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頭皮のかゆみに効く薬の種類と正しい洗髪方法
頭皮のかゆみを「ただかゆいだけ」と放置していると、頭皮環境の悪化を招くかもしれません。市販薬やシャンプー選びといったセルフケアによるアプローチ方法、皮膚科で処方される薬と治療についてドクター監修のもと解説します。
我慢できずに、つい手が伸びてかいてしまう頭皮のかゆみ。毎日シャンプーをしているのにかゆみがおさまらない場合、かゆみを止めるために医薬品を活用したり、皮膚科を受診するという手段があります。しかし、日々のケアが必要な頭皮に起こることは、日常的に行っているケア方法を確認することも重要です。ただし、かゆみや痛みなどが激しい場合、またその他の異常を感じる場合は、皮膚病の可能性があるので、すぐに皮膚科を受診しましょう。
頭皮のかゆみに対する市販薬はいくつかありますが、かゆみの原因に合っていないものを使用すると、かえって頭皮のかゆみやフケを悪化させる可能性も考えられます。まずは頭皮のかゆみの原因をおさえ、市販薬や皮膚科で処方される薬の種類を解説します。あわせて、洗髪方法やシャンプー剤の見直しといった日常の正しいセルフケアも押さえておきましょう。
頭皮のフケやかゆみが起こる原因とは
頭皮にかゆみやフケといったトラブルが起きる原因は、頭皮の乾燥や皮脂の過剰分泌、病気などさまざまです。原因次第では、頭皮のかゆみを改善するために皮膚科を受診するほうがよい場合もあるため、まずはどのようなことが頭皮のかゆみの原因となるのか解説します。
頭皮の乾燥
頭皮は皮脂の分泌が盛んで乾燥しにくいイメージがあるかもしれません。しかし、頭皮も顔や腕などの肌と同じく乾燥する場合があります。頭皮が乾燥しているときには、パラパラ、かさかさしたフケが出て、かゆみが出やすくなります。毎日丁寧に髪を洗っているのにこのようなフケがおさまらない場合、頭皮が乾燥している可能性が考えられるでしょう。
頭皮が乾燥する原因のひとつとして、頭皮の洗いすぎがあげられます。フケを気にするあまり必要以上にシャンプー(洗髪)すると、肌を保護するのに必要な油分(皮脂)まで落としてしまうのです。皮脂は本来、肌を刺激から守るバリアの役割を担っています。その皮脂が不十分になることで、頭皮が外部からの刺激に敏感になり、かゆみを感じやすくなるのです。なお、シャンプーのしすぎのほかに、加齢や紫外線の影響など、さまざまなことが頭皮の乾燥を招く原因としてあげられます。
皮脂の過剰分泌や汚れの付着
頭皮の皮脂が過剰に分泌されることが原因で、かゆみが起こる場合もあります。どのような人の頭皮に存在している常在菌の一種の「マラセチア」というカビが皮脂をエサに増殖することで、頭皮にかゆみを感じるようになるのです。また、このようなときにはベタベタした脂っぽいフケが出るのも特徴的です。
また、何日も洗髪できない日が続いたり、すすぎ残しが頭皮に残ったりして頭皮が清潔ではない状態も、同じく頭皮のかゆみやベタベタしたフケといった頭皮トラブルの原因となります。
なんらかの病気による頭皮のかゆみ
なんらかの病気によって頭皮のかゆみが生じる場合もあります。頭皮にかゆみを起こす可能性がある病気として、主に以下のものがあげられます。
- 接触性皮膚炎
- 肌に合わないシャンプーや整髪料が刺激となったり、アレルギー反応を引き起こしたりして頭皮にかゆみが出ます。原因となっているシャンプーなどを使い続ける限り、症状も続く可能性があります。
- アトピー性皮膚炎
- アトピー性皮膚炎の方は肌のバリア機能の働きが弱く、刺激の強いシャンプーや紫外線、雑菌などの外からの刺激でかゆみを引き起こしやすい傾向があります。かゆみが強く、かきむしって細菌に感染してしまうケースも見られます。
- 頭ジラミ
- 頭ジラミとは頭皮に寄生する虫のことです。昔の病気という印象を持っている方も多いかもしれませんが、国立感染症研究所によると、1994年度以降は頭ジラミの発症件数が増加傾向を示しているとされています。[1]
このように、病気が頭皮のかゆみを引き起こしている可能性も考えられます。頭皮のかゆみを感じたら、「ただかゆいだけだから」と放置せず、皮膚科を受診しましょう。
フケやかゆみに効くとされる薬の種類
頭皮のかゆみやフケといった頭皮トラブルがある場合、効果を期待できる薬はその原因によって異なります。ここでは、頭皮のかゆみやフケに効果が期待できる市販薬の種類のほか、皮膚科を受診したときに処方される薬について解説します。
頭皮のかゆみやフケに効果が期待できる市販薬
市販薬の中で頭皮のかゆみやフケへの効果を期待できる薬は主に2種類です。
- 抗ヒスタミン系の塗り薬
- ステロイドの塗り薬
それぞれに期待できる効果や注意点を簡単に解説します。
- 抗ヒスタミン系の塗り薬
- 抗ヒスタミン系の塗り薬は、ヒスタミンというかゆみのもととなる物質の作用を阻害するほか、ヒスタミンが生成されるのを抑えることで、かゆみにアプローチする薬です。頭皮のかゆみやフケの根本的な対策というよりは、思わず掻いて傷をつけたり、皮膚の炎症を悪化させたりすることを防ぐために使用するものと考えられます。また、保湿作用もあるため、乾燥による頭皮のかゆみへのアプローチもできます。抗ヒスタミン薬の成分として、ジフェンヒドラミン塩酸塩などがあげられます。
- ステロイドの塗り薬
- ステロイドには、炎症を抑える作用や湿疹をしずめる作用があります。ステロイドは、強さによって5段階のランクがあります。市販されているのは3番目に強い「ストロング(Strong)」、それより弱い「ミディアム(Medium)」、一番弱い「ウィーク(Weak)」の3種類です。
ステロイドと聞くと「副作用」のイメージが強い方もいるかもしれません。確かにステロイドには長期的な使用などによって副作用が出る可能性があります。しかし、皮膚の状態に合ったランクのステロイドを使用することで、肌の炎症が1週間ほどでよくなります。そうなったら、ステロイドの塗り薬をやめましょう。
ただし、市販のステロイドを1週間ほど使用しても症状が改善しない場合は、ステロイドの使用をやめて皮膚科に相談してください。
頭皮のかゆみやフケで処方される薬
頭皮のかゆみやフケで皮膚科を受診すると、以下のような薬が処方されます。
- 抗真菌薬
- ステロイド
それぞれについて簡単に解説します。
- 抗真菌薬
- 真菌(カビ)の繁殖を抑制する作用のある薬です。フケやかゆみの原因となるマラセチアなどのカビの繁殖を抑えることで、かゆみやフケに対するアプローチを行います。ケトコナゾールといった成分があげられます。
- ステロイド
- 病院では、症状に合わせて「ストロンゲスト(Strongest)」や「ベリーストロング(Very Strong)」といった強いステロイドが処方されることもあります。強ければ強いほど皮膚への刺激も強くなるため、塗る場所や塗り方、使用期間などを医師にしっかり確認して使うことが大切です。
皮膚科では、頭皮のかゆみやフケの原因を見極め、それに応じた薬の処方などの治療を行ってくれます。原因に応じた対策をとらないと症状や頭皮環境が悪化することも考えられます。頭皮のかゆみやフケに対して自己判断で市販薬を使い続けたりせず、1週間ほどで改善しなければ皮膚科にかかるようにしましょう。
頭皮のかゆみ対策となる洗髪方法・シャンプー剤の選び方
頭皮の乾燥や汚れの付着のほか、過剰な皮脂が頭皮のかゆみの原因となっている場合、シャンプーの選び方や洗い方を工夫することで改善する可能性も考えられます。
ただし、頭皮が乾燥しているのに皮脂が過剰な場合のケアを行ったり、頭皮のベタつきが気になる方が洗浄力のマイルドなシャンプーを使用したりすると、かえって悪化する原因にもなりますので、注意が必要です。自己流のケアを少し続けてもかゆみが改善しない場合や悪化する場合には、皮膚科で相談することをおすすめします。
まずは、正しいシャンプーの仕方を解説します。
正しいシャンプー(洗髪)の方法
頭皮が乾燥している場合も、皮脂が過剰になっている場合も、シャンプーの仕方や髪の乾かし方を見直すことで改善する可能性があります。正しいシャンプーの仕方のポイントを以下にまとめました。
- まずはお湯だけでしっかりと洗い流す(予洗い)
- ガシガシと強くこすったり、爪を立てたりしない
- しっかりシャンプーを泡立て、泡を頭皮になじませる
- 指の腹を使い、力を入れすぎないように洗う
- 下から上へ向けて手を動かして洗う
- すすぎはぬるめのお湯ですすぎ残しがないよう入念に行う
全体的に、頭皮に必要以上に力をかけないようにしながら、頭皮をやさしくマッサージするイメージでシャンプーをしましょう。
また、髪を乾かすときにも気をつけたいポイントがあります。
- タオルドライは頭皮をやさしく押さえて水分を吸い取る
- ドライヤーで8割くらいまで乾かす
自然乾燥に頼ってしまうと、頭皮に雑菌が繁殖しやすくなります。しかし、しっかりと乾かしてしまうと頭皮が乾燥してしまう可能性もあるため、8割くらい乾かすイメージがちょうどよいでしょう。
乾燥による頭皮のかゆみ対策シャンプー選び
頭皮の乾燥がかゆみの原因になっていると思われる方で、1日に複数回シャンプーをしている場合は1日1回以下にとどめましょう。
また、使用するシャンプー剤を見直す場合は、配合されている界面活性剤に注目します。シャンプーに含まれる界面活性剤は、大まかに以下の3つに分かれます。
- 高級アルコール系シャンプー
- 洗浄力が比較的強めです。成分表示の前の方に「ラウリル硫酸Na(ナトリウム)」「ラウレス硫酸」といった記載がある場合は高級アルコール系シャンプーです。
- 石けんシャンプー
- 石けん素地を使用したシャンプーで、洗浄力が高く皮脂もしっかり落とします。肌への刺激は少なめですが、洗い残しが頭皮に残るとかえって頭皮トラブルの原因となる場合もあります。
- アミノ酸系シャンプー
- 3つのタイプの中でも洗浄力がマイルドなため、一般的に肌の敏感な方でも使いやすいシャンプーといわれています。「ココイル」「グルタミン酸」「メチルアラニン」「メチルタウリン」などがつく成分が成分表示の前方にあれば、アミノ酸系のシャンプーと言えるでしょう。
頭皮の乾燥が気になる方には、アミノ酸系のシャンプーがおすすめです。洗浄力がマイルドで必要な皮脂まで落とさずに洗えることから、頭皮が乾燥しにくいためです。
皮脂の過剰分泌による頭皮のかゆみのシャンプー選び
皮脂の過剰分泌などが頭皮のかゆみの原因となっている場合、乾燥している場合とは異なるシャンプーの選び方のポイントがあります。ベタベタした脂性フケの場合は、フケやかゆみの原因菌の増殖を抑えたり、炎症を抑えたりする効果が期待される医薬部外品のシャンプーを試してみるのがおすすめです。
なお、脂性フケの改善には食生活の見直しも期待できます。揚げ物やスナック菓子といった脂質の多い食べ物を多くとっていると、皮脂の分泌が活発になる傾向があるため、思い当たる場合は量を控えることをおすすめします。
まとめ
頭皮のかゆみやフケに対して、薬によるアプローチ方法は大きく2つに分けられます。
- 頭皮のかゆみなどを起こしている原因へのアプローチ
- かゆみなどの症状に対するアプローチ
市販薬の場合、2つ目の症状に対するアプローチはできますが、原因へのアプローチは難しい部分があります。市販薬を使って1週間ほど様子を見ても頭皮のかゆみが改善しない場合は、早めに病院を受診しましょう。
また、薬以外のアプローチ方法として、生活習慣の見直しがあげられます。シャンプーを変え、洗髪方法を見直すとともに、食事の内容もふり返ってみると頭皮の環境が改善されるかもしれません。今回解説した髪の洗い方やシャンプー選びを実践してみてください。
参考文献
- [1]"シラミ症とは" 国立感染症研究所. https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/cholerae/392-encyclopedia/412-louse-intro.html
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