内容が最新ではない可能性がございますので予めご了承ください。
淋病の治療とは
淋病は、治療が遅れると不妊の原因になることもある病気です。しかし、早期に発見して、しっかり治療していけばおそれることはありません。ここでは、淋病の治療について、ドクター監修の記事で詳しく解説します。
淋病にかかると男性は、排尿時の痛みなどにより病院で検査することにより発覚することもあります。一方、女性は男性に比べると、自覚症状がでないことも多いため、病院への受診率が男性と比べると、1/3以下と低いのが現状です。そのため、男性側が淋病にかかったとわかったときには、パートナーである女性の淋病を発見できる機会でもあります。
淋病の治療はパートナーも一緒に
淋病は、性行為やキスにより、口や性器から感染することがほとんどといわれる性病です。そのため、もしも、淋病に感染したとすれば、同じくパートナーも淋病に感染している可能性があります。それにより、パートナーも検査、治療を行わないと、自分が治ったあとでも再びパートナーから感染する危険性があります。淋病の原因となっている淋菌は、治療薬により耐性を作り強くなっていくため、以前は効いた治療薬が、次に感染したときには効かなくなってしまうという事態が発生してしまうことも考えられます。このような理由から、淋病の治療を受ける際には、パートナーも一緒に治療を受けることが望ましいといえます。
抗菌薬での治療
淋病の治療では、健康保険の適応が認められていない薬もあります。そのため、治療の際には自費診療か保険対応かを確認されることをおすすめします。自費診療といっても、淋病の治療は1回、長くても1週間くらいで終わるといわれています。下記は、日本性感染症学会誌による「性感染症診断・治療ガイドライン2016」で紹介されていた淋菌により発生した症状の治療についてです。
尿道炎や子宮頸管炎
尿道炎は、男女共に発症しますが、男性の方が淋病の代表的な症状とされています。特徴は排尿するときに痛みを感じたり、独特の分泌物がでたりすることです。一方、子宮頸管炎は女性のみに発症し、おりものが増える、生理でもないのに出血するといった症状がありますが、自覚症状がないことも珍しくありません。
治療については、以前、ペニシリン、テトラサイクリンなどの経口剤が治療薬の中心でしたが、現在では経口剤による耐性淋病がほとんどなので、注射薬によって治療が進められています。セフトリアキソンを静脈注射で1回もしくは、スペクチノマイシンを筋肉注射で1回することとなります。セフトリアキソンとスペクチノマイシンは尿道炎と子宮頸管炎において、ほぼ効果は100%といわれています。しかし、尿道炎や子宮頸管炎の場合は、のどに淋菌が住みついている咽頭(いんとう)感染を起こしている可能性が、1割から3割の割合で確認されているので、のどにも有効とされるセフトリアキソンの方が使われることは多いといえます。
精巣上体炎や骨盤内炎症疾患
精巣上体炎は尿道炎が重症化した状態で男性に発生します。悪化すると、治療後に無精子症になるおそれもあります。一方、骨盤内炎症疾患は女性の悪化した淋病といったところで、下腹部の痛みやおりものの異常、発熱などの症状を引き起こし、治療が遅れると不妊症の原因になることがあります。精巣上体炎と骨盤内炎症疾患の効果的な治療は下記の通りです。
- セフトリアキソン(静脈注射で1日1、2回×1~7日間)
- スペクチノマイシン(筋肉注射で1回、3日後にお尻2箇所に追加で注射)
咽頭(いんとう)感染
口を使用したオーラルセックスにより口から入り込んだ菌が、のどの粘膜にくっついて感染した状態です。炎症を起こしますが、淋菌による炎症だと気づかれにくいです。治療はセフトリアキソンを、静脈注射で1回行います。セフトリアキソンは先ほど紹介した、尿道炎と子宮頸管炎も同時に治療が可能とされています。
播種性(はしゅせい)淋菌感染症
発熱や関節症などの全身症状を引き起こした、重度の淋病です。そのため、他の症状に比べて治療は少し長めですが、だいたいは1週間以内で終わります。治療はセフトリアキソンを静脈注射で1回、3~7日間行います。
結膜炎
淋菌が原因による結膜炎は、大人がかかることはめずらしく、ほとんどは淋病に感染した母親が出産する際に胎児が感染することがほとんどです。感染するとまぶたが腫れたり、膿が発生したりして、最悪の場合には失明することもあります。予防薬としては専用の点眼薬や軟膏などがありますが、治療薬に関してはスペクチノマイシンをお尻の方に筋肉注射で1回、もしくは、セフトリアキソンを静脈注射で1回行うこととなります。
直腸感染
直腸感染は、肛門を使ったアナルセックスにより、肛門から直腸の粘膜に住みついた淋菌から感染します。感染すると、肛門のあたりに不快感や下痢、血便などの症状が現れます。結膜炎と同じく、スペクチノマイシンかセフトリアキソンを1回注射することで改善するとなっています。
淋病の治療薬として以前はセフォジジムという治療薬も有効とされてきましたが、2016年3月末で販売中止となったため、「性感染症診断・治療ガイドライン2016」では、保険の適応になっている治療薬はセフトリアキソン、スペクチノマイシンの2種類となっています。ただし、淋菌が原因による結膜炎の治療に関して、セフトリアキソンは、保険適用外となっています。
治療後の再検査も大切
淋病の治療は、1回の抗菌剤の治療で終了することも多いです。しかし、その後症状が改善したあとも、菌が残っている可能性はあるため、およそ1か月後に再検査を受けます。菌が残っているのに治ったと思い込んで、再び性行為を行うと、再び相手に感染してしまうこともあるため、自分のためにも、周りのためにも、病院での再検査の確認が終わるまで十分に注意しましょう。
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