮膚疾患として、「妊娠性痒疹(にんしんせいようしん)」と「多形妊娠疹(PUPPP)」があげられます。どのような違いがあるのか解説します。
妊娠性痒疹
100人に1人という割合で妊婦にみられるのが「妊娠性痒疹」です。妊娠中に、手足を中心に全身に局所的な発疹ができます。強いかゆみをともなうため、妊娠性皮膚掻痒症と似ていますが、1cm以下の小さな皮膚の盛り上がりができるのが特徴です。初産よりも2回目以降の妊娠によく見られる傾向があり、妊娠してから3~4か月ごろから発症しやすいとされています。
多形妊娠疹(PUPPP)
初産の後期に発症しやすい傾向にあるのが「多形妊娠疹」です。腹部を中心として蕁麻疹のように赤い点々(紅斑)ができます。手足にも現れることがあり、紅斑がひとつにまとまって大きくなることもあります。こちらも強いかゆみをともなうため、妊娠性皮膚掻痒症と間違えられることがあります。
なにが違うのか
どちらも強いかゆみを覚える症状は似ていますが、決定的に違うのがどちらも発疹や紅斑など、皮膚に異常をきたす症状を持っていることです。その点において、妊娠性皮膚掻痒症と大きく違います。妊婦の約2~3%に妊娠性皮膚掻痒症などのようなかゆみをともなう症状が現れるといわれています。妊娠中の皮膚疾患は、出産後24時間以内におさまるといわれており、必要以上に不安になることはありません。
妊娠性皮膚掻痒症の症状
代表的な症状として、全身にチクチク、ムズムズするようなかゆみを覚えます。しかし、皮膚に発疹や湿疹などの異常は見られないというのが特徴です。あまりにかゆくて夜に眠れないといったケースもあり、ストレスの原因にもなってしまいます。
あまりにかゆいため、患部を掻き壊してそこが発疹を起こしたり苔癬化(たいせんか)することもあります。あまり肌にダメージを与えすぎると色素が沈着してしまうおそれもあるため、かゆくても掻きむしらないようにしましょう。通常、出産後24時間以内にはかゆみはおさまるといわれています。
妊娠性皮膚掻痒症の原因
妊娠性皮膚掻痒症には、大きく3つの原因があると考えられています。
ホルモンバランスの乱れやストレス
妊娠中のホルモンバランスの乱れによって、皮膚が乾燥することが原因とされますが、環境変化による心理的なストレスによって発症すると考えられています。妊娠すると女性ホルモンが多く分泌され、男性ホルモンの分泌が減るため乾燥しやすくなります。
潜在的な病気
潜在的な病気が原因の場合もあります。慢性肝不全や肝疾患、悪性リンパ腫、精神神経疾患、糖尿病などがあげられます。このような病気が潜んでいると母子ともにリスクが増加するため、すみやかに医師に診てもらいましょう。
遺伝的要因
家族の中に遺伝的な因子を持つことが原因で、発症する場合もあると考えられています。
妊娠性皮膚掻痒症の治療法とケア方法
妊娠性皮膚掻痒症のケアでは、肌をしっかり保湿することが大切です。これは、乾燥が原因となるほとんどの皮膚疾患にいえますが、まずは肌を乾燥させないようにしましょう。特に、冬場は乾燥しますので室内に加湿器を置くなど工夫をするとよいでしょう。
妊娠性皮膚掻痒症が悪化するのは、患部を掻き壊してしまった場合です。掻き壊してしまうと患部に湿疹ができてしまい、さらにかゆくなり、掻き壊すという悪循環になります。あまりにかゆい場合は掻き壊す前に、医師に相談してかゆみ止めを処方してもらいましょう。
妊娠中は胎児への影響もあり、使用可能な薬も限られます。無理に我慢するよりは、事前に医師に診てもらい、少しでもストレスを減らしましょう。
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