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正しいスキンケアは赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の発症や予防につながる
自分の赤ちゃんがアトピー性皮膚炎を発症するかも?自分の体質が遺伝したのかも?と責めたり、重症化してしまうのでは?など、悩みだすとキリがありません。しかし、アトピー性皮膚炎だからといって悲観することはありません。正しく理解することと、そして赤ちゃんの頃から適切なケアをすることが何よりも大切なことなのです。
赤ちゃんに湿疹ができたり、肌が乾燥して荒れるのを見ると「もしかしてアトピーかも?」と不安になってしまうものです。また、自分がアトピー性皮膚炎だから子どもにも発症するのではないか心配になるなど、親の立場になると不安や心配はつきないものです。
しかし、アトピー性皮膚炎は、まだまだわからないことが多い病気ですが悲観することはありません。中には、妊娠時から食べ物を制限したり、母乳がアトピー発症に影響を与えるのではないか、という情報が出回っていますが、そういったことはありません。乳児のうちから正しい治療、適切なケアを実践することは、アトピー性皮膚炎の予防や治療面で大きなメリットがあります。
まず、アトピー性皮膚炎がどういった病気であるのか、乳児のうちにやるべきケア、ステロイドは本当に怖いものなのか?基本的なことを押さえておきましょう。
乳幼児のアトピー性皮膚炎
まず、アトピー性皮膚炎とはどういったものであるかを理解しておきましょう。
アトピー性皮膚炎の特徴
主には、かゆみをともなう湿疹(赤み、ブツブツ)がひどくなったり、ゆるやかになったりする「憎悪と寛解」をくり返すのがアトピー性皮膚炎の特徴です。アトピー性皮膚炎は誰もが治らない病気ではないのです。多くの場合、乳児の頃に発症しますが、幼少期、学童期へ進むにつれて症状はゆるやかになり、やがて症状が出なくなったり、自然治癒する場合もあります。
このように成長と共に症状が治まっていくことが多いのですが、中には重い症状が続く患者さんがいたり、大人になってから再発するなど、さまざまなケースもあるため、アトピー性皮膚炎といっても症状の程度や状態は個々で異なります。
アトピー性皮膚炎の原因
症状の程度や原因などに大きな個人差があり、アトピー性皮膚炎の明確な原因や確立された治療はありません。しかし、アトピー患者にはいくつかの共通点がみられます。いわゆるアトピー性皮膚炎になりやすい体質や要素のことで、これを「アトピー素因」と言います。
たとえば、親がアトピー性皮膚炎であることや気管支喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症、結膜炎などの疾患があることも、素因のひとつにあてはまります。しかし、それだけでアトピー性皮膚炎が発症する遺伝性のものであるとは言えません。なぜなら、アトピー性皮膚炎は生活環境や習慣なども密接に関係してくるので、親に特定の疾患があるからといって、必ずしもアトピー性皮膚炎が発症するわけではないのです。
アトピー性皮膚炎の主な症状や現れる時期
アトピー性皮膚炎の症状は生後数か月あたりから見られはじめます。皮膚の症状や現れる部位は年齢によっても変わりますが、乳幼児期(2歳未満)では頬、おでこ、頭部に「潮紅(ちょうこう)」という、いわゆる赤みが現れたり、「丘疹(きゅうしん)」という、細かいブツブツや腫れたように盛りあがった症状が現れます。
また、症状は他の皮膚炎や皮膚疾患と類似する場合があります。もともと乳児は湿疹ができやすいため、湿疹ができたからといって、すぐにアトピー性皮膚炎であるとは言えません。その他のアレルギー症状なども見ながら判断するため、一般人による診断は難しく、小児科や小児皮膚科を受診して診断する必要があります。
我慢できないほどの強いかゆみに襲われる
アトピー性皮膚炎の症状といえば、非常に強いかゆみが起こることです。手指で皮膚をかかずにはいられないほど強いかゆみに襲われるため、子どもに指でかかないように言う程度で止まるものではありません。皮膚が傷つき、血がにじんでくるほどやめられないかゆみが生じるため、皮膚に潮紅や丘疹が出るだけでなく、手指でかきむしってしまう「掻破(そうは)」が加わり、皮膚がただれたり(びらん)、ジュクジュクとした状態(湿潤局面)になることも特徴です。
このように、強いかゆみによって皮膚をかきむしってしまうことがアトピー性皮膚炎の症状が悪化する大きな原因となります。
赤ちゃんアトピー性皮膚炎の治療とは?ステロイドによる薬物療法など
アトピー性皮膚炎における治療の基本は「薬物療法」、「スキンケア」、「悪化させるアレルギー因子を避ける」という3つの観点から行うことです。根本的な治療が難しいアトピー性皮膚炎ですが、治療で目指すのはアトピー性皮膚炎診療ガイドライン(日本皮膚科学会)によって、以下の項目があげられています。
- 症状がない状態
- 症状があったとしても日常生活に支障がない状態
- 薬物療法をあまり必要としない
- 急性に悪化することがあっても長引かない
子どものアトピー性皮膚炎は、多くが軽症であること、そして成長と共に症状が落ち着いていくケースが大半であるため、上記の①と②の状態を目指すのは、成人と比較しても容易と言うことができます。しかし、子どもによっては、必ずしも症状が穏やかになっていくとは限らないため、ステロイド外用薬を用いた薬物療法は視野に入れておくことが必要です。
ステロイドは危険ではないの?
アトピー性皮膚炎の治療に使用されるステロイド外用薬は、強い副作用が取り上げられ問題視されることがあります。そういった情報を鵜呑みにして無理にステロイドを避けることは、かえってアトピー性皮膚炎の悪化につながります。ステロイド外用薬は、症状が憎悪と寛解をくり返すなかで、使うタイミングや使用を止めるタイミング、ステロイド外用薬の強さを調整する必要があります。そのため、医師の指導を十分に守り適切に使用することです。
子どもの成長にかかわるステロイドの重要なポイント
強いかゆみを伴う皮疹は睡眠の妨げになるのですが、赤ちゃんや子どもにとっては、睡眠障害が成長障害と深く関係してきます。そのため、赤ちゃんや子どもは、睡眠障害になっているかどうかの観点からもステロイド外用薬の使用を検討する必要があります。
睡眠障害や成長障害をきたすと低身長や顔面の皮疹(ひしん)が強い場合は、網膜剝離(もうまくはくり)や白内障など、さまざまな合併症を起こすことがあります。また、過剰な食物制限も、カルシウム不足や成長障害をおこす危険性があります。
原因になる?予防できる?アトピー性皮膚炎の間違った認識
アトピー性皮膚炎は原因がはっきりとしていないことから、根拠のない話が出回ることがあります。古くから伝えられている方法や予防など、今では影響がないとわかっているものがあります。
母乳が原因で赤ちゃんがアトピーになることはない
赤ちゃんがアトピー性皮膚炎になる原因として、母乳の「質」をとりあげ、それによってアトピー性皮膚炎の発症に影響を与えるといった情報が出回っていますが、これには根拠はありません。また、アトピー患者の母親による授乳が、子どものアトピー性皮膚炎の発症を促すということもありません。
妊娠時や授乳期の食物制限は子どものアトピー予防に関係しない
一昔前は、アトピー性皮膚炎の原因が食物アレルギーではないかと考えられていました。このことから、妊娠時に母親が食物制限をすることで、子どものアトピー性皮膚炎の発症を予防するのではないかと考えられていました。しかし、妊婦の食物制限によってアトピーをはじめとしたアレルギー疾患の発症を予防する効果はないということわかっています。妊婦が避けるべき基本的な食べ物に注意して、栄養バランスのとれた食事をしっかりとりましょう。
また、母乳によるアトピー性皮膚炎の発症には根拠がないのと同様に、授乳する母親が食物制限をしても、子どもに対してアトピー性皮膚炎の予防効果はありません。
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎のケア対策
アトピー性皮膚炎の治療で基本となる「スキンケア」と「悪化させるアレルギー因子を避ける」をみていきましょう。
赤ちゃんのうちからスキンケアをすること
アトピー性皮膚炎の治療において、日々行なうスキンケアは非常に有効な要素です。スキンケアの目的は、皮膚を清潔にし、保湿と保護で、低下した皮膚(角層)の機能を補うこと。ワセリンやシンプルな成分で構成された保湿剤の使用が推奨されます。
新生児期から保湿剤を塗ることで予防につながることも
角層は皮膚の水分を保持する機能があり、同時に外部からの刺激から守るバリア機能として働きます。皮膚が乾燥したり、かきむしってしまうことで皮膚のバリア機能は低下します。これが肌のかゆみを引き起こすことになるため、肌を保湿して保護することはアトピー性皮膚炎の発症と悪化を防ぐ重要なケアになります。現在では、新生児期から保湿剤を塗ることで、アトピー性皮膚炎の発症率を低下させることが期待されています。
悪化させるアレルギー因子を避ける
アトピー性皮膚炎を発症する患者は、食物アレルギーや気管支喘息、アレルギー性鼻炎、ハウスダストなど、アレルギー疾患を持っている場合が多いといわれています。これらのアレルギーを引き起こす抗原(アレルゲン)を避けることもアトピー性皮膚炎の症状を抑えるために必要なことです。特に、乳児期は食物アレルギーを合併することが多くなります。食物アレルギーは食べることで、アレルギー反応を起こすだけでなく、バリア機能が低下した皮膚から、食物(卵やミルク、小麦など)が侵入することでもアレルギーを起こしてきます。そのためにもしっかりとした、保湿ケアが重要になってきます。
お子さんがアトピーになっても悲観的にならないで
アトピー性皮膚炎は、さまざまな原因が複雑に関係して発症する病気です。親がアトピー性皮膚炎である場合、子どもも発症するケースが考えられますが、遺伝という点だけで発症するわけではありません。近年、アトピー性皮膚炎患者が増えているのは、日本の住環境や食生活などの変化などが大きな要因になっていると考えられています。
もし、子どものアトピー性皮膚炎の発症したとしても、乳児期から適切なケアをすることで予防や発症しても重症化しにくいことがわかってきています。そのためにも、アトピー性皮膚炎を理解することは重要なことです。決して悲観的にならず、医師と相談しながら適切なケアを続けて、子どもの成長を見守っていきましょう。
<参考文献>
- ・小児アトピー性皮膚炎 大矢幸弘(J-Stage)
- ・アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016年版(日本皮膚科学会)
- ・日本アレルギー学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン
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