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上半身に汗をかかない!汗止めバンドは本当に効果ある?
夏の炎天下でも汗をかかない舞妓さんの秘密。そこには、体の機能を利用した「ツボ押し」にありました。なぜ汗を止めることができるのか?汗止めバンド(ベルト)を日常的に取り入れて効果的に汗止め対策をしましょう。
せっかくのばっちりメイクも、吹き出る汗で崩れてしまう…。特に気温が高くなる夏には困りものです。どうにかして汗を止めたい!という人に、ひとつおすすめしたいのが「汗止めバンド」の活用です。実はこれ、舞妓さんが実践している汗を止めるためのテクニックなんです。
舞妓さんが顔に汗をかかないようにする工夫
夏でも白粉(おしろい)で顔を白塗りして、厚い着物を着ているにもかかわらず、汗をかいている舞妓さんを見たことはないでしょう。お客さんとお会いする前に、せっかくのお化粧が汗でとれてしまっては台無しですし、だからといって着物を着ないわけにはいきません。
舞妓さんには、汗を抑えるための独自の方法があります。それが、胸のあたりにある屋翳(おくえい)というツボを利用した方法です。そのツボを圧迫することで、上半身の汗を抑えることが期待できるというもの。舞妓さんは、このツボを刺激するために帯を強く巻いたり、着物の下にさらしを巻いたりして圧迫し、お顔の白粉を汗で落とさないように工夫していました。
実は、顔や脇から出る大量の汗を止めるために、バストトップから約5cm上を圧迫することで汗を抑えるという方は、私たちの身体が持つ構造を活用しているのです。
汗止めバンドは皮膚科学に基づいた止め方だった!
なぜ、胸の位置を圧迫することで、顔や脇の汗を抑えることができるのでしょうか?その秘密は「皮膚圧反射(半側発汗)」という、身体の反射機能に隠されていました。
簡単に言うと、体の一部を圧迫すると、発汗する部位と発汗が抑制されるということです。たとえば、体を横にして寝たとき、上側の体の半身からは汗が出るのに対し、下側になった体の半身からは汗が減ることが発見され、この現象は「半側発汗反射」と名づけられました。つまり、人の体は圧迫することにより、汗の量を部位によってコントロールすることができるのです。
上半身に汗をかかないために胸の周囲を圧迫
皮膚を圧迫すると「神経自由終末」と呼ばれる、交感神経の末端に信号が送られ、発汗神経を抑制する働きが起こるためです。圧迫が強く、圧迫面積が大きいほど作用し、汗を抑制する部位があらわれる一方で、汗が多く出る部位もあらわれます。
肩甲骨部や胸部においては、発汗抑制の働きが敏感に反応するため、このあたりを強く圧迫すると上半身の汗が収まり、下半身の汗が増える反射が強く出ることが分かっています。
効果には個人差あり!その他の汗対策と併用すること
ただし、圧迫したからといって必ずしも汗が止まるとは限りません。圧迫の強さや範囲により、反射反応が出やすいかどうかは実際に行ってみなければ分からないという点もあります。「皮膚圧反射」には個人差があり、適切に圧迫しても汗を抑制できないケースもあるため、この方法だけで汗を完全に止めることは困難でしょう。
また、体温が低く、汗をかかないとき、汗が少ないときには皮膚圧も有効ですが、運動中などに体温の上昇が激しくなると、皮膚圧の効果が見られない傾向にあります。これは、体温の急上昇を抑えるために汗が増え、発汗によって体温を下げようとする機能の方が優先して働くためです。
体温の上昇が少ないときには汗をコントロールする余裕がありますが、体温が上昇しすぎてしまうなど、体温調節を優先しなければならない事態が起これば、積極的に汗をかくように指令がでます。体の安全性を優先するため、圧を加えて反射を促しても、汗を止める機能をストップさせてしまうのです。顔に汗をかかないためには胸部を圧迫するだけでなく、激しく動いて体温を急激に上げないように気を付けましょう。
また、衣服で体温調節を工夫する、わきの下や首を保冷材などで冷やすなど、他の汗対策と併用しながら行うのがポイントです。脂ものの多い食事や運動不足、冷え性によって汗をかきやすい体質になってしまうこともあるため、普段の生活習慣を見直すことも、汗対策に繋がります。
皮膚圧反射を利用した汗の止め方
実際に「皮膚圧反射」を利用した汗の止め方を、帯を使ってご紹介します。バストトップより5cm上を強く圧迫することにより、胸から顔の上部の汗を抑制する効果が期待できます。この位置を押さえながら、脇から背中を通して少しきつめに、痛みを感じない強さで帯を胸部に巻きつけましょう。下着や肌着を着用する際には、肌着の下に、肌に直接触れるように巻いてください。汗が出そうだと感じたら、バストトップより5cm上のツボを指などで刺激すると、さらに抑制効果を促すことができます。
汗止めをする際の注意点
締め付けるときには強く締め付け過ぎないこと、息をして苦しくないか確認しながら帯を慎重に巻いていきます。帯を重ねて巻き過ぎたり、広い範囲に巻いたりしてしまうと皮膚が炎症を起こしやすくなり、かゆみが起きることもあります。傷みや苦しさなどお異常を感じたときには、すぐに外すようにしてください。また、就寝中は使用しないこと、長時間の使用は避けること。胸部に外傷やしっしん、かぶれやアトピーの症状がある場合は症状が悪化する可能性があるので使用しないよう注意してください。
激しい運動をする際には、胸部に帯を巻かないようにしましょう。体温上昇時には体を冷却させるため、大量に汗をかく方が、体にとっては重要になります。この場合、帯を巻いてしまうと体温調節のための発汗が正常に機能しなくなるため、使用しないようにしてください。
さらしや専用の汗止めバンドもある
着物を着用する場合には、舞妓さんのように帯やさらしを使用するのがいいかもしれませんが、普段の服装に応用するのは難しいでしょう。特に汗をかきやすい薄着の季節には、帯やさらしがコーディネートの邪魔をしてしまうこともあります。日常的な服装で使用するのなら、肌に優しく、ズレにくい汗止め専用バンドなどを購入するのも一つの手です。
ワンタッチで着脱できるベルト状のものや帯の形状が細いもの、目立ちにくいカラーのものもあります。
下着の下につければ目立たず、服を着ても透けにくく、薄手の洋服のラインを崩す心配もありません。洋服を選ばずに汗対策ができる、便利な汗止めバンドや汗止めベルトを探してみてください。
また、体型によって、自分に合ったサイズが選ぶのがポイントです。ゆるすぎては効果が感じられませんし、きつすぎては肌と体に負担をかけてしまいます。帯やさらしのように調整しにくいぶん、自分の胸部のサイズを確認し、きちんと体に合ったものを選んでください。下着のような感覚で、簡単にお手入れができる汗止めバンドなら、普段使いしやすく、気軽な汗対策グッズとして取り入れやすいでしょう。
まとめ
着物を重ねていながらも、白粉を崩さずに涼しい顔で過ごす舞妓さんの汗対策には、生物学による知恵が隠されていました。体の反射機能を知り、発汗を上手に抑える方法を試してみてください。わざわざ帯やさらしを用意しなくても、洋服用の汗止めバンドを利用すれば、「皮膚圧反射」を活用させ、顔の汗を抑えることもできます。まだ試したことのない方は、汗対策の一つとしてぜひ取り入れてみてください。
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