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顔汗が止まらない顔面多汗症の原因と対策方法について

更新日:2017.04.01
公開日:2017.03.29
ドクター画像
この記事の監修者
岩?内科クリニック 院長 岩?信吾

顔から汗がたくさん出て、普段の生活でも色々と困ってしまうような人は、顔面多汗症と呼ばれる症状の可能性があります。今回は、そのような顔面多汗症の原因や対策方法について、ドクター監修の記事で詳しく解説します。

特に激しい運動をしたわけでもなく、暑いわけでもないのに顔から汗が止まらない場合、それはもしかすると顔面多汗症と呼ばれる症状かもしれません。そのような顔面多汗症の原因や対策について、詳しく解説します。

顔面多汗症の症状

緊張状態であったり、運動をしたりしたわけでもないのに、汗をたくさん汗をかいてしまう症状を「多汗症」と呼ぶことがありますが、その症状が顔に出る場合は特に「顔面多汗症」と呼ぶ場合があります。

たとえば、気温が暑かったり激しい運動をしたり、緊張や刺激物を食べたことで汗が出るのは通常の生理反応ですので、必ずしも多汗症であるとは限りませんが、日常生活に支障が出るような場合には「多汗症」とすることがほとんどです。たとえば、仕事中などに汗がたくさんでてしまうため化粧が崩れたり、緊張すると滴るほど顔から汗が出てしまったりするような人は顔面多汗症の可能性があるといわれています。

顔面多汗症の原因・対処法

体の特定の部分から汗がたくさん出る多汗症については、その原因ははっきりとわかっていません。しかし、発汗を促す自律神経の1つである「交感神経」がなんらかの原因で過敏になることが1つの原因であると考えられています。顔面多汗症で日常生活に支障がでるようであれば、専門のクリニックなどで治療することで改善が期待できるケースがあります。そこで、具体的な治療方法について解説します。

ボツリヌス注射

ボツリヌス注射とは、ボツリヌス毒素が作り出すタンパク質を用いる注射のことです。そもそも、汗は交感神経の末端から「アセチルコリン」と呼ばれる神経伝達物質が放出され、それに刺激を受けた汗腺から分泌される仕組みになっていると考えられています。そこで、ボツリヌス注射によりこのアセチルコリンの放出を抑制することで汗を減らす、というメカニズムでの症状改善が期待できます。1回の施術で半年程度の効果が期待できるとされており、顔面多汗症の場合には額に注射することで額からの汗を軽減させるような使い方をするケースが多いです。

神経遮断薬の利用

神経遮断薬とは、先ほど説明したアセチルコリンの放出を阻害して発汗を抑制する効果が期待できる薬のことです。多汗症の場合、「プロバンサリン(薬剤名)」と呼ばれる薬が、現在、唯一の認可された薬です。効果範囲も広く全身に作用する薬なので、顔だけでなく全身の多汗症に効果があるといわれています。ただ、副作用として口の渇きや胃腸障害、眠気、便秘などの症状が現れる可能性があると報告されていますのでドクターの指示に従って服用するようにしてください。

精神安定剤の利用

顔は人目につきやすく隠すことも難しい部分なので、顔面多汗症の人は特に人目が気になってしまうようです。その結果、汗をかくことへの緊張感やストレスが、さらに汗の原因となってしまう悪循環に陥ってしまうことがあります。多汗症は精神的な病気ではありませんが、このような人目の恐怖や不安などが症状を悪化させる原因になっている場合、精神安定剤を用いて緊張感や落ち着きを取り戻すことで、汗の量を減らすことができる可能性があります。

漢方薬の利用

漢方薬は即効性がない反面、体のバランスや調子を整える事で自己治癒力を高める効果が期待できるといわれています。そこで、顔面多汗症に対しても「柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)」と呼ばれる漢方薬を処方される場合があります。

顔面多汗症の手術

顔面多汗症の治療方法の1つとして、手術による治療を行う場合があります。そこで、どのような手術が行われるのか、術式や予後の注意点について解説します。

手術方法

多汗症の改善のためには、「胸腔鏡下交感神経節遮断術(ETS)」と呼ばれる手術が行われることが多いとされます。発汗を促している交感神経を切断することで、顔や手のひら、わきの下などの汗を軽減する効果が期待できるとされる手術です。

術式としては、まずわきの下に2~4ミリメートル程度の小さな傷をつけ、そこから、肺を移動させるために胸へ炭酸ガスを注入します。その結果、見えやすくなった交感神経を内視鏡で確認しながらメスで切断するという手術を行います。通常、交感神経は体の右側と左側にあるので、両側を切断する場合には反対側のわきからも手術を行う場合もあります。

手術の副作用

この胸腔鏡下交感神経節遮断術(ETS)での手術は、短期間で体に負担の少なく効果もほぼ期待できる術式といわれているのですが、一方で、多くの人に「代償性発汗」と呼ばれる副作用が発生するとされています。この代償性発汗とは、顔などの汗が止まった分を胸や腹など他の部分で補おうという症状で、場合によっては手術前の多汗症よりも症状が辛く感じ、手術したことを後悔してしまう人もみられます。

そこで、そのようなリスクを分散させるためにまずは片側の副交感神経のみを切断し、夏などの汗をかきやすい時期を乗り越えられるか判断するようなケースもあるようです。交感神経を切断してしまうと元に戻すのは不可能といわれていますので、薬での治療なども含めてどのような治療が最適なのか、片方を切るか両方を切るかについては、ドクターとよく相談して検討するようにしてください。

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